† あの時の薔薇 †


あの時の薔薇。貴方は覚えているのかしら?

『木苺?』
ばぁやはアンドレに市場にお使いを頼んだ。
『今日は木苺のパイを作ろうとおもってね。市場に買いに行ってきておくれ。』
『いいよ。オスカルも一緒で良い?』
『しっかりと護衛するんだよ!』
こうして2人は市場へ出かけて行った。


『はい。木苺ね。落とさないようにしっかり持つんだよ。』
オスカルは木苺のたくさんはいった籠をもった。
真赤なキレイな木苺だった。

『はやく帰ろうアンドレ!ばあやにはやくパイ作ってもらおう!』
『うん!はやく帰ろう!』
2人は急ぎ足で帰った。

森の近くを通った時、1人の少女が2人を呼び止めた。
『ねぇ。私と遊ばない?』
白いカントリー風のドレスを身にまとった幼い女の子がでてきた。
『ごめんね!僕達お使いの途中なの。はやく帰らないといけないの。』
アンドレは少女の誘いを断った。
『お願い!少しでいいの!私と遊んで!』
少女は泣きそうになった。』
するとオスカルは、
『良いよ。少しだけだよ。アンドレ、少しならいいだろ?』
『す、少しだけだよ。』
それを聞くと少女は笑って2人の手をとって森に入っていった。
『私の名前は、マリー・ド・フィランっていうの。』
『私はオスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ。』
『僕はアンドレ・グランディエ。』
3人は時を忘れて遊んだ。

時を忘れただけあってすっかり日が暮れてしまった。
『ありがとう!おねぇちゃんおにいちゃん。マリーとってもたのしかった!』
少女はにっこり笑って、2人に薔薇を渡した。
『ありがとう。マリー。また遊ぼうね!』
2人はばぁやが怒っていそうなので走って帰った。

『まったく!何道草くってきてんだい!もう日が暮れてるんだよ!』
案の定ばぁやに怒られた。
『ごめん。おばぁちゃん。マリーと遊んでたから。』
『マリー?だれだい?それは?』
すると、オスカルは、
『ばぁやは知らないの?森の近くで見たんだ。マリー・ド・フィランっていう・・。』
『フィラン・・・聞いた事があるような無いような・・・。』
そのときは何も気が付かなかった。

夕食
『父上。フィランという名字の家を知りませんか?』
オスカルは父ジャルジェ将軍に聞いてみた。
『知っているぞ。フィラン伯爵様。たしか・・・おまえより2つほど下の子供がいたような・・。』
オスカルは、今日あったことを話そうとした瞬間、
『でも、たしかその子は数年前に亡くなっていますわ。あなた。』
ジャルジェ婦人が言った。
『母上!その!そに子供の名前はなんとおっしゃるのですか?』
『マリー。マリー・ド・フィランといったわね。』
オスカルはわが身を疑った。マリー、今日遊んだマリーって!!!!

そう、今日2人が遊んだマリーは数年前に森で遊んでいる途中に川におちで亡くなっていた。
つまり、2人は幽霊と遊んでいたのだった。

マリーに貰った赤い薔薇。
この薔薇には不思議な力があった。

愛するひとと必ず結ばれるという不思議。

覚えているかしら?あの時の薔薇の事を・・・。