KenYaoの週刊スクラップ



週刊スクラップ(1999年春版)

新聞などの報道から、生命・宇宙に関する記事の気まぐれスクラップです。


◆1999/6/27版

  • 火星に磁場のしま模様
    米航空宇宙局(NASA)は、火星探査機MGS(マーズ・グローバル・サーベイヤー)が観測した火星表面の磁場画像を公開した。見つかった磁場は東西方向にしま模様を描いていて、NASAは太古の火星にも地球のようなダイナミックな地殻活動があった証拠だという。
    1997年から観測を始めたMGSは、火星の表面を細長い短冊状に観測。データーをつないで画像化すると、火星の南半球でしま模様が浮かび上がった。しま模様は長いもので約2000kmで、プラスとマイナスが交互に延びている。昔、地下から上昇したマグマが繰り返し地表に現れて、固まった痕跡とみられる。(福井新聞6/25)

  • 米国の風力発電計画
    6月21日、米ネルギー省は地球温暖化防止対策の一環として風力発電を大幅に増やし、2020年までには全電力需要の5%にする計画を発表した。
    米国の風力発電は現在約250万kwで、大型原発2基分に相当するという。これを2005年には500万kw、2010年には1000万kwと・・・5年ごとに倍増する計画。政府の研究費で性能改善をすすめ、風力発電施設への減税措置で目標達成を目指している。(福井新聞6/23)

◆1999/6/20版

  • 中国で原始鳥の化石発見
    6月16日、米カンザス大自然史博物館のラリー・マーチン博士らは中国遼寧省の1億3000万年前の地層から新種の原始鳥の化石を発見したと、17日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
    化石は遼寧省北票市にあるジュラ紀後期〜白亜紀前期の地層から発掘され、始祖鳥(1億5000年前)に次いで古い孔子鳥の新種という。全長15cmと小型で、大きな翼で飛び回っていたと見られる。化石にはとがったくちばしがあり、恐竜の全盛期に既に鳥として進化していたことを示している。鳥と恐竜は共通の祖先から分かれ、別々に進化したとみられる、と博士は指摘する。(福井新聞6/18)

◆1999/6/13版

  • すばるの画像公開2回目
    6月11日、国立天文台はハワイ島マウナケア山頂の光学赤外線望遠鏡「すばる」の試験観測で、4月「りゅう座」の一角の「遠方の宇宙」を撮影したものを公開した。
    この画像は以前ハッブル宇宙望遠鏡で撮影した領域で、すばるの画像を重ね合わせることで、異常な電波銀河3C324の中心に楕円銀河の存在が確認できるという。(福井新聞6/12)

  • 温暖化で海の生態系変化
    6月8日、世界自然保護基金(WWF)と米国海洋保全生物学研究所のチームは、CO2などによる地球温暖化はサケ・海鳥・プランクトンなどの生息に大きな影響を与え、海の生態系を荒廃させると、発表した。
    カナダや日本の研究によると、太平洋のベニザケは冬の海水温の上昇に敏感で、100年後海水が3度上昇すれば生息できる場所が無くなるという。また、南極や北極は海水温の上昇が大きく、プランクトンの減少やえさ場になっている棚氷の崩壊によって、ホッキョクグマやペンギン、多くの海鳥の生存に影響するとみられる。(福井新聞6/9)

◆1999/6/06版

  • 距離110億光年のブラックホール
    米国立ローレンスリバモア研究所などのグループは、観測記録上一番遠いブラックホール(約110億光年)を発見したと、6月3日米天文学会で発表した。
    このブラックホールは海蛇座方向にあり、ハワイのケック望遠鏡や各地の電波望遠鏡で見つけた活動銀河核「TNJ0924-2201」の中心部にあると考えられる。極めて遠い距離にあるのに電波や光が地球まで届くのは、周囲の物質が巨大ブラックホールに吸い込まれる際に、超高温になってエネルギィーを放出するためと説明する。同グループは宇宙の誕生を約120億年前とみており、このブラックホールは銀河の形成に先立つ「原始ブラックホール」かもしれないと指摘する。(福井新聞6/5)

◆1999/5/30版

  • ドリー(体細胞クーロン羊)の遺伝子研究
    5月27日、英ロスリン研究所とポール・シールズ博士(PPLセラピューティクス社)は、1996年誕生した世界初体細胞クーロン羊「ドリー」の染色体の末端にあるテロメアという領域が、普通の羊に比べてやや短いことを発見し、英科学誌ネイチャーに発表した。
    テロメアは染色体の両端にあって、細胞分裂で染色体が複製されるたびにテロメアは短くなるため、酵素によって伸長する仕組みがとられるが、個体の老化に関係すると注目されている。6歳の羊の乳腺細胞から生まれた「ドリー」のテロメアは、普通に生まれた1歳の羊に比べて約20%短く、6歳羊のテロメアと同じであった。シールズ博士らは「ドリーは自然繁殖もでき健康で、老化の兆候は見られない」としている。(福井新聞5/27)

