KenYaoの週刊スクラップ



週刊スクラップ(1998年夏版)

新聞などの報道から、生命・宇宙に関する記事の気まぐれスクラップです。


◆1998/9/27版

  • インドネシアでシーラカンス捕獲
    9月24日発行の英科学雑誌ネイチャーに、今年7月インドネシア・スラウェシ島北部沖で生きた化石と呼ばれている原始的魚類「シーラカンス」を捕獲したと、米カリフォルニア大バークリー校とインドネシア科学協会の研究グループが発表した。
    シーラカンスは総鰭(そうき)亜網に属する魚類の一目で、古生代の約4億年前に出現し、約7000年前の中生代に絶滅したとされ、化石でしか知られていなかった。ところが、1938年アフリカ南東部のインド洋で最初に捕獲、1952年以降コモロ諸島周辺でかなりの数の個体が捕獲されてきた。今回インドネシアでシーラカンスが捕獲されたことで、他の海域でも生き残っている可能性が出てきたという。(福井新聞9/25)

◆1998/9/20版

  • 木星の輪の観測
    9月15日、米木星探査機ガリレオの観測を分析しているジョーゼフ・バーンズ博士(米コーネル大)らは、木星の輪(リング)はいん石が当たってはじけ飛んだ木星の月(衛星)の破片でできていると発表した。
    木星のリングは1979年ボイジャーの観測で、内側から1:ハロ(雲状の輪)2:主リング3:ゴッサマーリングの3つの輪の存在が確認されている。今回の観測で、ゴッサマーリングはさらに2つの輪に分かれていて、それぞれ木星の小さな月であるアマルテア、テーベから飛び散った微細な破片でできていることがわかった。また、これらの月の表面はいん石に粉砕されて歪な形をしており、バーンズ博士らは月の岩石の色と輪の粒子の色の詳細な比較検討で、今回の結論にいたったという。(福井新聞9/17)

◆1998/9/13版

  • オゾンホール拡大
    9月10日、気象庁は例年9月下旬〜10月上旬に最大規模となるオゾンホールが、今年は9月始めの時期に南極大陸全域に広がっているため、最大級の大きさが続いた過去6年間と同規模またはそれを上回る規模になるとの見通しを発表した。
    オゾンホールの面積は、9月3日現在で2443平方キロ(南極大陸の約1.7倍)で昨年のピーク時面積2433平方キロ(9月27日)を上回っている。過去面積最大は1996年の2602平方キロ。(福井新聞9/11)

◆1998/9/6版

  • 月の両極に氷60億トン
    9月5日、NASAは月探査機ルナプロスペクターの観測で月の両極に60億トンもの氷が存在する証拠を見つけたと発表した。今年3月の発表では氷の量が3億トンと推定。今回の観測で20倍に増加したことになる。
    ルナプロスペクターの観測は宇宙線や太陽風の粒子が月面に当たって飛び出す中性子を観測し、中性子の速度を遅くする水素が両極に集中している。観測結果を分析したロスアラモス国立研究所は、これは地下にある氷に含まれる水素とみている。氷は月の両極のクレーターの地下約40cmにあるという。(福井新聞9/5)

◆1998/8/23版

  • 太陽観測で宇宙天気予報
    8月19日郵政省通信総合研究所は、太陽活動が引き起こす地上の通信障害の予測のために、太陽観測衛星打ち上げる提案を発表した。
    同研究所の構想によると、地球周辺に影響を及ぼす太陽表面の活動をとらえる衛星、地球を取り巻くプラズマの動きを観測する衛星の2つを使う。郵政省は来年度から研究を始め、2007年頃に2つの衛星を打ち上げる計画を進めるもよう。(福井新聞8/20)

