KenYaoの天文資料館



1997/6/21製作
2005/05/08更新

ストーンヘンジ Stonhenge

ストーンヘンジは、ロンドンの南西方向に約200Km離れたソールズヘリー平野にある環状巨石群です。






ストーンヘンジ建設の歴史

BC2350年頃、イギリス先住民族(後期新石器時代ころ)はイギリス南部ソールスベリー平野に、直径87mの土塁の内側に環状に開けられた56個の穴(発見者の名前をとってArbrey Holesと言う)を作った。アプローチの軸線は正確に夏至の日の出方角に向かって作られている。ところで、ストーンヘンジはこれまでの考古学的研究から3回の異なった時期に作られ、現在の配置になったと考えられている。
    ストーンヘンジ 第1期 ストーンヘンジ 第2期 ストーンヘンジ 第3期









  • 第1期(BC2350〜1900年頃):土塁・56個の穴・ヒールストン
  • 第2期(BC1900〜1700年頃):中央周囲ブルーストン
  • 第3期(BC1700〜1350年頃):中央環状巨石立石群

天文学からの研究者たち


●ノーマン・ロッキャー
これら石造遺跡は、うすうす古代人が天文観測に使っていたことは知られていたが、おそらく最初に天文学的見地から研究したのは19世紀イギリスの天文学者ノーマン・ロッキャー(1836〜1920年)であった。

彼はエジプトのピラミッドや他の遺構と古代人の天文観測の関わりに注目し、いろいろな建物の方位が太陽の年周運動との関係を発見した。また、ストーンヘンジが太陽観測のためにBC2000年頃にはすでに使用されていたと推論した。彼は今日もっとも著名な科学雑誌「ネーチュア」の創刊者でもある。

●ジェラルド・ホーキンズ
ロッキャーの研究から半世紀後の、1963年イギリス出身の天文学者ジェラルド・ホーキンズ(アメリカのスミソニアン天文台)によってストーンヘンジは脚光を浴びることになった。ホーキンズは科学雑誌「ネーチュア」に「ストーンヘンジの解読」と題する論文を発表した。


古代の天文計算機

●ストーンヘンジ建造時期の計算
ストーンヘンジ中心からアプローチ軸線にあるヒール・ストーン(立石)を結ぶ方向が、古代に正確な夏至の日の出方向であったと仮定して、地球の歳差運動によるずれを天文学的に計算して建造時期を推定して見せた最初の人がロッキャーであった。BC1680年±200年とはじきだした。
ホーキンズは当時最新鋭の電子計算機IBM7090を使って、さまざまな計算をやって見せた。ストーンヘンジが太陽の運行を観測する古代人の天文台だっだことを証明したのである。

●サロス周期
ホーキンズは56個の穴は、日食や月食を予言するための計算用の穴であると考えた。 56という数はサロス周期(月食の単位で18.61年)の約3倍で19+18+19=56年と分ければ18.67年とかなり正確になる。日食や月食は、太陽と月の位置関係で決まるので、月の運行をどれだけ正確に予測できるかがポイントのようだ。


▼参考文献
  1. 磯部王秀三著「宇宙を意図したのは誰か」1995、PHP
  2. 桜井邦明著「天文考古学入門」1982、講談社現代新書

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