KenYaoの週刊スクラップ



週刊スクラップ(2000年春版)

新聞などの報道から、生命・宇宙に関する記事の気まぐれスクラップです。


◆2000/6/25版

  • 火星に水の流れ跡
    6月22日、米航空宇宙局NASAは火星無人探査機の撮影した映像を分析した結果、水の流れで削られたとみられる谷川状の地形が多数あると、発表した。
    発見した谷川状の地形は火星の南極近くに多く、風の浸食を全く受けておらず地下から間欠的に水がしみ出て谷川をつくっているとみられる。火星は気圧が低いため、液体の水はすぐ蒸発する。NASAは今回の観測で、地下には大量の水が隠れていると推定。(福井新聞6/24)

  • 鳥の祖先は、恐竜か爬虫類か
    6月22日、米オレゴン州立大のテリー・ジョーンズ博士らは、恐竜類の祖先だったと考えられる太古の爬虫類の1種で羽がある化石をモスクワ博物館収蔵品から発見したと、米科学雑誌サイエンスに発表した。
    この化石は旧ソ連の昆虫学者が、1969年キルギス共和国の2億2000万年前(三畳紀後期)の地層から発掘し、羽のある爬虫類とは分からないままモスクワの博物館に眠っていた。昨年、米ミズリー州で開かれたロシア化石展に出品されたこの化石を、講演に訪れたジョーンズ博士が気付き、分析をしていた。
    鳥の進化をめぐっては、恐竜から進化したとする説と、恐竜の共通の祖先から別々に進化したとする説が対立している。(福井新聞6/23)

◆2000/6/18版

  • ドイツ30年後・原発全廃へ
    6月15日、ドイツのシュレーダー首相は主要電力会社首脳との会談で、国内に19基ある原子力発電所を各原発について商業運転開始から32年前後で全廃することで合意したと発表した。
    ドイツは主要国では初めて脱原発に動き出したが、ドイツは電力の30%を原発に依存している。温室効果ガス削減のハードルをクリアするためには、すでに予定していた自然エネルギー(風力・太陽光発電)の拡大だけでは不十分。代替エネルギー確保が緊急の課題となる。(福井新聞6/16)

◆2000/6/11版

  • 氷河時代のエルニィーニョ
    米ネブラスカ大とマサチューセッツ大の研究チームは、1万7500年前の氷河期にもエルニィーニョ現象が起きていた証拠を発見したと、発表した。
    これまで海水温の上昇が続いて異常気象を引き起こすエルニィーニョ現象は、地球が温暖化した5000年以降に始まったと考えられていた。研究チームは、北米ニューイングランド地方の干上がった太古の湖底から採取した土壌(1万3500〜1万7500年前)を調べ、3年前と5年前のエルニィーニョ発生時とよく似た土壌パターンを発見した。(福井新聞6/7)

◆2000/5/28版

  • アルツハイマー病と飲酒
    5月25日、日本医科大老人病研究所の太田成男教授らは、約900人の遺伝子を分析した結果、酒に弱い体質の人は強い人に比べてアルツハイマー病になりやすいと、日本神経学会で発表した。
    太田教授らは、アルツハイマー病に関連しそうな遺伝子を探す過程で、アルコール(アセトアルデヒド)分解酵素ALDH2の遺伝子に着目した。この遺伝子に変異があると悪酔いしやすく、日本人の約4割は変異型の遺伝子を持つという。アルツハイマー病患者と同数の健康な人のALDH2遺伝子を比較した結果、酒に弱い遺伝子を持つ人は、1.6倍発病率が高いという結果が出た。(福井新聞5/26)

  • パーキンソン病とコーヒー
    5月14日、米ホノルル復員軍人医療センターのウエブスター・ロス博士らは、ハワイ在住の日系人男性約8000人を対象に調査した結果、コーヒーをたくさん飲む人はパーキンソン病になりにくいことがわかったと、米医師会雑誌に発表した。
    同博士によると、従来の研究でパーキンソン病は喫煙や大量飲酒など、健康に悪いことを好む人に発病の割合が低いことがわかっている。(福井新聞5/25)


◆2000/5/21版

  • ゲノム解読競争
    人間の生命の設計図ゲノムの解読をめぐって、民間企業と公的研究機関の競争が激しくなってきた。解読結果を「公共財」にしたい公的陣営と、製薬会社などに販売して利益を狙う企業との対立は深刻になっている。
    1990年に日米欧共同で始まった「ヒトゲノム計画」は、当初2005年ころを目標に進んできた。ところが1998年5月、米セレーラ社(ベンター社長)の発表した「3年で100〜300個の遺伝子特許取得する」という計画でおおきく軌道修正となった。公的陣営は研究予算の増額で解読スピードアップ、今年6月にゲノムの概略図完成・発表することとなった。セレーラ社や他の企業に対して、優先権を主張する狙いがある。
    一方、4月6日米下院公聴会でセレーラ社のベンター社長は「公的陣営の概略図発表は、50万断片に分かれたデーターにすぎず、解読にはほど遠い」と発言。ゲノム解読競争は官と民の対立関係で急進している。(福井新聞5/17)