◆1998/8/09版

  • 超高エネルギィー宇宙線観測
    東京大学宇宙線研究所の手島助教授らは、物理理論で予想される値の約2倍の超高エネルギィー宇宙線を明野観測所(山梨県)で初めて観測し今年6月までに合計7例となったと発表。地表1平方Kmあたり100年にほぼ1回の割合で降ってくることになる。初めて観測された1993年当時は、研究者は懐疑的だったが米国・ロシアでも1例ずつ発見されており、超高エネルギィー宇宙線の存在はぼぼ確立した。これらの観測結果はの米物理学会誌フィジカル・レビュー・レターズ(8月10日号)に発表される。
    宇宙線は地球大気に飛び込むと、空気中の原子核と衝突して膨大な数の粒子を発生させる。その規模の大小で宇宙線のエネルギィーを測定する。超高エネルギィーの宇宙線の存在は、その発生源として未知の遠方天体の存在やビックバンの痕跡などの可能性が指摘されている。(福井新聞8/9)

◆1998/8/02版

  • アルツハイマー発症予測
    7月27日ジョン・ブレイトナー教授(米ジョンズ・ポプリンズ大学)らが、老人性痴呆症アルツハイマー病の発症年齢層を遺伝子で予測できると、米科学雑誌ネイチャー・ジェネティックスに発表した。
    教授らが発見したのはアポタンパクE(APOE)というタンパク質の遺伝子で、複数の型が確認されている中で「4型」が発症時期の目印になる。米国の約4900人の老人を対象に調べた結果、4型を両親から受け継いだ人は80〜85歳までに発症、片親だけからの場合は95〜100歳までに発症する。4型を持っていまい人は95歳以下では発症しないという。
    APOEは発症時期に関与するだけで、アルツハイマー病にかかるかどうかは別の数個の遺伝子が関わっている。(福井新聞7/29)

◆1998/7/26版

  • 日本天文広域精測望遠鏡構想(VERA)
    7月25日国立天文台は、日本全国4カ所に直径20mの大型電波望遠鏡を配置し、銀河系内の星の距離と運動を正確に測定して、3次元の銀河地図を作る構想をまとめた。
    建設地は、来年から岩手県水沢市・鹿児島県入来町2カ所で着手。さらに小笠原諸島父島・石垣島・対馬の内2カ所を候補にあげている。4つの望遠鏡を組み合わせることで、直径2000kmの巨大なパラボラ望遠鏡と同じ働きを実現できるという。電波をゆがめる大気の揺らぎを刻々補正する技術の開発を必要とするが、実現すれば10万分の1秒角の高精度の観測ができる。VERAは大型光学望遠鏡が観測した詳細な「銀河の平面地図」に奥行きの情報を加える役割が期待される。(福井新聞7/26)

◆1998/7/19版

  • 100億光年かなたに星生む銀河
    7月15日、米国・日本・英国の3チームの研究チームはハワイ・マウナケア山の電波望遠鏡を使って、それぞれ別の可視光線では何も見えない領域を観測した結果、サブミリ波を放出する天体を発見した。
    天体はガスに包まれた誕生間もない銀河で、地球からおよそ100億光年の距離にある。その内部では1年に太陽100個分の星が形成されているらしく、星が活発に形成された時期が従来の説より数十臆年古いことを示す発見という。(福井新聞7/16)

◆1998/7/5版

  • 火星探査機のぞみ打ち上げ
    7月4日、文部省宇宙科学研究所は日本初の火星探査機を鹿児島内之浦か打ち上げ、地球と月を周回する細長い楕円軌道に乗った。12月には、この軌道から離脱し火星に向かい来年10月に火星周回軌道に到着する予定。
    火星探査機「のぞみ」は、太陽風が火星の大気にあたえる影響を詳しく調査する。(福井新聞7/5)

  • 有機汚染物質の調査開始
    6月30日、環境庁はダイオキシン、PCB(ポリ塩化ビフェニール)やDDT(農薬類)の「残留性有機汚染物質(POPs)」の環境中の挙動の解明・発生源・発生量の目録づくりに着手したと発表。POPsは自然界で分解されにくく、食物連鎖で野生生物や人体に蓄積される化学物質。
    29日カナダではじまったUNEP(国連環境計画)の国際会議では、AD2000年を目標に当面12種類(内9種が農薬)のPOPsを規制対象に想定し、条約交渉が始まった。(福井新聞7/1)


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