  • 宇宙の年齢2説
    5月25日、米航空宇宙局(NASA)などの国際チームは、ハッブル宇宙望遠鏡で測定した宇宙の膨張速度から、宇宙の年齢を120億歳か、135億歳か、の2説があると発表した。
    同チームは、8年間に渡ってハッブル宇宙望遠鏡で約800個のセファイド型変光星のを観測し、地球からの距離を測定してきた。その結果、地球から326万光年離れた場所の宇宙膨張速度(ハッブル定数)は70キロ/秒(誤差±10%)となった。この膨張速度から宇宙の年齢を計算すると、宇宙に斥力が無いと仮定すると120億歳、斥力があるとすると135億歳になるという。斥力の有無は決着していないが、最近は存在するとの説が主流になりつつあるという。
    134億歳を主張するチャールズ・ラインウィーバー博士(オーストアリア)は斥力の存在を前提にしていて、斥力があると宇宙は永遠に膨張を続ける、と語る。(福井新聞5/27)

◆1999/5/23版

  • 火星で巨大あらし
    5月19日、米宇宙望遠鏡科学研究所は火星の北極付近で発生した巨大な嵐を、ハッブル宇宙望遠鏡で観測するのに成功した、と発表した。
    4月27日撮影の画像から、夏を向かえ縮小した北極の氷部分よりやや大きくなった嵐の直径は1700km以上で、地球の台風と同じ渦巻き型。中央に直径約320kmの「嵐の目」が確認できる。(福井新聞5/21)

  • 天王星に18番目の月
    米アリゾナ大の天文学者が天王星の周囲を回る18番目の月を発見し、国際天文学会連合会は5月19日までに発見を認定した。
    発見した月は直径約40kmで、天王星の雲表面から約51000kmの軌道を、15時間18分の周期で回っている。(福井新聞5/21)

◆1999/5/16版

  • 大型陸生ほ乳類の化石発見
    5月10日、フランス自然史博物館の古生物学者ジャンルー・ウエルコム氏らが今年4月パキスタンで世界最大とみられる陸生ほ乳類のほぼ完全な化石を見つけた、と発表した。
    この動物はカラチの北約500kmのバルチスタン州の丘陵地帯で発見され、高さ約5m、体長約7m、重さ15〜20tと推定される。北米が起源と見られるバルチテリウムという種類で、角のないサイのような姿で、約3000万年前のものとみられる。(福井新聞5/12)

◆1999/5/09版

  • 極リング銀河HST画像
    5月6日、米航空宇宙局NASAは地球から1億3000万光年離れた極リング銀河<NGC4650A>(ケンタウルス座)のハッブル宇宙望遠鏡画像を公開した。
    極リング銀河は、明るく輝く中心銀河と直角の位置に巨大なリングが回っているもので、同種の銀河はまだ100個程度しか見つかっていないという。形成のメカニズムははっきりしていないが、10億年以上前に2つの銀河が衝突して出来たとする説がある。(福井新聞5/8)

  • 32年ぶりのマールブルグ病発生
    5月6日、世界保健機関(WHO)はコンゴ(旧ザイール)北東部で発生した出血熱の流行は、ウイルスが原因で起こるマールブルグ病と確認した。WHOの専門家と「国境なき医師団」の合同チームが流行地域に入り、流行の規模や感染源確定の作業に入ったという。
    マールブルグ病は、エボラ出血熱ウイルスと同じ種類に属するウイルスで、人から人へは血液や体液を通じて感染する。インフルエンザに似た発熱・筋肉痛などの症状から、全身の内出血に至る。治療薬はなく、今年1月にはじまった今回の流行で76人が発病し52人が死亡している。1967年アフリカから輸入したミドリザルが原因で、ドイツのマールブルグ市で集団感染が起き、7人が死亡したことから病名がついたという。(福井新聞5/8)

◆1999/5/02版

  • ガンマ線バーストの観測成功
    米ミシガン大などの研究チームは1月23日、コンプトン衛星がカンマ線を検知してわずか23秒後、バースト源が可視光で輝く姿の観測に成功した。この輝きは双眼鏡で観測できる明るさにまで達した後、暗くなり普通の残光になった。地球との距離は約90億光年。ピーク時の明るさ(8.95等)は普通の銀河の百万倍となり、いままで知られている天体では説明のつかない明るさである。
    この現象を説明できる理論として「火の玉モデル」が注目されている。星の一生の最期である中性子星同士、あるいは中性子星とブラックホールが合体し、ほぼ光速で膨らむ火の玉ができ、ガンマ線などを出すという説。火の玉モデルによれば、火の玉内部から外に向かう衝撃波が周囲の星間物質に当たり逆向きの衝撃波ができ、せん光を放つとのこと。(福井新聞4/27)

