日本200名山 No.94      安平寺山2363m) 

               
平成21年6月20日(土)晴れ 

  車止め(6:25)→休憩舎(7:30〜35)→分岐(8:20〜25)
  →天然公園展望台(8:55)→
古木山(すりこぎ)(9:15〜20)→
  シラビソ山(10:15〜25)→安平寺山小屋(10:50〜11:00)
  →安平寺山(11:40〜45)→安平寺山小屋(12:15〜25)→
  シラビソ山(13:00〜05)→
古木山(13:50〜14:00)
  →分岐(14:20)→休憩舎(14:55〜15:00)→車止め(16:05)


安平寺小屋と安平寺山

この山は休憩舎までの林道をどうするかで1泊か日帰りかが決まる。昨年登った人は4輪駆動でないとあの悪路はだめだと言うし、ホームページなどでも道路の悪さについて書いてあるが写真を見ると一般車が写ってたりもする。ただ、北海道の夕張岳に登った時、油が漏れてにっちもさっちもいかなくなった苦い経験があるので、今回は小屋で泊るつもりで準備をしてきた。
 御坂PAで寝て、朝5時に出発したら林道の車止めまで意外と早く着いてしまったので、日帰りにしようと決意する。寝袋、食糧、ガスコンロなどを出して、万一泊らなければならない時のための最低限のものだけ残した。それでずいぶん軽くなり足取りも軽快になった。途中で作業の人の軽自動車に乗せてもらったので30分ぐらいの節約もできた。
 写真でおなじみの休憩舎の入り口付近にスズランの花が咲いていた。そこからはガイドブックの参考時間があるので大体の目安は立つ。小屋の裏からしばらく進むと急登が始まるが長くは続かず、山腹をトラバースする快適な道に変わる。イワカガミのピンクの花が道の両側に彩りを添えている。やがて摺古木山に直登するコースと天然公園展望台を経由して摺古木山に登るコーストの分岐に出る。その大げさな名前と最高の天候に惹かれて0.9キロの遠回りをすることにした。また足もとが濡れてきたのでスパッツをつける。
 笹の中の気持のよい道を歩いていって谷を詰めていくと見事なシャクナゲの群落に出会った。季節的には遅すぎるのではないかと全く期待していなかった分感動的であった。直射日光に輝くシャクナゲの花は1本に咲く花の数がとても多いように感じた。展望台と思われる広場に着くと、前方におわんを伏せたような摺古木山とその左手に南アルプスや中央アルプスの山々が続いていた。
 摺古木山までもなだらかな傾斜であっという間についてしまう。ここからシラビソ山までは長く感じた。それというのもなだらかではあるがいくつものピークがあり何度も裏切られたからである。標識がなければ通り過ぎてしまいそうな平凡なシラビソ山から安平寺小屋まではあまりにも早く着いてしまったのであっけにとられてしまう。何しろガイドブックと1時間近くの違いがあるのだ。これはひょっとして悪名高い笹とも少しは関係しているのかもしれない。「背丈まである笹」とか「全身ずぶぬれ」という言葉に覚悟はしていたものの笹はきれいに刈られており、とても歩きやすかったのだ。安平寺小屋の手前100メートルぐらいから笹に隠れて足もとが見えなくなってきたが、鞍部にログハウス風の小屋が見えてきた。安平寺山と中央アルプスを背景に黄緑の笹原に経つ小屋はとても素晴らし雰囲気を持っている。小屋前に小さな芝生の広場がありそこに寝転べば最高の気分だ。
 笹は水場まではきれいに刈りこんであるがそこから頂上まではかなり手ごわい笹が待ち受けていた。歩くと乾燥した笹の根本のあたりから泥のほこりが立ち、コンタクトの目に入ると痛い。どの山も頂上直下は厳しい。息を切らせて登り切ると、笹に覆われた林の中に頂上があった。奥深い山の頂上に到達したという達成感はあったが、あまりにもそっけない頂上に満足感はいまいちであった。
 小屋に戻る途中で夫婦に出会う。この人たちが今日会った唯一の人たちであった。つまりこの山には僕を含めてたった3人しかいなかったことになる。順調に休憩舎まで戻ったが、林道歩きの1時間が嫌になるほど長かった。帰りは妻籠方面に降りて、アララギ温泉で気持のよい汗を流した。