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紙芝居「芝原浄水」

 上中を流れる大川、芝原用水は、浄水といって、福井の城下の飲み水でした。だから、この水はとても大事にされていました。 川回りの役人がいて、いつも見回りをしていました。福井の人は、その川の水を使っていました。
 川でせんたくをしたり汚いものを投げたりすると、つかまってろうにぶちこまれました。
 だから、川はほんとうにきれいな水が流れていました。 
 春になると、川はさらさら流れて、その川のそばで日なたぼっこをしながら仲間と一緒によもぎをつみます。 田植えが始まると子どもは苗洗いに苗運び。川の水はたくさん流れています。 田植えがおわると、小川では小さいフナが群がり、それを子どもがザルを持って追いかけます。
  六月になると、ほたるがとびだし、夕方から子どもたちが集まりました。
 夏が来ると、男の子はとんぼつりにむちゅうになります。竹の先に糸をつけ、糸でとんぼをくくりつけて、とべるようにして、とんぼをつります。 おにやんまのオスではたくさんつれないので、川の中をずぶぬれになりながら、たまごをくいに産みつけているメスをさがして歩きます。
 8月になるときまって川そうじのための川干しがあります。川干しときくと、男の子はわくわくします。 「よしっ」とバケツを持って魚を追いかけます。親にかくれてです。上中の親はほとんどが生き物を殺すことをとても悪いことだとしていました。 あゆ、ふな、こい、あかもつ、なまず、あかりんこ、がこぶつ、いろんな魚がたくさんとれました。
 また、日がしずむと夕涼みの人が上中橋に集まってきます。にぎやかな夕涼みになりました。
 さらに、午後の親たちの昼寝の時間は、水遊びの子どもでうるさかったです。パンツをぬいで川の中にかくし、みんながはだかで泳ぎます。男も女もです。 そして、川回りの役人が見えると、ばらばらに逃げます。時にはつかまる子もいます。パンツを取られておいおい泣きながら川回りの人におこられます。
 一度は、駐在所までパンツを取っていかれて、五・六人がはだかで泣きながらもらいにいったこともあります。
 秋になると、上中橋のらんかんにずらりとすわってあやとりする子、手ぬぐい落としをする子、数え歌でゲームをする仲間、本当ににぎやかでした。 赤ちゃんをおぶっている子もあり、小さい子を連れている子もいました。親が田んぼからもどってくるのを待っていたり、仕事から帰るのを待っていました。 男の子は、田んぼでイナゴを捕まえて、にかやきの火で焼いて食べたり、ぐみやくわの実、かき、くり、くるみ、いちじくを取って食べたりして遊びました。 浄水のまわりは春から秋と子どもの一番の遊び場でした。

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