The Undergrown Links


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− 夏坂健の著より −

 ヘッドカバーと女性のキャディ、この二つこそ世界に冠たる日本の発明である。  自分でカートを引き、バッグをかついで歩く、とりわけスコットランド の人間が見た場合、日本のゴルファーは女性を酷使しながら 賭けゴルフにうつつを抜かす人種だと思うだろう。 返しの1メートルのパットを「キャディさん、どっちに曲がるの?」 グリーン近くで「キャディさん、残りは何ヤード?」。 その後のミスショットは全てキャディーの所為と化し・・・
 ゴルフでは、プレーに関する一切の責任は本人が負う。 これぞ約600年間も守られてきた掟である。



 1561年、フランスから母国スコットランドに戻ったメアリー女王は、 貴族の二男中心に編成された近衛小隊を連れ帰る。 彼らは「CADET」(カデ)と呼ばれた。 ゴルフ好きだった女王はコースに出る際、 「カデ、ゴルフに行くわよ。クラブを持ちなさい」。
 これを耳にしたのが、すべて愛称化せずにはいられないスコットランド人。 たちまち「キャディ」の名称が定着した。  1771年にはキャディ賛歌の詩も登場する。 そして1775年、セントアンドリュースでは理事会を召集してキャディの 身分にルール上の地位を与える決議を採択した。 すなわち、「キャディはゴルファーの唯一の味方であり、助言と援助を惜しまない。 従ってプレーヤーと一心同体、同等の権利を有する」。
 これが世に名高い「キャディ憲章」である。  

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