KenYaoの週刊スクラップ



週刊スクラップ(2000年冬版)

新聞などの報道から、生命・宇宙に関する記事の気まぐれスクラップです。


◆2000/3/26版

  • 過去最大・南極ロス棚氷の縁が分離
    3月22日、米ウィスコンシン大は人工衛星を使った観測で、南極ロス棚氷から過去最大級の氷山が分離した、と発表。
    大きさは幅37km、長さ295kmで面積約11000平方km(およそ秋田県の面積に匹敵)の巨大な氷山。同大学の予測では、氷山は近くロス海に流れ出すとみられる。(福井新聞3/24)

  • 地球温暖化で21世紀末で4度上昇
    3月19日、「気候変動に関する政府間パネル」IPCCは21世紀末の気温上昇の予測値について、大幅な上方修正を含むシナリオを加えた特別報告書をまとめた。
    新たに加えたシナリオはCO2の排出量が大きく増える場合で、最大で従来予測の2倍である平均気温が4度上昇する可能性を指摘している。(福井新聞3/20)

◆2000/3/12版

  • HIV(エイズウイルス)阻止抗体発見
    3月9日、イタリアの生物学者ルチア・ロパルコ(ミラノ・サンラファエレ病院)他の研究チームは、エイズウイルスの細胞への侵入を阻止する抗体を発見した、と発表した。
    ミラノで記者会見したルチア氏は、エイズの新たな治療法やワクチンの開発につながり得ると述べた。(福井新聞3/11)

  • 火星の南極に幾何学模様
    3月8日、米航空宇宙局NASAは、火星を周回中の無人探査機マーズ・グローバル・サーベエイヤーが撮影した火星南極の詳細な映像を公開した。
    南極の極冠は丸い形が並んだ幾何学模様で、NASAは「まるでスイスチーズのよう」とコメントしている。火星北極は氷で、南極は固体の二酸化炭素(ドライアイス)が主体で出来ているという。(福井新聞3/10)


◆2000/3/5版

  • インダス文明ドーラビーラー遺跡を発掘
    3月4日、インド政府考古局が発掘していた約4500年前のインダス文明・都市遺跡「ドーラビーラ遺跡」の様子がほぼ明らかになった。同じインダス文明の遺跡モヘンジョダロやハラッパに匹敵する都市遺跡で、1辺約800mの方形で住居地区や工房が整然と配置されている。
    考古局の報告書によると、同遺跡は1960年代に発見され1989年から調査が始まり、これまでに遺跡全体の約1/3が発掘された。周囲は石と煉瓦で作られた城壁と幅20m深さ8mのバンク(堀)が巡らされ、都市内は城塞部(行政+官営工房)、居住地、広場などに分かれ、上下水道も整備されているという。(福井新聞3/5)

◆2000/2/27版

  • 埼玉県小鹿坂遺跡で50万年前の原人生活遺構を発見
    2月21日、埼玉県教育委員会は秩父市田村で約50万年前(前期旧石器時代)の地層にある小鹿坂遺跡から、原人が生活に利用した建物の柱穴とみられる跡2カ所と石器を埋めた跡1カ所などが見つかった、と発表した。
    日本列島に原人がいたことを示す跡としては、宮城県の上高森遺跡(60万年前よりさらに古い)で石器が見つかっているが、生活遺構の発見は初めてとのこと。研究者によると、同時代の北京原人は洞窟生活で、世界的にも建物の柱穴は45万年前のテラアマタ遺跡(フランス)がある程度で類例が少ないという。(福井新聞2/22)

◆2000/2/20版

  • 宇宙の果て(135億年前)のクエーサー発見
    2月18日、米航空宇宙局NASA他のチームは、これまでに観測されたなかで最も遠い(地球から135億光年離れた)距離にあるクエーサーを見つけたと、発表した。
    今回のクエーサーは鯨座にあり、米カリフォルニアにあるパロマ天文台の観測で発見された。クエーサーとは中心部に超巨大ブラックホールがある銀河と言われている。ブラックホールに吸い込まれる物質が摩擦熱で高温になって光を発しいているらしい。NASAではこのクエーサーの光を詳細に観測すれば、宇宙の初期状態が調べられると期待している。(福井新聞2/20)

