KenYaoの週刊スクラップ



週刊スクラップ(1997年夏版)

新聞などの報道から、生命・宇宙に関する記事の気まぐれスクラップです。


◆1997/9/14版

  • 恐竜の卵化石の断層画像
    米国のアマチュア古生物学者リー・シール氏は、白亜紀(1億2500万〜6500万年前)頃の恐竜の卵化石の内部で、頭やあしの形成がみられるエックス線断層画像を公開した。この卵化石は1994年中国河南省で見つかり、シール氏がロサンゼルス近郊の母校(大学)に持ち込んだもの。CTスキャンで調査した結果、卵の中で湾曲した小さな体が浮かび上がり、頭や目、足などを確認できたという。(福井新聞9/13)

  • ブラックホール周囲の光輪観測
    NASAは9月10日、HTS(ハッブル宇宙望遠鏡)がとらえた、乙女座にある銀河の巨大なブラックホールの周囲が紫外線に当たって光の傘(ハロ)をつくっているめずらしい天体現象の画像を公開した。
    ブラックホールはちりに包まれており、これまでの画像では超高熱のガスから出た光がブラックホールの巨大な重力に吸収されてサーチライトのような1筋の光線にしか見えなかった。(福井新聞9/12)

  • エルニーニョ現象の続報
    気象庁は、現在太平洋赤道域で発生している海面水温上昇の観測値を発表した。今年8月の平均水温は27.7度で、平年より+3.1度。この値は、今世紀最大規模であった1982〜1983年に最盛期(12月)の平年比+3.3度に匹敵する。
    今年はペルーなどの南米地域の気温上昇、インドネシアやオーストリシアの小雨などが数ヶ月間続いており、この状態はしばらく続くと予測している。(福井新聞9/11)


◆1997/9/7版

  • 小惑星ベスタの画像
    NASAは、9月4日火星と木星の間にある小惑星の一つベスタ(直径約538Km)のHST画像及び地形分析画像を公開した。NASAの研究チームは1996年5月に地球に近づいたベスタをHSTで観測し、その画像から地形分析を行った結果、ベスタの表面に直径約460Kmもの巨大なクレーターの存在が判明した。ベスタはセレス(直径1003Km)・パラス(直径608Km)についで3番目の大きさで、最も明るいときで6等級の明るさになる。(福井新聞9/6)
    軌道が確かで命名されている小惑星(英文AsteroidまたはMinor Planet)は6000個程あるが、毎年約500個ほどのペースで増加している。発見数が多いのは世界各国の主要天文台(1位はクリミヤ天文台・2位はハイデルベルク・3位はパロマ山)であるが、日本の場合は(アマチュア天文家が多く)1つのグループと見なせば第4位の活躍となる。(天文年鑑1996)



◆1997/8/31版

  • 火星着陸から50日経過の画像
    NASAジェット推進研究所は、7月4日以来火星表面で現在も観測を続けている探査機(Mars pathfinder)が撮影した火星の日没や夕焼けの画像を公開した。日没の画像には、火星水平線に沈みつつある太陽の周囲の空が青色に写っている。
    NASAの計画では探査機の観測期間は約1ヶ月程度としていたが、着陸から50日以上経過した現在も順調に活動を続けている。(福井新聞8/29)



◆1997/8/24版

  • 木星衛星イオの火山活動
    京都市の国際天文学連合総会で、米国立光学天文台のベルトン博士は木星探査機ガリレオが今年5月に撮影した写真から、衛星イオの火山活動は木星の重力が原因であると発表した。写真は木星の衛星の中で軌道が一番内側にあるイオが、木星の影に入ったとき撮影された。
    イオ表面部分の温度分布から、木星に近い側とその反対側に温度の高い部分が集中していることが分かる。(福井新聞8/23)

  • 銀河中心にブラックホールの証拠
    京都市で開かれている国際天文学連合総会で、ドイツのマックスプランク研究所ゲンツェル博士グループと米カリフォルニア大チームは、それぞれ独立した研究で銀河中心にブラックホールの存在証拠を示した。
    ゲンツェル博士らは、南米チリの口径3.5mの望遠鏡でいて座にある銀河中心付近の星を6年間に渡り観測し、銀河中心から1光週(1/52光年)程度の距離にある恒星が2000km秒速の猛烈な速度で銀河中心を周回していることが分かった。この速度から、星の周回軌道内部の質量を計算したところ太陽の約250万倍となり、銀河中心はブラックホール以外にないと判断した。
    一方、米カリフォルニア大のチームはかなり遅れて観測開始したが、世界最大の口径10mのケック望遠鏡を使い2年間観測。銀河中心付近の100個近い星をの速度を突き止め、ゲンツェル博士らと同様の結論(銀河中心の質量が太陽の約250万倍)を得た。
    (福井新聞8/22)



