‡ 神の身元に ‡

∞前編∞



一体どうしたのだろう?
身体が軽く周りがやわらかい。ココはどこなのだろうか?
私はどうなってしまったのだろうか?

『目を覚ましてくださいまし。目をお開き下さい。』
(誰かが私を呼んで頬を叩いている。ココは本当に何処なんだ?)
『う・・・・ぅ・・。』
オスカルは見知らぬ人の声で目がさめた。
『お目覚めになられましたね。』
そこには、1人の少女が立っていた。ロザリーのように大きな瞳で、ばあやのように、
暖かい表情の少女だった。
『ここは?貴方は誰ですか?』
『ココは、天空の神殿です。私は神よりの使いの者です。』
『わ・・私は夢を見ているのか?』
オスカルは、生前の記憶がとんでいた。
『記憶が無いのですね。貴方様はバスティーユにて戦死されたのです。』
『死んだ?私が?』
そのとき、オスカルの記憶はうっすらと戻ってきた。
(そうだ・・・私は撃たれて・・・それで・・・)
『私達は、亡くなった方を天空の神殿までお連れすることを仕事としています。』
その、少女はそう言って立ち上がった。
『あなたの名前はなんと申されるのですか?』
オスカルは少女に名前を聞いた。
『私の名前です・・・か?・・・・。』
少女は口ごもった。そして、うつむいた。
『使いのものに・・・いえ、私は見習の身分ですので名前がまだ無いんです。でも、宜しかったら、
ソフィーヌと呼んで下さい。』
『ソフィーヌか・・・私は・・・』
『オスカル様とおっしゃるのですわよね。』
ソフィーヌは微笑んでそう言った。
『なぜ?私の名前を?まだ話してはいないのに・・・』
『少し前にココにアンドレさんとおっしゃる方がいらした時に聞きましたの。』
『あ・・アンドレ!アンドレもいるのか?』
オスカルの心に喜びが生まれた。
悲しい別れをしてしまった大切な人。
もう一度会いたいと思った、でも会えなくて悔しさだけが残っていた。
『はい。天空の神殿にいらっしゃいます。その時に聞きました。』
(よかった・・・もう一度会える・・・会うことができる!)
オスカルの顔に笑みが浮かんだ。
『しかし・・・』
ソフィーヌは暗い声で言った。
『天空の神殿に行くには、条件があるのです。』
『条件?』
オスカルは首を軽くかしげた。
『はい。天空の神殿に着くまでに大切に思っていた事や人の事を1つ残して全て忘れなければいけないのです。』
『1つだけ・・・他は全て忘れ去らなければいけないのか?』
『はい神殿のきまりです。忘れなければ天空の神殿に到着することは出来ません。』
大切な人・・・物・・・1つだけ・・・
恋人?家族?一体何?
こうして、オスカルの天空の神殿への旅が始まったのだ。