制作_2000年03月05日 更新*2021年07月21日 生命研究史
進化の謎
しかし、生物が後天的に獲得した形質は遺伝しないことが明らかとなり、ラマルク説全体が省みられなくなった。 1831年から5年間、調査船ビーグル号に乗って各地を調査。1839年「ビーグル号歴訪諸国の博物学及び地質学の研究日記」を出版。 ガラパゴス諸島で動物を観察から、生物進化の仕組み=自然選択説にたどり着いた。1859年「種の起源」出版。(参考2/p155〜) メンデルはエンドウの7種の遺伝形質(種子の形が丸型orしわ型・・・他)を交配し、その雑種2世代まで調べることで、分離の法則・優勢の法則・独立の法則を発見した。(参考4/第一巻/P122) また、オオマツヨイグサで突然変異を発見したド・フリースは「進化の基となる変異は突然変異で生じ、それに自然選択が働く」と考えた。 当時コロンビア大のウィルソン研究室の院生だったサットンは、染色体はもともと2本ずつ対をなしていて、減数分裂では対をなす個々の染色体がそれぞれ分離することを、バッタを使って最初に確認した。 受精で再び対をなす染色体は1方は母方、もう1方は父方に由来していることになり、メンデルの法則で言う「分離の法則」を染色体レベルで説明したことになる。(参考4/1巻/p125) モーガンは個々の遺伝現象はどの染色体にあるのか、相対的な位置関係を示した「染色体地図」を作製し、1915年発表した。 1944年、苦労の末形質転換物質の大量抽出に成功し、それがRNA型とDNA型の核酸であるとうい論文を発表した。(参考4/4巻) ワトソンは、1943年15歳でシカゴ大学に入学。動物学を研究する。インディアナ大で博士号を取得後、コペンハーゲンに研究留学する。1951年、キャベンディシュ研究所に移り、クリックと共同研究を開始する。 1953年、春のある土曜の午前中、ワトソンはねじれた縄ばしごのような構造を見つけた。クリックとワトソンはDNAの構造と機能に関する4つの論文を発表する。(参考2:p301〜) その後、1998年米国ウィスコンシン大学のジェームズ・トムソン教授が、ヒトES細胞の生成に成功。 ヒトES細胞(受精後6,7日目の胚盤胞から細胞を取り出し、それを培養して生成する)を使い、人間のあらゆる臓器の細胞を作る出すことで、難治性疾患の細胞移植治療などの再生医療への道が開くと期待される。(参考5) 2006年、数多くの遺伝子の中から、ES細胞で特徴的に働く4つの遺伝子(Oct3/4、Sox2、Klf4、C-Myc)を見出し、レトロウイルス・ベクターを使ってマウスの皮膚細胞に導入し、数週間培養しました。送り込まれた4つの遺伝子の働きにより、リプログラミングが起き、ES細胞に似た多能性幹細胞が出来ました。マウスiPS細胞の誕生です。 2007年11月、工夫を重ね4つの遺伝子を人間の皮膚細胞に導入して、ヒトiPS細胞の生成に成功し発表する。2012年ノーベル生物学医学賞を受賞。再生医療の臨床研究に取り組む。 (参考5) DNAに書かれた情報がmRNAを介してタンパク質の合成に至る、という分子レベルの仕組みが解明されました。 (参考6) フィラデルフィアにあるテンプル大学の研究員、4年後ペンシルベニア大学の助手となり、mRNAの研究に没頭した。しかし当時はmRNAをただ生物に投与しても、免疫によって異物として除かれ、実用化が進まなかった。 1997年偶然の出会いがカリコ氏を助けます。ペンシルベニヤ大学に着任したドリュー・ワイズマン教授はHIVワクチン開発を目指していました。コピー機の前で出会った2人は、mRNAを使った共同研究が始まります。 そして「mRNAの構成物質「ウリジン」を改変すると、免疫による炎症反応を抑えられる」とする論文を2005年に発表する。 2008年には、特定の「シュードウリジン」に置き換えることで、目的たんぱく質作成の効率が劇的に上がると発表する。DNAを使ったワクチン開発が行き詰まる中、mRNAによるワクチン開発の道が見えてきましが、この時点でこの発見の重要性は見逃されていました。 (参考6) 2007年以降、山中教授発見の「iPS細胞」の研究が世界で進む中、ハーバード大学はmRNAワクチン技術を使ったiPS細胞生成の高い効率に気づきます。mRNAワクチン技術が注目されるようになります。 ドイツの新興企業ビオンテック社はmRNAの研究成果に注目していました。カリコ氏は2013年ビオンテック社に誘われ、副社長に就任し研究を再開します。mRNAの不安定さを脂質膜で保護することで、新型コロナワクチンの開発に成功。米大手ファイザー社と提携して治験を進め、高い有効性のワクチンを1年足らずの期間で生み出した。 一方米国モデルナ社は、2010年ハーバード大のロッシ博士によって創業され、mRNAを使った医薬開発に挑んでいました。米国政府から10億ドル近い開発支援を受け、同じmRNAワクチンの技術を使い新型コロナワクチン開発を進めました。ファイザー社と同様の有効性90%を上回る新型コロナワクチンと成りました。 (参考6・7・8) |