KenYaoの週刊スクラップ



週刊スクラップ(1999年秋版)

新聞などの報道から、生命・宇宙に関する記事の気まぐれスクラップです。


◆1999/12/26版

  • ハッブル宇宙望遠鏡修理
    12月22日、米スペースシャトル「ディスカバリー」は故障中のハッブル宇宙望遠鏡(HST)を修理するために船外活動を開始した。
    HSTは先月中旬から姿勢制御装置が故障し、観測できない状態になっていた。21日、シャトルのロボットアームを使ってHSTを捕まえ、船外活動で姿勢制御装置の他主コンピューターも現在より計算速度が20倍の新型に交換する。(福井新聞12/24)

  • 宇宙に時間逆行域存在か
    12月20日、米クラークソン大の物理学者ローレンス・シュルマン博士は、時間が逆向きに流れている領域が宇宙に散らばっている可能性があると発表した。近く米科学誌フィジカル・レビュー・レダースに掲載される。
    同博士は、コンピューターを使って統計的に宇宙の構造を研究するうちにこの新説にたどり着いたという。「宇宙の質量の多くを占めながら正体が分かっていない暗黒物質は、こうした領域の物質かのしれない」と語る。
    時間が逆の領域は今のところ論理的な可能性にすぎず、反対意見も多い。(福井新聞12/22)

◆1999/12/19版

  • 南アで330万年前の猿人化石
    12月16日、南アフリカの人類学グループはヨハネスブルク近郊のスタークフォンテーン洞窟で、約330万年前の猿人(アウストラロピテクス)の腕と手の「完全な形」の化石を発見したと、南ア科学雑誌「南ア科学ジャーナル」に15日発表した。
    この洞窟ではこれまで猿人の化石が多く見つかっており、洞窟周辺地域が今月ユネスコの世界遺産に認定された。
    今週発行予定の同誌に寄せた同グループ代表の論文によると、見つかった猿人のひじの部分は人類と遠い親戚関係にあるオランウータンに類似しており、人類の祖先が木登りをしていたとする説を補強するものだという。(福井新聞12/17)

◆1999/12/12版

  • 火星にあった海
    12月10日、米ブラウンズ大の研究チームは米航空宇宙局(NASA)の火星探査機マーズ・グローバル・サーベイヤーの観測結果を分析した結果、火星の表面の約1/3を占める北半球にかつて広大な海があったと、10日発売の米科学雑誌サイエンスに発表した。
    火星の北半球は低地が広がり、南半球とは対照的で、過去に海岸線とみられる地形が見つかっている。同チームが火星表面の精密な凸凹を分析すると、海岸線とみられる高度より低い場所は非常になめらかで、堆積物が時間をかけて積もったとみられることがわかった。海の深さは平均560mで、海水量は1400万km3と推定した。(福井新聞12/11)

  • ディーゼル車排気ガスに環境ホルモン
    12月10日、東京理科大の武田健教授らはディーゼル車の排気ガスに含まれる粒子状物質(DEP)に、これまで知られているのと違った仕組みで生物のホルモンに影響を与える環境ホルモンがあることを確認し、神戸市で開催中の国際シンポジュームで発表した。
    武田教授らはDEPが、性ホルモンと結合する細胞の受容体を妨げることを突き止めた。マウスの培養液に微量のDEPを加えると、男性ホルモンの受容体と女性ホルモンの受容体の遺伝子発現が共に抑えられることが分かった。(福井新聞12/11)

◆1999/12/05版

  • ヒトゲノム計画で22番染色体解読終了
    12月1日、日米英の共同研究チーム(日本:慶応大、米:オクラホマ大+ワシントン大、英:サンガーセンター)は人の22番染色体に含まれる遺伝情報(ゲノム)を解読が終了し、その成果が2日発行の英科学雑誌ネイチャーに掲載された。
    22番染色体は人の細胞にある46本の染色体のうち2番目に小さく、5000万個の塩基からできており、30億塩基のヒトゲノム全体の1/60にあたる。解読で慶応大グループが担当したのは全体の15%で、塩基の数は英国の1/4以下だが、担当領域は遺伝子とは無関係の意味ない繰り返し配列が多く、解読が最も困難な部分だった。このため解読するDNA材料を独自開発するなど、同グループの果たした功績は大きい。(福井新聞12/2)

  • アジア人はアフリカから海岸沿いルートで広がる
    11月30日、イタリア・パビア大などの研究チームは日本人など東南アジア人のミトコンドリアDNAの配列を調べた結果、アフリカで誕生した現代人が世界に広がったルートは、化石で分かっている北アフリカから地中海東部を経て北に広がったルートに加え、エチオピア付近から海岸沿いにインド、東南アジア、オーストラリアの経路があることが分かったと、米科学雑誌ネイチャー・ジェネティクスに発表した。(福井新聞12/2)

