日本200名山 NO.62    針ノ木岳(2821m)    

             
平成18年10月14日(土)  快晴
 扇沢駐車場(6:10)→大沢小屋(7:20〜25)→雪渓下(8:00〜05)→針ノ木峠
  (10:20〜30)→針ノ木岳(11:45〜12:20)→針ノ木峠(13:00)→
  雪渓下(14:10)→大沢小屋(14:40)→扇沢駐車場(15:30)
頂上から見た剣岳
 前回挑戦したのは、忘れもしない福井大水害の時だった。コマクサの蓮華岳に登り、次の日針ノ木岳に登る予定だったが、大水害の知らせ。翌朝あわてて下山したのだった。大体様子がわかっていたので、今回は日帰りにした。
 雲一つない青空に赤や黄色の紅葉が映えている。今年の紅葉は本当に美しい。前回水量が多くて渡るのに難儀した大沢小屋手前の沢も、あっけないくらい簡単に渡ることができた。フォルクローレが響いていた小屋に人の気配はない。
 有名な大雪渓はかわいそうなくらい縮んでしまっている。軽アイゼンを付けて登り始める。雪は氷のように固くなっており、滑ると一気に下まで行きそうで恐怖心を感じる。真ん中ぐらいで上部の雪渓とは切り離されている。雪渓の下は大きなトンネルになっており、向こう側まで見えている。さすがに危険なので「べんがら」は右手の巻道の方に誘導している。
 その巻道もいきなりチェーンの連続で、なかなか手強い。道はやがて雪渓のない河原に出て、小さな沢を渡り左岸のしっかりした登山道につながっている。前方を見れば、雪をかぶった針ノ木岳の峰々が朝日に赤く燃えている。
 針ノ木峠までは我ながら順調に進む。峠に立てば針ノ木岳から山が龍の背中のように連らなっており、その先には鹿島槍の特徴的な双耳峰が顔をのぞかせ、正面には爺ヶ岳が見事なピラミッドの形を作っている。全く静かだ。
 峠からいよいよ針ノ木岳を目指す。いきなりの急登だが、そこを越えれば山腹をトラバースした足跡が雪の上に続いている。ただ、雪が固くなっているので慎重に登らないと下まで滑り落ちそうだ。体力的にも一番きつく、頂上に着いたときはかなりバテバテで、自分が決めていたタイムを大幅に越えてしまっていた。
 頂上では剣岳と立山が圧倒的な迫力でせまっていた。先週は雪の雄山に立っていたのだ。足元を見れば黒部湖が八の字形に広がっており、ボートが一艘のんびりと走っている。たった独りぼっちの頂上だ。
 こんなにいい天気で有名な山なのに誰にも会わないと言うのは少し気持ちが悪く、帰りは自然に足が速くなった。快晴で、雪がいい加減な柔らかさになってきたので、小屋の手前から新雪の沢を一気に駆け下りた。その夜は有明荘の温泉に浸かって満足な一日だった。