◆2000/5/7版

  • 惑星直列は5/17
    5月5日、米航空宇宙局(NASA)は太陽系の惑星がほぼ直列に並ぶ様子を、太陽探査機SOHOの画像でインターネットで公開。
    惑星直列は「水・金・地・火・木・土星」がほぼ1直線に並ぶ現象で、地球以外は太陽の反対側に並び、まぶしくて肉眼では観測できない。惑星直列が最も直線に近づくのは5月17日夜で、SOHOの画像はリアルタイムで公開される。(福井新聞5/7)

◆2000/4/30版

  • 木星の小衛星画像
    4月24日、米航空宇宙局(NASA)は無人木星探査機ガリレオが撮影した小衛星3つの画像を公開した。
    ガリレオが1月に衛星イオに接近し、その内側軌道を回る3衛星(メチス:直径40km、アマルテア:直径190km、テーベ:直径100km)を撮影。画像は巨大なクレーターでいびつな地形の衛星をとらえている。 木星には全部で16個の衛星が見つかっているが、今回撮影された衛星を含めて4個は木星の薄いリングを構成する塵のような物質の供給源とみられている。(福井新聞4/26)

◆2000/4/16版

  • 最も遠いクエーサー発見
    4月14日、米国などの観測グループ(スローン・デジタル・スカイ・サーベイ)SDSSは、これまでに見つかった中で地球から最も遠い天体(クエーサー)を発見した、と発表。
    クエーサーは、中心に太陽の質量の10億倍ほどの超巨大なブラックホールがある銀河といわれ、そのスペクトルの赤色偏移が特に大きい天体である。赤色偏移が天体の運動(ドップラー効果)によるものと仮定すると、遠い場合は実に光速の90%以上で遠ざかっているという。
    SDSSの望遠鏡で、今年3月に観測した六分儀座方向のデーターを分析していた米プリンストン大の大学院生が、このクエーサーを発見。ハワイにあるケック望遠鏡の観測で、地球からの距離を観測した。宇宙の年齢を130億年と仮定すると、この天体までの距離は約120億光年となる。(福井新聞4/16)

◆2000/4/09版

  • 伊中共同研究で新粒子発見か
    2月末、イタリアと中国の共同実験DAMAの研究者はダークマタの候補である、陽子の10〜100倍の質量を持つとされる未知の粒子「超対称粒子」をとらえたと、米カルフォルニア州で開かれた国際シンポジウムで発表した。
    実験はローマ近郊の厚さ1.4kmの岩盤の下に検出器を置き、超対称粒子が検出器の原子に衝突して発生する極めて微弱な光を4年間調べた。DAMAチームがとらえた根拠としたのは、太陽や地球の位置が変わることで起きる超対称粒子の量の季節変化。学界は一時騒然となったが、カリフォルニア大バークリーが進めている別の地下実験CDMSとの結果と合わないなど、疑問視する声も多い。(福井新聞4/9)

  • 惑星状星雲NGC6751の画像公開
    4月6日、米航空宇宙局(NASA)はハッブル宇宙望遠鏡で撮影した惑星状星雲NGC6751の画像を公開した。
    この巨大な目玉に似た惑星状星雲は、太陽程度の質量の恒星が晩年を迎え、数千年前からガスを放出しながら拡大している姿だ。位置はわし座にあり、地球からの距離は約6500光年。目玉の直径は0.8光年と太陽系の約600倍。太陽も、およそ60億年後には同様の惑星状星雲になるという。(福井新聞4/7)

◆2000/4/02版

  • 太陽系外惑星2個発見
    3月29日、米航空宇宙局NASAは地球から109〜117光年の距離にある恒星を回っている惑星を2個発見したと発表。
    この惑星は一角獣座と鯨座にある恒星を回っていて、それぞれ土星の80%と70%の重さとみられる。米カリフォルニア大バークリー校のジェフリー・マーシー教授らが、ハワイのケック望遠鏡による観測で、惑星の重力で恒星が揺れる現象を利用して発見した。NASAによると、土星の1/100程度の重さしかない地球規模の惑星を発見する技術は、現在はないという。(福井新聞3/31)


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