KenYaoの週刊スクラップ



週刊スクラップ(1997年秋版)

新聞などの報道から、生命・宇宙に関する記事の気まぐれスクラップです。


◆1997/12/21版

  • 星(太陽規模の恒星)の最期
    12月17日NASAは、太陽規模の恒星が輝きながら一生を終える姿をとらえたHST(ハッブル宇宙望遠鏡)の画像を公開した。太陽と同じくらいの質量の恒星の最期は、小さな白色わい星になると考えられていたが、今回の観測で質量が小さい恒星も最期の姿は複雑であることがわかった。
    公開された画像のうち一つは約2100光年離れた蛇つかい座にあり、中心に恒星が輝き放射されたガスが細長い蝶が羽を広げたような形にみえる。(福井新聞12/19)

◆1997/12/14版

  • 地球温暖化防止京都会議閉幕
    12月1日に始まった温暖化防止京都会議が予定の日程を1日オーバーする展開の末、12月11日午後「京都議定書」を採択した。CO2などの温室効果ガスを先進国全体で5.2%削減する内容で、国別削減率は日本6%・アメリカ7%・欧州連合8%とし、森林の吸収や先進国間の排出権取引と共同実施を導入した。(福井新聞12/12)

◆1997/11/23版

  • 地球温暖化の予測
    12月開かれる地球温暖化京都会議が目前となった。米海洋大気庁発表のCO2濃度による地球温暖化予測では、濃度2倍程度の場合北半球地域で気温上昇が見られ、特に北極の気温上昇が大きい。
    産業革命時(1750〜1800年)までのCO2濃度は約280PPMで、その後急激に増加し1994年には358PPMになった。京都会議に向けた議論は、これから百年後2100年にCO2濃度を産業革命時の2倍の水準(約550PPM)にとどめることに目標をおいているという。この場合平均気温はさらに+2.5度、海面上昇は+50cmと予想されている。(日経新聞11/20)

◆1997/11/16版

  • 同一種の魚も遺伝子に差異
    福井県立大学の西田教授は千葉県立博物館の宮正氏との共同研究で、同じ種の深海魚の遺伝子分析を通じて世界の海洋生物の進化に5つの系統が存在すると、英国科学雑誌「ネイチャー」に発表した。
    2人は個体数が非常に多く世界に広く生息するハダカイワシに似た深海魚ユキオニハダカのミトコンドリア内DNAの塩基配列を比較した。水温・光など環境がほとんど同じ深海同士の比較で、5海域(太平洋北西部・同南部・同中東部・大西洋・インド洋)によって大きな相違があった。地球表面の約2/3を占める海洋域での生物の生態は未解明の部分が多く、生物の分類は外見的な差異の比較にとどまることが多く、遺伝子レベルでの本質的な違いを見分ける手法を使った研究は珍しい。(福井新聞11/14)

◆1997/11/09版

  • ブラックホール回転で時空に歪み
    米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは11月6日、NASAのX線観測衛星RXTEを使かい、5つのブラックホールとみられる領域を観測した。MITのウエイ・スイ博士の分析の結果、ブラックホール周囲のX線の強さに多くのばらつきをがあり、回転する巨大なブラックホール周囲の空間と時間が引っ張られている可能性を示している、という。
    この現象は相対性理論に基づき、1918年にオーストラリアの物理学者レンスとティリングが予言したことから、「レンス・ティリング効果」と呼ばれている。(福井新聞11/08)

  • 天の川周囲にガンマ線オーロラ発見
    米カリフォルニア大リバーサイド校の研究チームは11月4日、NASAのガンマ線天文衛星コンプトンを使って観測した結果、天の川銀河を取り巻くガンマ線のオーロラを発見したと、コロラド州で行われている高エネルギー天文物理研究会で発表した。
    これまでの観測データには多くのガンマ線雑音が含まれていてオーロラの存在はわからなかったが、ディクソン研究員らは雑音除去の新しい処理技術を開発してガンマ線を可視化しオーロラを描き出すことに成功した。(福井新聞11/5)

◆1997/11/02版

  • 天王星に新たな2衛星
    国際天文学連合IAUは10月31日、コーネル大学などの研究チームが天王星に新たに2つの衛星を発見した、と発表した。研究チームはハワイにある望遠鏡で観測し発見した。天王星にはこれまで15個の衛星が確認されており、合計17個になった。(福井新聞11/02)

◆1997/10/26版

  • アンテナ銀河
    NASAは10月21日、カラス座方向にある衝突銀河(NGC4038+NGC4039)をHSTが捕らえた鮮明な画像を公開した。距離は地球から6300万光年で、2つの渦巻き銀河が衝突して長いアンテナが延びているように見えることから「アンテナ銀河」と呼ばれている。
    この銀河には数千もの星団があり、その星団には誕生間もない100万程の星が観測された。衝突の結果星間ガスの密度が高まり無数の星が誕生したと考えられる。(福井新聞10/23)

