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紙芝居「人ばしら」

昔、九頭竜川の堤防が、よく切れました。
 そして、堤防が切れるたびに大水がつきました。村の人たちはたいへん困りました。
 ある日、尼さんが通りかかって、 「この大水を止めるには人柱が必要ですね。だれか人柱になる人はいませんかねえ。」 と言いました。
 でも、だれも人柱になる人はいませんでした。人柱になる人がいなければ大水は止まりません。それではどうにもなりません。
尼さんは、人柱になる人を一所懸命探しました。探しても探しても、人柱になる人はいませんでした。
 次の日も尼さんは村中を探し回りました。だれも人柱になる人がいないので、尼さんは、あきらめかけていました。
 でも、またまた大水がついたので、尼さんは、もう一度人柱になる人を探しました。
探しても人柱になる人はいっこうに見つかりませんでした。そこで、尼さんは言いました。 「しかたがありません。私が人柱になりましょう。」 「ごんべいさん、さぶろうさん、はちべいさん、うんざぶろうさん、へいじさん、お願いします。どうか私を埋めてください。」 それを聞いたごんべいさんは、 「でも、尼さんが人柱になったら、尼さんは死んでしまいます。私たちには尼さんを埋めることはできません。」 と、ことわりました。 「でも、人柱になる人はいないのだから、私が人柱になるしかありません。みなさん、どうか私を埋めてください。でないと、大水が止められません。」 みんなは、この村を平和にしたい尼さんの言葉を聞いて、感動しながら、「わかりました。」と言いました。
みんなで堤防の所に行きました。 「尼さん、お願いします。どうかこの村を守ってください。」 「わかりました。みなさん、今までありがとうございました。さようなら。」 スコップで三メートルほど穴を掘って、ごんべいさんとさぶろうさんが「ありがとう」と思いながら尼さんを埋めました。
 それからは、尼さんのおかげで大水が止まって、村はとても平和になりました。尼さんを埋めた人たちは、天国にいる尼さんに心から感謝しました。この村を平和にしたかった尼さんがいなかったら、この村は大水がついてばかりいたのです。
尼さんは、天国に行ってしまったので、もう尼さんに頼ることはできません。
 村の人たちは、自分たちで考え行動することをみんなで誓いました。
 それからというもの、みんなは、何かあるといつも自分たちで考え行動しました。どんなことがあっても、尼さんを忘れることはありませんでした。
 村の人たちは、空の上で尼さんがみんなを見ているような気がしました。

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