光と風をデザインします

一級建築士事務所 ヤオ設計

地震や風に抵抗する耐震壁

・伝統的な軸組は地震に弱く、昭和23年の福井地震後の建築基準法改正で壁率(面積に対する壁長さ)が導入されました。その後何度かの地震被害を受けるたびに壁率規定の強化が図られ、現在に至っています。

・木造の耐震壁は「面材」「筋違い」「貫」の3種類に分けられます。それぞれの特徴は次の通りです。

 「面材」とは構造用合板や石膏ボードを軸組に釘留めするものです。土壁やモルタル塗り壁も面材タイプです。耐力強度は中間タイプですが、留める釘の影響が大きく、施工方法によりのバラツキがでます。

 「筋違い」とは軸組が構成する四角形に斜めの材を入れて、三角形の架構で構成します。大きな耐力強度がありますが、限界を超えて変形し始めると部材折れ・はずれが生じ、粘りはありません。したがって、接合金物が重要となります。

 「」は我が国の伝統的な建築に使用されてきました。柱を貫通する貫材のめり込みで抵抗します。面格子もこのタイプです。耐力強度は低めですが、変形しても追随して、非常に粘りがあります。

・住宅は日当たりを考慮して南面開口が大きく、壁が北側に偏る傾向があります。大地震では耐震壁が十分あっても、建物がねじられて破壊する場合がみられます。耐震壁の平面配置をバランスよく計画することが大切です。

・建築基準法ではX・Y方向のそれぞれの壁量(=壁長x壁倍率)で地震・風に対する必要基準があります。壁倍率(=耐力強度)の代表としては、面材タイプ:構造用合板=2.5、筋違いタイプ:9cm角=3.0、貫タイプ:土壁=0.5となっています。

・耐震壁が十分あっても、建物中心部に集中しているとねじれを抑えることが出来ません。地震時のねじれに対応できるか、平成12年の改正で基準が定められました。X・Y方向外側1/4にある壁量充足率・壁率比で判断します。

 

床組と耐震性

・床は梁間の根太に板や合板を釘打ちでつくられますが、人や家具を支える十分な強度が必要です。床にはもう一つ大事な役割があります。それは地震・風の水平力を耐震壁に伝えることです。軸組の床面コーナーに火打ちを入れればある程度水平力は伝わりますが、変形が大きく、床が壊れたり梁がはずれたりする危険性があります。

・床組や小屋組の水平耐力は「品質確保促進法2000年」で規定されたものです。床組の種類により強度を「床倍率」で数値化してあります。火打ち+杉板張りの床倍率は低く、構造用合板厚24mm以上を梁に直接釘打ちする床(=根太レス直張)では床倍率=3.0と高い耐力が得られます。

・吹抜けや階段は床に穴を開けることになり、床面の水平耐力に大きく影響します。大きな吹抜けがあるとその反対側へ水平力は伝わりませんので、それぞれ別のエリアに分け、各エリア内で耐力壁をバランス良く配置する必要があります。

 

【参考文献】

山辺豊彦監修「住まいを守る耐震性入門」2006、風土社

国土交通省住宅局建築指導課監修「木造住宅の耐震診断と補強方法」2004、日本建築防災協会

丈夫な構造の家 (その2)