  • 太陽系外に新惑星6つ発見
    11月29日、米カリフォルニア大サンタクルス校のスティーブンス・ボート教授らは、ハワイにあるケック望遠鏡で(太陽系外の)192光年の範囲にある太陽に似た恒星500個を観測し、惑星を従えているものを6個発見した、と発表。
    太陽系外の惑星は遠くて光らないため、直接観測はできない。しかし、恒星の周囲を惑星が回っていると恒星の位置が重力に引かれて揺らぐ現象から、惑星の存在を突き止めた。6つの惑星のうち5つは、恒星からの距離が水が液体で存在できる温度になる範囲にあると分かった。ボート教授は「地球外に生命が存在する可能性が理論的には高まった」と話している。(福井新聞12/01)

◆1999/11/21版

  • 薄くなる北極の氷
    11月15日、米ワシントン大学の研究チームは、米原子力潜水艦による観測結果から、北極を覆う氷の厚さが過去20〜40年の間に平均約1.3m減少したと、発表した。
    研究チームは、一部が公開された米原子力潜水艦の観測データーから、1958年から1976年の北極の(海面より下の)氷の厚さは平均3.8mで、90年代3回の調査では平均2.4mになったと分析。氷の減少は北極東部で激しく、平均3.3mから1.5mに薄くなった。氷は北極全域で薄くなっており、原因として地球温暖化の影響が考えられるという。(福井新聞11/7)

◆1999/11/14版

  • 青木氏10個目の超新星発見
    11月5日深夜、富山市のアマチュア天文家の青木昌勝さんは、ろ座に位置し17.3等級の超新星を発見した。国際天文連盟(IAU)に認定され「1999eu」と命名された。
    青木氏の発見は「1997ei」の発見から2年ぶりだが、これまでに個人で国内最多記録を更新する10個の超新星を発見したことになる。米マウント・ポプキンズ天文台の分析によると「1999eu」は、比較的重い星が進化したタイプの超新星と分かった。(福井新聞11/11)

◆1999/11/07版

  • 衝突する銀河・HST画像
    11月4日、米航空宇宙局(NASA)は2つの渦巻き銀河(大犬座のNGC2207とIC2163)が衝突する鮮明な画像(ハッブル宇宙望遠鏡HST撮影)を公開した。
    観測チームは、地上の電波望遠鏡で観測した銀河の動きをコンピューターで計算したところ、2つの銀河は今から約4000万年前、衝突寸前のニヤミスですれ違ったことが分かった。さらに、小さい方の銀河IC2163は十分な速度がないため再び大きい方の銀河に引き戻され、数十億年後には衝突合体する運命にあるという。(福井新聞11/5)

  • 米で巨大恐竜化石を発見
    11月3日、米オクラホマ大のリチャード・シフェリ教授は、1994年オクラホマ州南東部で見つかった恐竜の首の化石を発掘・分析をした結果、頭を持ち上げた時の高さ約18m体重が約60トンの(これまで見つかった中で最大の)巨大恐竜であることがわかった発表した。
    この巨大恐竜は、これまで最大とされたブラキオサウルス(高さ12m)を大きく上回る。おそらくすごい地響きを立てて歩いたと予想されるため、同教授はギリシャ神話の海神ポセイドンにちなんで「サウロポセイドン」と名付けた。サウロポセイドンは周囲の地層から約1億1000万年前に生息し、4本足で歩き高い樹木の葉を食べていたと考えられる。(福井新聞11/4)

◆1999/10/31版

  • 中国で200万年前の石器発見か
    10月24日、中国新華社電は中国科学院脊椎動物・古人類研究所のグループ(代表・金昌柱博士)が中国安徴省・繁昌の「人字洞」遺跡で約200万年前とみられる(アジアで最古?の)石器を発見した、と伝えた。中国の考古学専門家は、「アジアでの人類の起源の謎を明らかにする発見」と指摘している。
    同グループは「人字洞」遺跡で昨年から3回にわたり発掘を行い、十数点の石器と、加工が施された数点の動物の骨を発見した。同時に出土した長大な犬歯を持つ大型の猫類の剣歯虎など数十種類の哺乳動物の化石から、石器の時代を推定した。(福井新聞10/25)