  • 亜酸化窒素の濃度が高い日本
    温室効果がCO2の約300倍もある亜酸化窒素(N2O)が、1990年代になって急増していることが判明。N2Oは燃料の燃焼やナイロン原料アジピン酸の製造過程での発生の他、微生物の働きによって土壌や海洋などからも発生する。急増の原因としては、性能が劣化した自動車排気ガス触媒装置や医療用の全身麻酔ガスが疑われているが、国際的も調査研究の遅れが指摘されている。
    気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告によると、1994年の亜酸化窒素(N2O)の大気中濃度は312ppbと、CO2の1/1000という。しかし濃度は産業革命前の275ppbから毎年0.2〜0.3%の上昇率で増加している。
    名古屋大・新井紀男教授は、気象庁が1990年〜1993年観測した岩手県内のデーターを検討したところ、亜酸化窒素の濃度は最高338ppb。4年間の上昇率もIPCC報告の数倍であった。また新井教授らは、走行距離で車の排気ガス中のN2O濃度がどのように変化を測定した。距離1.5kmでは最高12ppm、52000kmで40ppm、70000kmで120ppmと10倍の増加となった。触媒は走行距離が長くなると、汚染物質抑制機能が低下するという。(福井新聞4/27)

◆1999/4/25版

  • 250万年前の新種猿人発見
    4月23日、米カリフォルニア大バークリー校のティム・ホワイト教授、エチオピアのブルハニ・アスフォー博士らを中心とする国際チームは、1996年から1998年にかけてエチオピア、アディスアベバの北東約250kmの乾燥地帯にある小さな村ブーリ近くの250万年前の地層から、新種とみられる猿人の化石を見つけたと、米科学誌サイエンスに発表した。
    猿人は、現地の言葉で「驚き」を意味するガルヒ猿人と名付けられた。石器使用の猿人としては最も古く、足も長く、猿人から現代人の進化の中間に位置する。脳の容積は約450cm3と推定され、現代人ほどは発達していない。
    人類は500万年前以前に類人猿との共通の祖先から分離した。大型動物を捕獲し、石器を使って解体し、食べていた生活様式から現代人の直接の祖先の分岐点を示す可能性がある。研究チームのホワイト教授は「250万年前に始まった肉食は「食生活の革命」で、脂肪分の高い肉と骨髄の食事は、人類がやがてアフリカから他の大陸に移動する原動力になった。」と指摘する。(福井新聞4/23)

◆1999/4/18版

  • 惑星3つの恒星発見
    4月15日、米州立サンフンシスコ大のジェフリー・マーシー教授らは、アンドロメダ座ウプシロン星に3つの惑星があると発表した。太陽以外に複数の惑星があるとみられる恒星が見つかったのは初めてで、注目される。
    地球から44光年離れたウプシロン星は、1996年に同教授らの観測で惑星の存在が知られていた。しかし、星の揺れは1つの惑星の引力だけでは説明がつかず、観測を続けた結果3つの惑星の存在が明らかになった。(福井新聞4/16)

  • 新種のブラックホール
    4月13日、米カーネギーメロン大とNASAのグループは、質量が太陽の100倍〜1万倍で大きさが月程度という新種のブラックホールを発見したと、発表した。 (福井新聞4/15)

◆1999/4/11版

  • 母親のダイオキシン胎児に移行
    大阪医大の植木実教授らの研究グループは、出産後の女性の血液とへその緒のさい帯血を採取しダイオキシンを調べた結果、母親の血中ダイオキシンの90%以上が胎児に移行していることが判明し、10日から東京で開催される日本産婦人科学会で発表する。
    教授らは、昨年同大学病院で出産した23歳から36歳の女性10人から得た胎盤・母乳・血液とさい帯血のダイオキシンを測定したが、ダイオキシンの蓄積しやすい脂肪1gあたり、平均検出量は胎盤組織で67.3p(ピコg)、母乳で28.3p、母親の血液で22.7p、さい帯血で20.57pであった。胎盤は血液の3倍のダイオキシンが蓄積しているが、胎児の血液であるさい帯血の検出量ほとんど減っていなくて、母親の血液の90%以上という結果であった。また、昨年の東京都の母乳調査で経産婦は初産婦に比べて汚染度が低いとの報告が出ているが、今回も同様な結果となっている。(福井新聞4/10)


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