KenYaoの生命研究室


制作1999年03月23日
更新2008年01月07日

エコ・エネルギー

地球は太陽からの放射熱を受け、生命環境を維持している。石炭や石油も地球環境が育てた自然な燃料である。しかし、これらの化石燃料消費は地球が長い間かかって大気から取込んだCO2を、短期間(地球の歴史から見れば=瞬間)に放出することになる。地球温暖化による異常気象が現実のこととなったいま、人類は循環するエネルギーだけを使う社会(低炭素社会)に至急移行する必要がある。



自然エネルギー


  1. 太陽熱
    ・太陽光として地上に届く熱は地球の気象現象の源となる。生命エネルギーの基本。
    ・太陽熱は屋根などの熱を温水や温風にして利用する方法。効率がいい。(太陽熱温水器)
    ・冬の屋根の熱を室内に循環させて暖房に利用する。夏の屋根熱は外に排気する。(パッシブソーラー)

  2. 水力/水熱
    ・地球環境は水の循環で成り立つ。人体の2/3は水分で、生命体の基本材料。
    ・川に設けられた水車。簡単な動力として利用。
    ・ダムによる発電。大規模なダムは環境破壊となるので、近年では減少傾向。
    ・建物の雨水利用。植木の水に利用。大型建物ではトイレの水に利用。また、都市の洪水対策として注目。
    ・水の温度差や気化熱を利用した水冷は昔から利用してきた。都市のヒートアイランド現象は舗装面積が拡大し、土から水の蒸発が阻害されているのが一つの原因。

  3. 風力/風熱
    ・風車の起源は紀元前1700年頃西アジアで、粉ひきに使用されていたという。オランダの風車は治水としても利用されてきた。船は帆を張り、風力で進むように改良され、大海原を往来するようになった。
    ・家庭用の冷暖房機は、空気の温度差を利用している。冷媒を使用して、夏は室内から屋外に熱を移動させる。ヒートポンプという。都市のヒートアイランド現象の主役でもある。

  4. 地熱
    ・温泉は地下水が地中の熱で暖められたもの。熱水ともに地中の鉱物類が含まれる。
    ・地中は気温の影響が少なく、地下10mになると1年中ほぼ同じ温度になる。
    ・換気のために建物に取り入れた空気を、地下パイプ(クールチューブ)を通過させて地熱で暖めたり、冷やしたりして利用する。

  5. 木材
    ・薪は昔から人類は利用してきた。都市では、大気汚染のため使用できない。古代文明発祥地は発達と共にその周辺地域の緑がなくなり、砂漠化した歴史には注意しなければならない。再生循環を意識した、地域に根ざした木材利用が必要。
    ・山の樹木。日本では用材確保のため山奥まで杉やヒノキの植林樹ばかりになった。ブナやコナラなどの広葉樹は自然のダムになり、水源にもなる。また野生動物に生活圏を維持できる。(緑の回廊)
    ・木は大気中のCO2を吸収しながら成長する。燃やせば、CO2は大気中に戻る。 木の生育した分だけ燃料に使う分には、CO2は大気と木の間を循環していることになる。木材を建物や道具などに十分利用してから、最終的に燃料にする。(バイオマス)


新エネルギー


  1. 太陽光発電
    ・太陽光発電装置の発展で利用しやすい環境が整いはじめた。生産量では日本が世界一という。ある半導体は光をあてると電流が流れる。結晶シリコン系の効率は15〜18%、アモルファス系は10%と低いが、低コスト、大面積化が可能。
    ・一般住宅用は3〜4kwのシステムで、面積は30m2程度になる。価格は1998年で約300万円、2004年で約200万円と徐々に安くなってきた。システムの寿命を20年と考えると償却出来るのはシステム価格が90万円以下で、もう少し先(2010年頃)になる。(参考1:P168)
    ・送電線のない地域(未開の地)でも、手軽に発電できる。

  2. 風力発電
    ・デンマークでまず実用化され、高機能化・大型化で発電効率が良くなった。デンマークでは全消費電力の10%以上になった。世界の風車の約半分がデンマーク製という。ドイツでは1990年に「自然エネルギー買い取り法」が制定され、風力発電が飛躍的に増加している。
    ・海岸沿いや山は、年中平均して風が強い。最近の研究で分散配置した風力発電はある程度安定した発電が見込めるようになった。日本でも2003年「新エネルギー買い取りの特別措置法」が始まったが、電力会社の買取量が極端に少なく、風力発電の拡大には繋がっていない。(参考1:P175)

  3. バイオエタノール
    ・植物からつくる自動車燃料「バイオエタノール」が、ようやく市場に登場。アメリカではトウモロコシから、ブラジルではサトウキビからエタノールが作られている。食料用でないので、遺伝子組み換えで生育のいい品種が使われる。
    ・問題もある。トウモロコシなどの穀物価格の上昇。投資マネーが大量に入り込み、国際的な価格上昇を招いている。現在は効率の良くない、「食品にはならない植物」からエタノール精製する技術を促す必要がある。

  4. 燃料電池(水素電池)
    ・電気自動車のエネルギーとして最も注目されている燃料電池は、水素を空気中の酸素と反応させ発電するシステムでこのとき水ができる。しかし、現在の水素製造は化石燃料からつくるためCO2を排出するので好ましくない。高性能バッテリーの改良が進むと、家庭用電源で走る電気自動車の方が早く普及する可能性がある。

  5. ゴミ焼却熱、工場・生活廃熱利用
    ・ゴミは1kg当たり約9,200kJの熱量があるという。焼却炉で850〜900度以上で燃焼させて高温の排気ガスを利用する。排気ガスはボイラーとエコノマイザーで熱を回収し、有毒ガスの処理をして排気する。
    ・都市ゴミは年間5,000万トンに達する。衛生処理、減量のために多くは焼却処理する。大量消費型社会から循環型社会に転換する過程でゴミ減少を実現しなければならないが、最終的には工場や生活廃熱利用は必要技術となる。(参考1:P188)



▼参考文献

  1. 大西正宣著「環境と共生する建築 25のキーワード/第2版」2005、学芸出版

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