数の世界


1997/7/27作製
1998/11/03更新
円周率(π) Story of pai


円周率の計算

円周率はπという記号で表現しますが、
π=3.14159265358979323846・・・
と無限に続き、分数のように循環もしません。
このような数を無理数と呼んでいます。



●アルキメデスの方法
古代ギリシアの数学者アルキメデスは、BC287年頃シシリー島シラクサで生まれた。当時学問の中心であったエジプトのアレクサンドリアに留学し、その後はシラクサで過ごしました。第2ポエニ戦争でシラクサが負けて、ローマ兵に殺され75年の生涯を閉じたと伝えられる。

アルキメデスが求めた円周率は、円に外接する多角形と内接する多角形から円周の近似長さを計算しました。まず直径Lの円に内・外接する正6角形から計算すれば、
内接正6角形の外周:1/2*L*6=3L
外接正6角形の外周:1/2(√3)L*6=2√3xL
となり円周率は   3<π<2√3
次に、多角形の角数を12,24,48と増やし最後に正96角形で計算し

   3+10/71<π<3+1/7 (つまりπ≒3.14)

と求めました。


円周率計算の歴史(1)
人名(発見者) 年代 計算手段 計算精度
アルキメデス BC3世紀 多角形の近似値(96角) 3+10/71<π<3+1/7
劉徽(りゅうき) 3世紀 多角形の近似値(1536角) π≒3.1416
祖沖之(そちゅうし) 5世紀 不明 3.1415926<π<3.1415927
アリヤバッタ 6世紀 多角形の近似値(384?) π≒3.14156
フィボナッチ 12世紀 多角形の近似値(96角) π≒3.1418・・・
ヴィエート 1593年 公式 2/π=√1/2x√(1/2+1/2(√1/2))x・・・ 小数点以下9桁
ルドルフ 1621年 多角形の近似値(2^62角) 小数点以下35桁

参考文献:野崎昭弘著「πの話」、1974、岩波書店


●ルドルフ(1539〜1610年)
円周率を円に内・外接する正多角形から計算したなかで、最も精度を高めたのはドイツのルドルフでした。1596年に20桁まで計算し、その後も生涯πの計算に情熱を注ぎました。彼の死後、1621年小数点以下35桁まで求めたπの計算値が出版されました。 ドイツではπのことを彼の名をとって「ルドルフ数」と呼んでいます。


●ヴィエート(1540〜1603年)
円に内・外接する正多角形の計算をしていく過程で、πを表す公式をはじめて見つけだしたのがフランスのヴィエートでした。正多角形の角数を増やしていくとき、その周の長さの増え方に規則性があることに気づいたのです。

  2/π=√1/2x√(1/2+1/2(√1/2))x・・・




●無限級数による計算
17世紀になってニュートンやライプニッツにより微分積分が発明されました。πを無限級数を使ってはじめて計算したのがニュートンでした。

●電子計算機による計算
世界で最初の電子計算機は1946年ペンシルバニア大学のエッカートとモークリーの研究チームによって作られ、ENIACと名づけられました。1949年、この電子計算機ENIACを使ってπの計算をしたのが、アメリカのリトワイズナーらで2037桁まで計算しました。

円周率計算の歴史(2)
人名(発見者) 年代 計算手段 計算精度
ニュートン 1665年 公式 π=(3√3)/4+24((1/3*2^2)-(1/5*2^5)-・・・) 小数点以下16桁
シャープ 1699年 公式 π/6=arctan(1/√3) 小数点以下71桁
ベガ 1794年 無限級数 小数点以下136桁
シャンクス 1874年 無限級数 小数点以下527桁(計算707桁)
ファーガソン 1947年 卓上計算機 小数点以下710桁
リトワイズナー他 1949年 電子計算機 ENIAC 小数点以下2037桁

参考文献:金田康正著「πのはなし」1991、東京図書

●計算記録の飛躍
これ以後、電子計算機の発展にともなってπ計算の精度は飛躍的に向上して、1990年頃には小数点以下10億桁を越え、1995年に64億桁を記録しています。
1997年になって記録は大きく更新されました。東大大型計算機センターの金田教授と高橋助手のチームは、同センターの超並列スーパーコンピューターを使って515億桁を達成した。計算時間は6月の最初の計算で約29時間、7月の検証の計算で約37時間。(福井新聞7/26)


▼参考文献

  • 伊達文治著「アルキメデスの数学」1993、森北出版
  • 金田康正著「πのはなし」1991、東京図書

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