◆1997/8/17版

  • 現代人最古の足跡・南アで発見
    南アのウィットワーテルスラント大学リー・バーガー博士と南ア地学評議会のデービット・ロバーツ博士はケープタウン北約100kmの大西洋海岸付近で2年前、約12万年前の人類の足跡を発見したと、14日ワシントンの米地理学会本部で発表した。発見した足跡は3つで化石化していて、最新の年代測定法で11万7000年前のものとわかった。研究チームによると足の大きさ(22cm)形状から、身長160cm近くの女性の可能性が高いとしている。
    今回の研究発見は、現代人は15万年前アフリカにいた一人の女性の子孫とする「イブ仮説」を支持する研究成果として注目される。

    「人の細胞内の小器官ミトコンドリアの遺伝配列の違いを世界の様々な人種と比較して計算した結果、現代人は約20万年前アフリカのたった1人の女性から生まれた」とする学説を1987年米ハワイ大学の学者が発表し、旧約聖書の話から「イブ仮説」と呼ばれている。その後の研究で「イブ」は14〜15万年前とされているが、人類誕生はアフリカばかりでなく多地域起源説も根強く、学説は定まっていない。 (福井新聞8/16)



◆1997/8/3版

  • スーパーカミオカンデの成果発表
    東大宇宙研究所の戸塚洋二所長らは、岐阜県神岡鉱山地下1000mの巨大な水タンク(スーパーカミオカンデ)で昨年4月からはじめた「ニュートリノ」の観測をまとめ、7/29日ドイツで開催中の素粒子論国際シンポジウムで発表した。「ニュートリノ」は唯一電気を持たない素粒子で、物質とほとんど作用せず地球をも通り抜ける。以前から「ニュートリノ」の観測数が理論値よりも少ないことが知られていたが、別種の粒子に変身して消える振動があれば説明できる。今回の詳細な観測で、「ニュートリノ」の振動の可能性が高まった。現代の素粒子論では質量はゼロと考えれているが、振動があればわずかだが質量を持つことになる。(福井新聞7/30)

  • 赤ちゅん銀河候補の発見
    谷口助教授(東北大学)は奥田教授(文部省宇宙科学研究所)やハワイ大学の研究者と協力して、おおくま座の中心付近にある百億光年以上離れた初期の銀河の観測に成功した。これまで「生まれたての銀河」は周囲にガスや塵があるため(あるいは明るくないため)、地上の大型望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡で観測できなかった。谷口助教授らは欧州の赤外線望遠鏡衛星ISOを使って、ガスの影響の少ない中間赤外線(波長7マイクロm)での観測を試み、赤ちゃん銀河の候補を3個発見した。 (福井新聞7/29)


◆1997/7/27版

  • ゴビ砂漠で肉食恐竜の集団化石発見
    7月25日、中国のゴビ砂漠で恐竜化石の発掘調査をしていた日本・中国・モンゴルの調査団は、白亜紀後期(1億〜6500万年前)の地層から肉食恐竜オルニトミモサウルスの化石を10数体の集団で発見した。団長は福井県立博物館主任学芸員の東洋一氏。 (福井新聞7/26)


◆1997/7/13版

  • 90億光年の距離に暗黒銀河団発見
    東北大学の服部誠助手と理化学研究所の三原建弘研究員らのチームは、わし座のアルタイル(1等星)近くのクエーサーをエックス線観測し、可視光線ではほとんど見えない不思議な銀河の集団を見つけた。地球から観測するとクエーサーから出た光は、何かの重力源のため進路が曲げられ3つに分かれて見える。研究チームはこの重力源の規模を理論的に計算すると数百個の銀河が想定でき、クエーサーのエックス線よりもはるかに強いエックス線を検出したことで、1億度の高温ガスが銀河団の強い重力に捕えられているとした。(高温ガスが銀河団を隠しているという意味?)
    さらに、日本のエックス線衛星「あすか」で観測した結果、銀河団の距離は地球から90億光年で質量は私たちの銀河の2000倍であった。研究チームは7/10発行の科学誌ネイチャーに論文を発表し、この銀河を「暗黒銀河団」と名付けた。
    現在のビックバン宇宙論では、銀河団のような天体形成は30億年前以降とされることから注目される。
    (福井新聞7/10)


◆1997/7/06版

  • 火星探査機の映像公開
    昨年12月4日に打ち上げられた米国の無人探査機(Mars pathfinder)は約5億Kmを飛行して、7月4日 am9:57(米国時間)火星着陸に成功した。着陸後撮影した火星表面の赤褐色の大地のカラー写真がインターネットで公開された。
    探査機に搭載されている探査車で7日程度活動を行い、岩石や土壌の成分を調査する。着陸機本体は約1年稼働して、今年9月に火星軌道に入る周回衛星(Mars global servayer)と連携して大気や地質データーを地球に送る計画。(福井新聞7/6)

  • クエーサー(50億年)の画像撮影
    文部省宇宙科学研究所は、電波望遠鏡衛星「はるか」が米国NRAOなどの地上電波望遠鏡と連携し天秤座とおおくま座のクエーサー(準星)を観測し、核の画像化に成功したと発表した。「はるか」は地上電波望遠鏡と組み合わせて、直径3万キロの巨大な電波望遠鏡として機能したことになる。これらのクエーサーは50億光年以上離れているため、従来の観測手法ではぼやけた画像しか得られなっかた。(福井新聞7/4)



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