KenYaoの天文資料館


2001/8/05制作

流星と彗星


流星 ながれぼし Shooting star

夏休みは深夜キャンプ場など暗い場所で、流れ星を見るチャンスがありますね。
明るい流れ星が夜空を横切って飛ぶのを目にすると、誰でもドキドキさせられます。運命的な出会いのようにも感じますね。そして、流れ星が消えないうちに願いごとをすばやく3度唱えると願いがかなう、と昔から語り伝えられています。

ところで、流れ星には普段の夜見れる単発的な「流星」(散在流星)と、毎年特定の期間、特定の方向から多数現れる「流星群」とに分類できます。

●流星 りゅうせい

流れ星はチリや小天体が地球の大気とぶつかり、摩擦で明るく輝く現象です。流れ星の中には非常に明るく輝き、飛んだ跡(流星痕)を残すものもあります。そのなかで特に明るいものを「火球」と呼んでいます。
火球のうち、地上に落ちてくるものを「隕石」といいます。小天体の直径が20mを超えると、クレーターを作るような大爆発を起こす可能性があるといわれています。

●流星群 りゅうせいぐん
流星群は、毎年決まった時期に、多数の流星が出現します。実は彗星(ほうき星)と深い関係が有ります。

流星群は、地球の公転軌道を横切った彗星の塵(チリ)に、地球が突入し、多数の流星が見られる現象です。したがって、その彗星が通過した年はチリも多く、流星が大出現する可能性があります。
1833年11月12日、アメリカ南部では「雪降りのときに見える雪片のように星が降った。」とか「5時ころには火球が驚くほど出現し、花火状の連続放射で、ねむった人を目覚めさせるほどの美しさだった。」と伝えられています。このとき、おびただしい流星の運動にはっきりとした特徴があることに気づいた人がいました。流星はでたらめに飛んだのではなく「しし座」の一点から四方に散っていたのでした。
これは、地球が自転しながら彗星のチリの中へ入って行くことで説明できます。

おもな流星群
名 称観察期間出現ピーク日特 徴
りゅう座流星群12月末〜1月7日1月4日ピーク日に活発
みずがめ座流星群7月中旬〜8月中旬7月30日南群と北群
ペルセウス座流星群7月25日〜8月23日8月12日スイフト・タットル彗星
オリオン座流星群10月17日〜10月26日10月21日ハレー彗星に関連
しし座流星群11月14日〜11月20日11月17日テンペル・タットル彗星
ふたご座流星群12月7日〜12月18日12月13日夜半に輻射点が天頂に昇る



彗星 ほうきぼし Comet

夜空に長い尾を引き現れる彗星は、天界の放浪者です。毎年数十個発見(再発見)されますが、彗星のほとんどは肉眼で見えないものばかりです。ところが、 20世紀の最後、話題の彗星や肉眼でもよく見える大彗星が現れました。
  • 1986年、ハレー彗星は76年ぶりに姿をあらわし、探査衛星による観測が行われた。
  • 1992年、スイフト・タットル彗星(約135年周期)が通過する。
  • 1994年、シューメイカー・レビー第9彗星は木星の引力に捉えられ、7月に木星に衝突した。
  • 1996年、百武彗星(約28000年周期)が地球に大接近し、長い尾を見せた。
  • 1997年、ヘール・ボップ彗星(約2600年周期)が明るく大きな姿を見せた。

●彗星の軌道
彗星は太陽を回る天体の仲間ですが、古代ギリシア〜中世時代の天文学者たちは、地上の空高く立ち昇った物体が、自ら輝く現象だと考えていました。それどころか、病気・ききん・戦争・天災などの前兆だと恐れられていました。

17世紀、英国グリニッジ天文台第2代台長ハレーは彗星の運動に関心がありました。彼はニュートンに、「万有引力で天体の軌道を計算すると、どんな運動をするのか」と尋ねてみました。するとニュートンは、直ちに「楕円軌道だ」と答えたといわれています。ニュートンはハレーの求めに応じ、3ヶ月掛けて軌道の計算式(+ケプラーの第3方程式の証明)を書き送ったという。

ハレーは彗星の運動が楕円軌道なら以前にも観測されているはずと思い、さっそく過去の彗星の観測資料を集めてみました。すると。1682年の彗星と同じデーターの彗星を見つけ、およそ76年の周期で公転運動していることを突き止めたのでした。ハレーの死後、予言どおり1758年にこの彗星が現れ、以降この彗星にハレーの名前がつけられるようになりました。

現在では、新しく発見された彗星には番号のほか、発見者の名前がつけられます。たとえば1996年の百武彗星は、発見者は日本の百武さん。1997年のヘール・ホップ彗星は、発見者のヘールさんとホップさん2人の名前がつきました。決まりでは、発見の早い順に、3人までの名前がつけられます。


●彗星の尾
彗星の本体は「チリでよごれた雪だま」です。1986年の探査機ジョットの調査で、ハレー彗星の本体がおよそ16x8kmの細長い核であることが確認されました。
彗星は火星軌道のあたりまで近づくと、太陽に熱せられガスやチリが放出されます。さらに太陽に近づくにつれ、尾が伸びていきます。
尾は常に太陽とは反対方向にのびています。これは、太陽から放たれる太陽風や光に、ガスやチリが押し流されるからです。

●長周期・短周期彗星
彗星は太陽の周りを公転しているが、周期200年以上を「長周期」200年以下を「短周期」に区別しています。最遠の外惑星である冥王星の周期が250年であることから、惑星内を公転している彗星を短周期と呼んでいることになります。
今までに発見された彗星の3/4は長周期で、太陽系の外周部からやってきて、また太陽系の外周部に帰っていきます。このような彗星の古里を「オールトの雲」と呼んでいます。


▼参考文献
  1. NHK趣味悠々テキスト「親子のための星空観察」1999(中川祐二他)、日本放送出版協会
  2. 日本スペースガード協会著「小惑星衝突」1998、ニュートンプレス
  3. 吉田正太郎著「望遠鏡発達史」1994、誠文堂新光社
  4. 斎藤博著「おはなし天文学」2000、地人書館

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