  • ガンマ線バーストの正体
    ガンマ線バーストとは高エネルギーのガンマ線が宇宙で数秒から数十秒間爆発的に放射される現象で、米国軍事衛星ベラが1960年代後半偶然発見し25年前(1973年)学会に報告されてるが、その正体は未だ確定していない。この現象の研究が進まないのは、継続時間が短いため位置が特定できず、望遠鏡で観測できないためと言う。
    ところが今年になり進展する兆しが出てきた。イタリア、オランダ共同の天文衛星ベッポサックスが今年2月28日発生源の位置をとらえ、地上の望遠鏡で観測した。その結果バースト現象の名残と見られる新星を捕らえた。5月8日にも発生源の位置を特定し、ハワイの世界最大のケック望遠鏡で名残の新星までの距離を求めた。その結果は、数十億光年の遙かかなた。バースト現象が非常に遠方で起きている場合、放射エネルギーはとてつもなく大きく、中性子星同士あるいは中性子星とブラックホールの衝突説が現在の有力候補である。(福井新聞10/22)

◆1997/10/19版

  • ボイヤー(米)、ウォーカー(米)、スコー(デ)3氏にノーベル化学賞
    スエーデン王立科学アカデミーは10月15日、生物のエネルギー源のアデノシン3リン酸(ATP)を合成する酵素の機構解明に貢献したポール・ボイヤー氏(米カリフォルニヤ大名誉教授)、ジョン・ウォーカー氏(英分子生物医学研究所)と、イオンチャンネルポンプを発見したジェンス・スコー(デンマーク・オーフス大教授)に授与すると発表した。
    授賞理由は「生物の細胞内でエネルギー源として機能する物質ATP合成の仕組みや、ATPによるイオン輸送の解明」(福井新聞10/16)

  • チュー(米)、フィリップス(米)、コーエンタヌジ(仏)3氏にノーベル物理学賞
    スエーデン王立科学アカデミーは10月15日、レーザー光を使って原子の動きを止め詳細な観測を可能にする方法を開発したスティーブン・チュー氏(米スタンフォード大教授)とウィリアム・フィリップス氏(米国立度量衡研究所)そして、クロード・コーエンタヌジ氏(仏高等師範学校教授)に授与すると発表した。
    授賞理由は「レーザー光による原子の冷却捕そく法の開発」で、極低温での気体原子の性質の解明や原子レーザーの開発にみちを開いた。(福井新聞10/16)

  • 土星探査機カッシーニ打ち上げ
    米国の土星探査機カッシーニが10月15日、フロリダ州ケープカナベラル空軍基地から打ち上げられた。カッシーニは約7年後の2004年に土星周回軌道到達を目指す。衛星タイタンへの着陸の計画もあり、詳細なデーター収集が期待される。土星付近は太陽光が弱く探査機の電力源として約33Kgのプルトニュームを搭載しているため、反核団体から計画の見直しが求められていた。(福井新聞10/16)

◆1997/10/12版

  • 銀河中心付近に巨大恒星(ピストル星)
    NASAは10月7日、カリフォルニア大学ロサンゼルス校との共同チームが、銀河系のほぼ中心(いて座方向)に太陽の1000万倍ものエネルギーを放つ恒星の存在をHST(ハッブル宇宙望遠鏡)で確認したと発表。
    この巨星は推定半径が1億5000万〜2億2000万Kmで、太陽が1年間で放つエネルギーをわづか6秒で放出する。100万〜300万年前に誕生したと考えられ、星の周囲の星雲は幅が4光年ある。これまで観測された恒星では最も明るく最も大きいと見られ、ピストル星と命名された。(福井新聞10/9)

  • プルジナー氏(米国)にノーベル医学生理学賞
    スウェーデンのカロリンスカ研究所は10月6日、タンパク質でありながら感染性を持ち、致死性痴呆症のクロイツフェルト・ヤコブ病などの原因となるプリオンを発見したアメリカ人スタンリー・プルジナー(カリフォルニヤ大学教授)氏に1997年度の医学生理学賞を授与すると発表した。
    プルジナー教授は、担当した患者がヤコブ病で死亡したのをきっかけに研究に着手し、1982年ハムスターの脳から病気の原因となるタンパク質を分離し、プリオンと名ずけた。カロリンスカ研究所は授賞理由の中で、アルツハイマー病など他の痴呆症の解明や治療の基礎を築くものと評価している。(福井新聞10/7)

  • インドネシアの森林火災
    スマトラ島で起きている大規模な森林火災に対処するため、日本政府が派遣した緊急援助隊の専門家チームがスマトラ島南部ジャンビに到着した。先月下旬発生した森林火災は、海峡を越えて隣国マレーシアにまで大気汚染が広ろがり、海難事故や航空機事故を引き起こした。
    ジャンビ北東に広がるブルバック国立公園は人跡未踏の深いジャングルだが、近年川沿いにランタン目当てに人間が入り込んでいる。長年の落ち葉が腐敗しきれずにたい積した泥炭層が地下2〜6メートルあり、乾燥した泥炭は燃えやすく地下に潜った火はなかなか消火できない。今年は極端に雨が少なく、一度火が出ると消火は困難な状況。(福井新聞10/5)




Return