KenYaoの週刊スクラップ



週刊スクラップ(2000年夏版)

新聞などの報道から、生命・宇宙に関する記事の気まぐれスクラップです。


◆2000/9/17版

  • 中質量ブラックホール発見
    9月13日、京都大学の鶴剛助手(エックス線天文学)らはNASAのエックス線天文衛星チャンドラによる観測データーの解析で、これまで見つかっていなかった中質量のブラックホールの存在を確認。NASAがその成果を発表した。
    重力で光さえ脱出できない天体:ブラックホールは、これまで質量が太陽の数倍しかない小型のものと、100万〜1000億倍の巨大なものしか確認されていなかった。今回発見されたブラックホールの質量は700〜100万倍と推定され、巨大ブラックホールへの成長過程を知る重要な手がかりになると見られる。(福井新聞9/13)

◆2000/8/27版

  • ペルー・ティティカカ湖底で遺跡群発見
    8月22日、イタリア・ブラジルの調査隊は、ペルーとボリビア国境にあるティティカカ湖の湖底で、大規模な遺跡群を発見したと発表した。
    ティティカカ湖は、海抜3800mの高地にあり長さ194km幅65kmの広さがある。ラパスからの報道では、同湖の「月の島」の近く深さ20〜30mの湖底に、長さ3km・幅600mの島が水没しており、寺院や道路や石垣や段々畑が確認されたという。エビス隊長は、AD500〜1000年頃のインカ帝国以前のティアワナコ文明の遺跡とみていると語る。(福井新聞8/23)

◆2000/8/13版

  • 鳥の恐竜進化説
    8月10日、岡山市の林原自然科学博物館の渡部真人らは、小型肉食恐竜の骨と現在の鳥類の骨に極めて似た微細構造があるという研究成果を、英科学雑誌ネイチャーに発表した。
    渡部さんは骨の微細構造の専門家であるジョン・レンズバーガー教授(米ワシントン大)と共同で、モンゴルや米国で採取された恐竜の骨の断片と、鳥類やほ乳類の骨の微細構造を調べた結果、「獣脚類」という小型肉食恐竜のうちコエルロサウルス類では、骨の中で骨細胞と血管を結ぶ「骨細管」が不規則に形成されていることが分かった。同様に骨細管の不規則な形成パターンを持つのは現存する動物では鳥類だけ。
    渡部さんによると、こうした不規則な繊維形成は骨の成長が非常に速いことを意味しており、コエルロサウルス類は代謝率が高く、鳥類のような恒温動物だった可能性があるという。今回の研究は、鳥類の起源をめぐる説は恐竜進化説=(1億5000万年前に恐竜から分かれた)を裏ずけることになる。(福井新聞8/10)

◆2000/8/6版

  • 反粒子の物理法則差に注目
    7月31日、日本を中心とする国際チームは、高エネルギィー加速器研究機構が筑波市に建設したBファクトーリを使用した実験で、物質の基本粒子と同じ質量で電気的性格が違う「反粒子」の物理法則に微妙な差があることを示す結果を、大阪市で開催中の高エネルギィー物理学国際会議で発表した。
    実験はクオーク2個でできた「B中間子」とその反粒子である「反B中間子」が同時に生まれ、他の粒子に壊れる過程を調べるもので、結果は反B中間子の方が早く壊れる確率が高い傾向が見られた。この実験は「宇宙にはなぜ反粒子がほとんどないのか」という謎を解く手がかりになるとみられ、注目される。(福井新聞8/1)