  • 小惑星エロス接近観測開始
    2月14日、米無人探査機ニアは地球との距離は現在約2億5600kmにある、小惑星エロスの周囲を回る軌道に入るのに成功した。小惑星は主に木星の軌道により内側にあり、既に13000個近く発見されているが、探査機が周回軌道に入って近距離から観測するのは初めてである。
    エロスは長さ約40kmの空豆型の天体で、鉄やマグネシュウムを含む岩石でできているらしい。探査機ニアの運用を担当するジョン・ポプキンズ大は、今後高度15kmまで接近しエロスの岩石の組成や鉱物分布を調べる計画。(福井新聞2/16)

◆2000/2/13版

  • 福井で人工知能ロボットの国際シンポ開催
    2月12日、福井大学知能システム工学科創設1周年を記念して、国際シンポジウム「進化・共生するロボットたち」が福井市内で開催された。
    想定された出来事をプログラムしておく従来の人工知能(AI)とは異なり、条件反射の組み合わせで複雑な行動を自律的に実現していくロボット開発をめざす最新の研究が発表された。カナダのロボットベンチャー企業・五味隆志氏とスイス工科大のフロレアーノ助教授は、それぞれ遺伝的アルゴリズム(GA)を使った「人工生命型」進化ロボットの開発の実例・仕組みを説明した。(福井新聞2/13)

◆2000/2/6版

  • 3月に遺伝子食品の国際規格会議
    2月1日、厚生省は遺伝子食品の国際規格を作るための国際会議(バイオテクノロジー応用食品特別部会)を3月14日から4日間の予定で、千葉県幕張メッセ国際会議場で開催すると、発表した。
    特別部会は、遺伝子組み換え食品などの安全性や栄養評価を検討し、必要な基準・指針を作成する目的で、昨年ローマで開かれた食品規格委員会(コーデックス委員会)で創設された。日本はこの特別部会の議長国に就任。今回の初会合には約60カ国が参加、2003年には最終報告書をまとめる予定。(福井新聞2/2)

◆2000/1/23版

  • 耐高気温植物への遺伝子技術
    九州大の射場厚教授(植物生理学)らのグループは、高等植物の細胞に含まれるトリエン脂肪酸の量を遺伝子操作で減らすことで植物の高温への抵抗力を飛躍的に向上させる実験に成功し、1月21日付けの米科学雑誌サイエンスに発表した。
    同教授らは生育温度を上げるとトリエン脂肪酸の量が減少することに着目し、トリエン脂肪酸生成に必要な酵素(オメガ3デサチュラーゼ)の量を増やすと低温への抵抗力がやや良くなることを確認していた。今回はこの酵素の遺伝子をタバコに入れ、トリエン脂肪酸の量を減少させた。実験ではタバコの成長が止まる36度Cを2ヶ月以上成長しつづけ、さらに46度Cになっても壊死は起きなかった。
    射場教授は「植物が様々な温度環境に適応する仕組みが分かってきた。地球温暖化への対応にも有効だろう」と語る。(福井新聞1/21)

◆2000/1/16版

  • 新種のブラックホールか
    1月14日、米ハーバード・スミソニアン宇宙物理センターのチームは米エックス線宇宙望遠鏡チャンドラを使った観測で大型だが超低温のブラックホールを発見したと、米天文学会で発表した。
    見つけたブラックホールは、地球から約230万光年の距離にあるアンドロメダ銀河の中心付近で、太陽の3000万倍の質量を持つ超大型。昨年10月チャンドラを使った観測で、ブラックホールに吸い込まれるガスが発するエックス線の観測に成功した。エックス線の強度から、ガスの温度は数百万度と分かった。これまで似た天体の温度が、数千万度であることから極めて低温という。同チームは、大型になるほどブラックホールの温度が高いとする従来の理論の見直しが必要になると指摘した。(福井新聞1/16)

◆2000/1/9版

  • 国連他3年計画で地球生態系分析
    国連環境計画(UNEP)・米国政府・各国環境保護団体・世界銀行などが共同で、海や陸上など地球上のさまざまな生態系の現状や、それに脅威となる要因などを総合的に分析し、適切な生態系の利用方策を探る「ミレニアム生態系アセスメント」事業を3年がかりで始めることになった。
    計画の素案によると、対象とするのは陸上と海、河川などの淡水域の生態系。具体的には森林に住む生物の種類や個体数、森林や海が吸収・放出するCO2の量、地球の生態系の現状やその中での物質の流れを調査する。報告書は2003年末をめどにまとめる予定。(福井新聞1/4)


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