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紙芝居「魚とり名人」

 上中には昔、昔、とんさんっていう男がいました。このおんさん、とても魚をとるのがうまかったそうです。
 毎年、はげっしょう、七月二日になると雨がいっぱい降って荒川という川はいつもはげしく水が流れます。田んぼも見えないくらいに水がつきました。ひどかったんです。上中と原目の間が水びたしになって大川になってしまいました。
 土のうをこさえて水を止めようとしますが、どうにもなりません。
 その水も四・五日すると減ってきました。その時がとんさんの出番です。 魚のいるところがよくわかります。 大きなたらいに約一メートルぐらいあるこい、なまず、おおごい、ふな、山ほど取ってきます。 いっぱいです。
「こんなにいっぱいどうやって取るの。」
と聞くと、にこにこして、
「ここに魚がいるって思うとな、両手をそーっと出すんだよ。すると魚のほうから手の中に入って来るんだよ。ぼくら手を出すとにげるけど、それは、ぼくら魚となかよしにならないといけないんだよ。ぼくら、魚に石をぶつけるでしょう。あれがだめなんだよ。」
「あんなことするで、魚がこわがるんだよ。魚をかわいがってやるんだよ。けっして、おとりをつらなくても、ひっかけづりやころがしづりをしなくても、魚と友だちになれば、近よってくるんだよ。」
にこにこと、とんさんはわらって言いました。

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