◆1999/10/24版

  • シベリアでマンモス発掘
    10月20日、米TVのディスカバリーチャンネルは、同社が資金を出した調査隊がシベリアの永久凍土から、ほぼ完全な状態の雄のマンモスを発掘した、と発表した。
    このマンモスは周囲地層の年代測定から、約2万3000万年前に氷漬けになったという。マンモスには皮膚を覆う毛が残っている他、内蔵の研究ができる可能性があるという。同TVでは、精子が取り出せればインド象の卵子を使って、マンモスの雑種作りを試みる。また、DNAからクーロンを作ることも考慮しているという。(福井新聞10/22)

  • 生ゴミ発電の実証プラント
    10月18日、大手建設会社「鹿島」は生ゴミを微生物で処理し、燃料電池と組み合わせて発電する実証プラントを完成させた、と発表した。
    鹿島技術研究所(東京都調布市)に作ったプラントは、一日当たり200kgの生ゴミを処理し110kwの発電能力を持つ。生ゴミを燃やさずに粉砕してタンクに入れ、微生物が有機物に分解し、発生したメタンガスを濃縮する。メタンガス中の水素を燃料電池の酸素と反応させて発電する仕組みという。同社の試算では、一日2.5トンのごみを処理する施設(発電量は約1400kw/日)の建設費は総額はおよそ2億5000万円。(福井新聞10/19)

◆1999/10/17版

  • トホーフト(蘭)、フェルトマン(蘭)の2氏にノーベル物理学賞
    スウェーデン王立科学アカデミーは10月12日、1999年のノーベル物理学賞を、「電弱相互作用の量子論的構造解明」に貢献した2人のオランダ人素粒子物理学者、ヘラルデュス・トホーフト教授(蘭ユトレヒト大・53歳)とマルティヌス・フェルトマン名誉教授(米ミシガン大・68歳)に授与すると発表した。
    フェルトマン氏はワインバーグ・サラム理論が、いろいろな物理量をきちんと計算できる「くりこみ可能性」を持っているかどうかを調べる研究を提案。トホーフト氏は1971年にくりこみ可能であることを証明した。(福井新聞10/13)

  • ズベール(エジプト)氏にノーベル化学賞
    スウェーデン王立科学アカデミーは10月12日、1999度ノーベル化学賞を、「化学反応の詳細な解析を可能にしたレーザー技術の実証」に成功したエジプト出身のアハメド・ズベール教授(米カリフォルニア工科大・53歳)に授与すると発表した。(福井新聞10/13)

  • ブローベル(米)氏にノーベル医学生理学賞
    スゥーデンのカロリンスカ研究所は10月11日、1999年度ノーベル医学生理学賞を、「細胞内でタンパク質が特定の場所に運ばれる仕組み」を発見した、ギュンター・ブローベル教授(米ロックフェラー大・63歳)に授与すると発表した。(福井新聞10/13)

  • 恐竜絶滅新説(巨大化で子孫つくれず)
    10月10日、米ニユーヨーク州立大のマイク・カラノ博士は、恐竜が絶滅したのは巨大化しすぎて交尾できなくなり子孫がつくれなくなったため、という新説を発表した。
    大部分の恐竜は進化するにつれて巨大化し、竜脚類の草食恐竜の多くは1億年前に絶滅するまでに50トンを超える体重になっていたと、同博士は分析する。恐竜の子孫ながらワニや鳥、蛇などの小型の種類が生き残った理由も説明できるとしている。(福井新聞10/11)

◆1999/10/10版

  • 木星の衛星イオの火山活動
    10月8日、米航空宇宙局(NASA)は木星探査機ガリレオが今年7月に撮影した、木星の衛星イオの火山活動をとらえた画像を公開した。
    ガリレオがとらえた噴火は、噴火直後に冷却され凍った二酸化硫黄やガスとみられ、高さ100Kmに達している。イオには同様の活火山が数カ所確認されている。ガリレオは今年11月に高度600kmまで接近し、詳細観測する予定。(福井新聞10/10)

◆1999/10/03版

  • 排ガスで鼻アレルギー悪化
    9月28日、国立環境研究所と筑波大学の研究グループは、自動車の排ガスに含まれる汚染物質(二酸化窒素やオゾン)が鼻のアレルギー症状を悪化させる作用があることを動物実験で突き止め、津市で開かれている大気環境学会で発表する。
    研究グループは、卵白アルブミンを使ってモルモットに鼻アレルギー症状を与え、二酸化窒素やオゾンを吸わせて、くしゃみの回数や鼻水の分泌量を測定した。現代病である花粉症の増加傾向が、大気汚染と関連していることを示唆する数少ない研究と注目される。(福井新聞9/28)


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