日本200名山 NO.72    八海山(大日岳1720m)    

             
平成19年5月28日(日)  曇り時々晴れ
 ロープウエイ山頂駅(8:10)→女人堂(9:10〜15)→千本檜小屋(10:05〜10)
  →白河岳(10:50)→大日岳(11:05〜15)→7合目・カッパ倉(12:35)→
  稲荷社(13:05〜10)→2合目登山口(13:50)→ロープウエイ山麓駅(14:25)

大日岳
 この山は僕にとって大事件があり、生涯忘れられない山となるだろう。しかし、その詳細は後ほど述べたいと思う。
 朝一番のロープウエイに乗ったが、団体登山者もいてほぼ満員だった。昨日の静かな山とは大違いだ。団体に巻き込まれるのは嫌だったので、先頭を歩くことにした。いきなり遙拝場があってさすが信仰の山だ。今日は曇りで、視界が全く利かないのも意気が上がらない。
 所々雪渓があるぬかるんだ道をゆるやかに登って行くと、1時間で女人堂に着いた。ここにも遙拝場があり、立派な山小屋が建っていた。少し登っていき、大きな雪渓から下を見ればどんどんガスが晴れていき、女人堂や周囲の景色が見えだした。上を見上げれば風にガスがどんどん流されている。いやが上にも期待が広がっていく。
 9合目の千本檜小屋で休んでいると単独で登ってくる人がいて、そこからは一緒に行くことにした。地蔵岳まで行くと例によって「これから先は鎖場の連続、非常に危険です。転落すれば助かりません」と注意書きがある。でもそうだったが、慎重に登れば何とかなるだろうと先頭を切って進んでいった。鎖の長さはそれほどでもないが、八つの岩稜の連なりなので登り下りが激しい。手を離せば助からないだろうと思える大きな絶壁が足下から続いている箇所もある。僕が登ってきた山の中では間違いなく最も厳しい部類にはいるだろう。
 白河岳からは選手交代をした。地元の人らしく、間違いなく技術は僕より上であろう。すいすいと登っていく。最後の梯子は垂直に近く、冷や冷やしたが何とか目的の大日岳に到着できた。岩の上に刀を持った小さな仏像がある。足下には雄大な緑の平野が広がっており、背後には越後三山である駒ヶ岳と中岳が雄大な姿を見せていた。
 帰路は迂回路を通ってロープウエイ山頂駅に戻ろうと考えていた。もう一人の人は新開道ルートを通ってロープウエイ山麓駅まで戻るという。大日岳からいったん下りて途中まで一緒に行き、新開道ルートへの道を分けるとすぐに雪渓があった。幅は広くないがかなり急なので、一歩ずつ足場を作りながら慎重に横切っていったつもりだった。一瞬の出来事だった。雪渓を滑り台のごとく滑り、雪渓下の岩場にしたたか尻と背中を打ちつけてしまったのだ。ほんの数秒のできごとだった。幸い特に大きな怪我はなさそうでほっとした。もし雪渓が何百メートルもあったら、足をくじいて歩けなかったら、と思うと背筋が寒くなる思いだった。誰もいない迂回路は危険と感じ、それからは僕も一緒に新開道ルートを下りていくことにした。
 思ったより早く下山できたが、登山口からロープウエイ山麓駅まで戻る林道や県道が余計だった。後日談になるが、念のために医者に診てもらったら仙骨にひびが入っており、1ヶ月の「登山禁止令」が出されてしまった。これを機会にこれからの登山を慎重に考えなければならないと反省させられた。