KenYaoの週刊スクラップ



週刊スクラップ(1998年春版)

新聞などの報道から、生命・宇宙に関する記事の気まぐれスクラップです。


◆1998/6/28版

  • 温室ガス削減案
    6月21日明らかにされた環境庁のワーキンググループの内部資料によると、温室効果ガス削減達成のため、森林によるCO2吸収に多くを頼る方式にすると、ロシア・カナダでは総排質量の60%〜100%近くが森林による吸収で相殺され、排質量を各国間で売買する取引で大きな利益を得ることになると指摘している。
    この案で日本は6%削減義務のうち最大3.7%を森林吸収でカバーできる。(福井新聞6/22)

◆1998/6/21版

  • 銀河NGC7052の中心画像
    6月18日、米航空宇宙局は地球から1億9100万光年の距離にある銀河NGC7052中心部のHST画像を公開した。
    この銀河の中心には太陽の約3億倍の質量を持つ巨大ブラックホールがあり、チリがつくる円盤が確認された。円盤の直径は約3700光年で、中心部が光っているのはブラックホール周りに多数の星が密集しているため。(福井新聞6/20)

◆1998/6/14版

  • ラニーニャ現象の予感
    6月11日、米海洋大気局(NOAA)は世界的異常気象をもたらしたエルニーニョ現象が終息した南米沖の海域水温が、一転して通常より低くなるラニーニャ現象が今年後半に起こるとの予測を発表した。
    ラニーニャ現象は9年前(1988年春から1年間)起きているが、夏にかけて中米・インド・西アフリカで低温、冬は日本・カナダの太平洋岸で厳しい寒さが予想されるという。(福井新聞6/13)

  • 日米共同で宇宙地図作製へ
    6月8日、北半球の空に見える1億個以上の銀河のうち100万個の距離を求め、宇宙の3次元地図を作る日米共同観測計画「スローン・デジタル・スカイサーベイ」の専用望遠鏡の初観測が成功し、その画像がサンディエゴで開催中の米天文学会で発表された。
    専用望遠鏡はニューメキシコ州アパッチポイント天文台の口径2.5mの望遠鏡で、CCD(電化結合子)は日本側が制作し5月頃から調整をおこなってきた。観測は約5年間の予定で、北半球の空の約半分の範囲にある100万個の銀河と10万個のクエーサーの距離を決定する。(福井新聞6/10)

◆1998/6/07版

  • ニュートリノに質量
    6月5日、岐阜県高山市で開催されているニュートリノ国際会議で代表:戸塚洋二(東大宇宙線研究所所長)ら日米の120人の研究グループが、神岡地下に設置してある巨大タンク(スーパーカミオカンデ)で観測した結果、ニュートリノに質量がある証拠となる観測結果を発表した。
    スーパーカミオカンデは神岡鉱山地下深くに設置した5万トンの純水をたたえた巨大タンクで、1996年4月から観測を始めた。ニュートリノは電子、ミュー、タウの各素粒子に対応して3種類あり、理論的にはミュー型が電子型ニュートリノの2倍観測されるという。観測結果では全体で1.2倍、特に地球の裏がわからの数は予想の半分で、ミュー型ニュートリノが長距離移動間にタウ型に変身する「振動」が起きていると結論ずけた。(福井新聞6/6)


  • エルニーニョ終息
    6月3日、気象庁は昨年春に始まり観測史上最大級となった今回のエルニーニョ現象が終息に向かいつつあると発表した。
    昨年11月監視海域の平均海面水温が平年より+3.6度と過去最大になった。例年4月に吹く貿易風が今回はほとんど見られず、5月になっても赤道を中心に高温域が維持されていた。ところが5月下旬になって海面水温が急激に低下しはじめ、大局的には終息に向かっていると気象庁は判断した。(福井新聞6/4)

