ノロウイルス感染症(SRSV)
食中毒は一年中発生していますが、夏場と、12月から1月、2月も多々発生しています。冬場に食中毒が多いのはここ数年の傾向で、ノロウイルスによるものが中心となっています。
平成9年5月に改正された食品衛生法関係法令において、食中毒病因物質に「小型球形ウイルス」が追加されさらに、平成15年8月の法改正において、以前は、「貝毒」や「原因不明」とされていたのが病因物質名「小型球形ウイルス」から「ノロウイルス」に変更されています。
ノロウイルスは、感染性胃腸炎や食中毒を引き起こす原因ウイルスで、初冬から春先にかけて多く発生する傾向があります
また、経口感染により、ヒトに嘔吐や下痢などの胃腸炎症状を引き起こすウイルスです。ヒトの胃腸炎の原因となるウイルスは他にもたくさんありますが、それらは主に乳児から幼児までの低年齢層に胃腸炎を起こします。 ノロウイルス(SRSV)は、乳幼児からお年寄りまで、幅広い年齢層で感染・発症するため、集団発生を起こしやすく、特に用心が必要です。
 症状としては、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛が多く、下痢は激しい水様便が数回続いたりします。頭痛、発熱、咽頭痛などの風邪に似た症状も見られる場合がありますが、インフルエンザウイルスなどに比べると発熱の程度は低くなっています。ただ、下痢症状もなく軽症で済む場合でも、嘔気(むかつき)からくる食欲不振により脱水症状に陥ることがあるため、特に子供や高齢者の場合は水分補給を心がけることが大切です症状の持続時間は数時間から数日で、多くは治療しなくても1〜2日で回復します。幼児や病弱な方はまれに重症化することがあります。 潜伏期間はウイルスを取り込んでから1〜2日(38時間前後)となっています。ノロウイルス(SRSV)はヒトの腸管内で増殖し、発症後数日間は糞便中に排出されるため、二次感染の原因となっています

細菌とウイルスの違い

 食中毒細菌は、食品についたら、その食品の上で増え、それに比べて、ウイルスは、食品の上では増えません。食べた人の腸の中で増えます。ここが違いです。食品の上で増えるか、増えないかということは、食中毒が発生するまでの流れに大きく関わってきます。 細菌性の食中毒を起こさないためには、「食品に細菌をつけない」「食品についた細菌を増やさない」「食品についた細菌を殺す」という対策があります。 それに対して、ウイルスは、食品の上ではなく、体の中で増えるので、「食品にウイルスをつけない」のが、唯一の対策になります。ですから、厨房を清潔にする、手洗いをする、包丁を洗う、まな板を洗う、というようなとりくみをしっかりすることが非常に大切になります。

ノロウイルスの主な感染経路

 生カキが主流になります。生カキを生食したり、加熱が不十分であるものを食べたりして、食中毒が起こります。ただ、カキを食べなくても、食中毒を起こす場合もあります。むしろ、カキを食べないノロウイルス食中毒というのが、最近増えてます。例えば、調理をする人が下痢をしていて、気づかなかったけれども、ノロウイルスによる食中毒で、ウイルスの排泄が続いていた。手洗いが不十分で、パンにウイルスがついた。それを子どもが食べて食中毒になった、というような流れになります。

予防法


調理の前,食事の前,トイレの後は,手指の洗浄消毒を確実に行ないましょう。
まな板,包丁,ふきんなどはよく洗浄し,熱湯などで消毒しましょう
下痢,嘔吐などの症状がある時には調理に従事しないようにしましょう。
食品を加熱調理する場合は,十分に加熱しましょう。(中心部85℃1分以上)
清潔な機械、器具、容器を使用する。
マスクや手袋の着用を習慣づける。
水道水以外の飲料水は,煮沸して飲用しましょう。
二枚貝や生鮮魚類を生食する場合は,食品の生食用の表示(生食用,刺身用など)を確認しましょう。


ロウイルスの主たる感染経路は、カキなどの貝類(食中毒)と、糞便や嘔吐物からヒトの手指などを経て口から入るもの(感染者からの伝染)であるため、特に飲食物を扱う人が十分に注意を払うことが、効果的な感染予防になります。特に調理者が十分に手洗いすること、そして調理器具を衛生的に保つことが大事です。ノロウイルスはエンベロープを持たないウイルスであるため、逆性石けん(塩化ベンザルコニウム)、消毒用エタノールは抵抗性が強いが、手洗いによって機械的に洗い流すことが感染予防につながります。石鹸自体には、ノロウイルスの失活化する効果はありませんが、手の脂肪 等の汚れを落とすことにより、ウイルスを指先から剥がれ易くする効果が期待できます。ノロウイルスは加熱によって感染性を失うため、特にカキなどの食品は中心部まで充分加熱することが食中毒予防に重要です。生のカキを扱った包丁やまな板、食器などを、そのまま生野菜など生食するものに用いないよう、調理器具をよく洗浄・消毒することも大事です。
感染者の糞便や嘔吐物を処理する場合、手袋を使用し直接手で触れないよう注意してください。また、作業後は手をよく洗う。汚染された場所を消毒する際、ノロウイルスには逆性石けんや消毒用エタノールはほとんど効果がありませんが、次亜塩素酸ナトリウムは比較的有効です。

今現在ノロウイルスに対する有効なワクチンは開発されていません。このウイルスに対する免疫は感染者でも1-2年で失われるといわれており、ワクチンによる予防の有効性に対しては疑問が持たれます。



施設の中で平素から標準感染予防策に沿った介護が行われていれば、症状がない職員の勤務は問題ありません。ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎は、家庭においても流行する疾患です。家族に下痢・おう吐などがみられたときは、家庭でも汚物の処理やトイレ、風呂の衛生管理には十分留意して感染が広がらないようにしてください。
  社会福祉施設の職員は、自分が感染すると入所している抵抗力の弱い方々にも感染させる原因ともなる立場であることから、専門職としての職責として、平素から自分の健康管理を徹底してください。