◆2000/7/30版

  • さそり座δ星・増光中
    国立天文台広報普及部は、今年6月末にアルゼンチンの天文家セバスチャン・オテロ氏がさそり座デルタ星が増光していることを発見し、京都大学物理学教室の運営する「国際変光星ネットワーク」に連絡した。以来、1ヶ月で約60%明るさを増し、いまでは1.8等星(通常2.3等星)になっていると発表。
    広報普及部室長・渡部潤一氏は、新星以外の比較的明るい星が増光する現象は、1937年カシオペア座ガンマ星が2.15等から1.6等に増光した例以来で、63年ぶり。 京都大理学部の加藤太一助手によると、増光原因は「高速で自転するデルタ星から遠心力によって水素ガスが大量に噴出し、星の周囲にできたガスの円盤が光っているのではないか」と推測している。(福井新聞7/30)

  • ニュートリノの質量存在
    7月27日、東大宇宙線研究所などの研究チームは、太陽内部の核融合反応で作られ地球に届くニュートリノが、質量を持つ証拠である「ニュートリノ振動」という現象を起こしているという解析結果を、高エネルギー物理国際会議で発表する。
    研究チームは岐阜県神岡にあるスーパーカミオカンデで1996年以来、太陽からのニュートリノを観測。約1000日分のデーターを解析し、「振動」が起きている確実性が高まった。ニュートリノには「電子」「ミュー」「タウ」の3種があり、これらに質量があると「ミュー」が時間と共に「タウ」に変身したり、元に戻ったりするという。これがニュートリノ振動である。
    今回の観測は「電子」と「ミュー」の間でも振動が起きていることを意味しているという。最終結論ではないが、質量の存在が確定すれば、現在の素粒子理論は修正を迫られる。(福井新聞7/28)

  • 木星17番目の衛星発見
    7月21日、アリゾナ大学とスミソニアン宇宙物理センターのチームは木星の17番目の衛星を発見した、と発表した。
    発見された衛星は直径4.8kmで、木星・土星・天王星・海王星の木星型4惑星の中では最小の衛星となる。現在、木星と太陽が近づいているため追跡観測は困難だが、後に確認されれば名前が付けられる。木星の衛星発見は1976年以来となる。(福井新聞7/24)

◆2000/7/23版

  • タウニュートリノ確認
    7月20日、米フェルミ研究所や名古屋大・丹羽公雄教授らの国際チームは、物質を構成する基本粒子のうち最期まで存在の確認がされていなかったタウニュートリノが起こす反応を検出する実験に成功したと、発表した。
    国際チームはフェルミ研究所の大型加速器で作った素粒子のビームを鉄の標本に当て、タウニュートリノの反応を検出する実験を1997年から開始した。検出には名古屋大学が開発した原子乾板(1種のフイルム)が使われ、粒子の痕跡を丹羽教授らの開発した読み取り装置で解析。600万個の痕跡からタウにユートリノの痕跡を4つ発見した。(福井新聞7/22)

  • 日本で20世紀最後の皆既月食
    7月16日夜、午後8時57分から月が欠け始め、10時2分に月全体が地球の影に入った。茜色でぼんやりと見える月が日本各地で観測された。
    今回の月食は、地球の影のほぼ中心を月が通り抜けたため、皆既時間が1時間47分の長時間になった。これだけ長い月食は江戸時代末期(1859年)以来で、次に同程度の皆既月食は2123年6月9日。ただし、日本では観測できないらしい。(福井新聞7/17)


◆2000/7/9版

  • モンゴルで鳥の特徴もつ恐竜化石発見
    7月6日、モンゴルで恐竜化石の発掘調査をしているバイオ関連企業「林原」(岡山市)は、ゴビ砂漠の白亜紀末期(約7000万年前)の地層から、鳥の特徴である「尾端骨」を持つ化石を発見したと発表した。
    化石はモンゴル古生物学センターと共同調査で1994年に発見。頭骨は失われていたが、首からしたはほぼ完全に残っていた。腰骨の形から小型肉食恐竜「オビラプトル」類の1種と判明したが、尾は非常に短く、先端の5つの骨が癒合し長さ5〜6cmの尾端骨を形成している。尾端骨は尾羽根の土台となるもので、この恐竜の尾の先にも鳥に似た尾羽根が生えていたと考えられている。(福井新聞7/7)


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