日本200名山 NO.61    杁差岳(1636m)    

        
平成18年8月26日(土)〜27日(日)   晴れ
 「1日目」奥胎内ヒュッテ(7:15)→足の松尾根取付(7:55〜8:00)→姫子の峰
   (8:50〜55)→滝見場(9:35〜40)→水場分岐(10:20〜35)→大石山
   (12:00〜15)→鉾立峰(13:15〜25)→杁差小屋(14:05)

  「2日目」杁差小屋(4:25)→鉾立峰(4:55〜5:05)→大石山(5:45〜50)
   →水場分岐(6:50)→滝見場(7:20)→姫子の峰(7:55〜8:05)→
   足の松尾根取付(8:45)→奥胎内ヒュッテ(9:25)
杁差小屋
 午後3時頃家を出て、ひたすら北陸道を走る。新潟から中条まで高速道路が延びていた。豊栄SAで寝る。折しも花火大会が行われていた。景気の良い音があたりにこだまし、大花火の丸い玉が木の間から見えた。

 目指す奥胎内ヒュッテがわからず、胎内パークホテル(国民宿舎なのに豪華)の人に聞いたら親切に教えてくれた。奥胎内ヒュッテから先は通行止めだったが、立派な2車線の舗装された道路がついており、工事のトラックが行き交いしていた。
 登山道にはいるとブナの大木の林で、ひんやりとしている。心に余裕があったのはそこまでで、道はすぐに急登になる。見上げればずっと先まで急勾配だ。張った根が階段の役目をしている。「石狩岳の急登に比べれば楽なものだ」とうそぶいても、体が気力についてこない。
 道は痩せ尾根になり、危険な箇所もある。姫子の峰に出ると急に視界が開けて飯豊連峰の山並みが見えてくる。目指す大石山はきれいな三角形をしているが、登ってみると結構な坂だ。気力を振り絞ってたどり着くと、大学生の集団のにぎやかな声がこだまし、2人の女性が気持ちよさそうに昼寝をしていた。目の前には飯豊の山並みが広がり、頼母木小屋が光って見えた。
 大石山を下っていくと、そこは信じられないくらい多くの種類の高山植物が咲き乱れているお花畑だった。圧巻は紫のマツムシソウだった。こんなに多くのマツムシソウを見たのは初めてだった。この季節にこんなにたくさんの花を見たのも初めてだった。
 鉾立峰もすっきりしたいい形の山だ。山頂手前は苦しかったが、頂上を越せばあとはルンルン気分で歩けるお花畑の中の道だ。穏やかな形の頂上部とその下にあるかまぼこ型の山小屋が早くも見えている。
 山小屋で一服してスリッパで頂上に行ってみた。頂上からは前杁差岳に続く山並みと飯豊に続く山並みが一本の登山道で結ばれているのが手に取るようにわかった。
 土曜日だからか、どんどん人がやってきて最終的には30人以上の満杯となったが、ゆずりあって後から来る人の場所を空けててあげるみんなの心遣いには感心させられた。
 夜中に外に出ると満天の星。天の川もくっきり見えてプラネタリウムの中にいるような感じがした。どこの街か、街の明かりも星に負けないくらいきらきら輝いていた。

 翌朝はみんな4時頃から起きだす。僕もヘッドライトの明かりで準備をして薄暗い中を歩き出す。計ったように鉾立峰の頂上で御来光を見る。雲が掛かっていて幾分物足りなかったが、雲海の上に登る太陽はいつ見ても荘厳な気持ちにしてくれる。
 急登の山は降りるのは早い。大汗をかきながら次々とすれ違う登山者に「頑張ってください」と声をかける。「この苦しみを乗り越えればお花畑が待っていますよ」と心の中で思いながら。