◆1998/5/17版

  • 巨大銀河ケンタウルスAのHST画像
    5月14日、米国航空宇宙局(NASA)はハッブル宇宙望遠鏡(HST)がとらえた、巨大銀河ケンタウルスA(地球から約1000万光年の距離)の中心部画像を公開した。
    ケンタウルスAは2つの銀河がぶつかってできた銀河で、その中心に超巨大ブラックホールが存在すると考えられている。画像の黒い領域はブラックホールを円盤状に取り巻く冷たい水素ガスと塵で、この領域に沿って生まれたての青白い星が多数見える。(福井新聞5/16)

  • マダガスカルで肉食恐竜の化石発見
    5月15日、スコット・サンプソン博士(米ニュヨーク工科大)らは、マダガスカルの中生代白亜紀後期(9600〜6500年前)の地層から肉食恐竜のほぼ完全な頭蓋骨化石を発見したと米科学誌サイエンスに発表した。最大の肉食恐竜だったティラノザウルスに近縁で体長7〜9mとみられ、頭の全方中央に角があり上部に突起があるという。
    古生代後期から中生代にかけてコンドワナ大陸から南米、アフリカ、マダガスカル、南極大陸が分離していったと考えられているが、今回の発見を含めこの地層から他にもたくさんの肉食恐竜の化石が見つかっているため、南米、マダガスカル、インドは中生代最期の白亜紀後期までは陸続きだった可能性が高まった。(福井新聞5/15)

◆1998/5/10版

  • ガンマー線バースト発見
    5月6日、ジョージ・ジョルゴフスキー教授ら(米カルフォルニア工科大)は昨年12月14日約50秒観測されたガンマー線バースト(GRB971214)を分析した結果、位置はおおくま座方向で地球から約120億光年のかなたで、規模は従来の数百倍以上であることが判明したと発表。
    これまでの宇宙理論では説明できない規模の大爆発で、超新星爆発の数百個分に相当する。米国航空宇宙局(NASA)は来年秋と2005年に専用の観測衛星の打ち上げを予定している。(福井新聞5/7)

◆1998/5/5版

  • ほ乳類の出現は約1億年前
    4月29日ブレア・ヘッジズ助教授(米ペンシルベニア州立大)らは遺伝子分析の結果、ほ乳類の主要な系統は約1億年前に出現していたと英科学雑誌ネイチュアーに発表した。恐竜が絶滅した約6500年前までは、ほ乳類はほとんど進化せずひっそり生きていたという従来の見解とは異なる研究である。
    遺伝子が変異を起こすには一定の時間がかかる。たとえば人と猿の共通の遺伝子を比較し、変異の数から進化の過程で人と猿が枝分かれした時期を推測できる。この手法を使って同助教授らは、米国立衛生研究所の遺伝子データーベースを使って207種の脊椎動物が持つ658種類の遺伝子を比較し変異を調べた。その結果、約1億年前の白亜紀中ごろには、ほ乳類は既に5系統に枝分かれし、主要系統が全て出現していたという。(福井新聞4/30)

◆1998/4/19版

  • 南極の巨大棚氷が崩壊
    4月16日、米コロラド大は米海洋大気局の人工衛星の観測で、南極で最も南米に近い南極半島のランセル棚氷の一部(約200km2:新潟県の面積程度)が本体から分離・崩壊を始めたと発表した。
    棚氷は大陸をおおう氷床が自重で押し出され、海上に張り出した氷の塊で、厚さが800mに及ぶ場所もあるという。ランセル棚氷は南極の中では温暖な最北部に位置するため、崩壊の進行が地球温暖化を示す指標になると専門家から注目されていた。(福井新聞4/18)

◆1998/4/12版

  • オリオン星雲に巨大水源
    4月9日米コーネル大名誉教授らの研究グループは、オリオン星雲に地球質量の約100万倍に相当する水蒸気の塊を見つけたと発表した。
    地球から約1500光年の距離にあるオリオン星雲は、HSTの観測で星の誕生の場として最近注目されている。研究グループは欧州宇宙機関の赤外線望遠鏡衛星(ISO)を使って、この星雲で水蒸気のスペクトルを検出した。星の形成に伴う衝撃波がガス雲を暖めることで化学反応が促進され、大量の水蒸気がつくられたのではないかとみている。これらはやがて細かい氷の粒に姿を変えるという。(福井新聞4/11)


Return