日本200名山 NO.96    以東岳1771m)    

     
平成21年8月21日(金)  22日(土) 晴れ
 @大鳥口登山口(10:35)→冷水沢(11:35)→七ツ滝沢(12:00)→
  大鳥小屋(13:20)

 A大鳥小屋(5:20)→水場(7:10)→オツボ峰(7:45〜50)→以東岳
  (8:55〜9:05)→東沢徒渉点(10:45〜50)→大鳥小屋(11:20〜35)
  →七ツ滝沢(12:40)→冷水沢(13:05〜10)→大鳥口登山口(14:05)
 @新潟の最後のサービスエリアである豊栄PAで寝て、翌朝国道7号線をひたすら走る。距離は130キロほどだったが下道は想像以上に時間がかかる。それでも大鳥集落を過ぎてしばらくは舗装されていたが、やがて砂利道になり案内もなかったので急に不安になってきた。途中で夏季だけ走る登山者用のマイクロバスとすれ違って初めて安心する。









熊の皮を広げたような形の大鳥湖
 雨は降り止まない。今日の雨はわかっていたので、1日伸ばすかどうかだいぶ思案した。木曜日の天気予報で、金曜日は雨であるが土曜日は完全な晴れであることと、月曜日は仕事なので日曜日に無理をしてでも帰ってこなければならないので、木曜日に出発して、1日目の小屋までは雨の中を歩く覚悟を決めたのだ。
 時間はあるのでゆっくり準備していたら2人が雨の中を歩いて行った。僕も雨具の上下を着て歩き始める。雨はすぐ止んだので全部脱いでTシャツ1枚で歩く。いくらゴアテックスとはいえ夏の雨は蒸れて暑い。しかし間もなくまた雨。今度は雨具の上着だけを付けて歩く。雨の中をあるくとやっぱり気が滅入り、明日にすればよかったと少し後悔の念がよぎる。小屋近くでは土砂降りになってきた。
 大鳥小屋は原電の交付金で作っただけあって、素泊まりの小屋としては立派で、水洗トイレまでついている。管理人は厳しく、濡れたものは小屋に持ち入らず所定の場所に置いて、リュックもシートが敷いてある一角に置かなければならなかった。しかしそれだからこそ、雨でも気持ちよく利用することができるのだ。2階は4人だけだった。

 A縦走組は夜が明けると同時に小屋を出て行った。僕も大きなリュックは小屋に置かせてもらい、サブザックひとつで身軽になって出かけた。道は二つに分かれるが「オツボ峰コース」を登り「直登コース」を降りることにした。いきなりの急登である。やがて立派なブナ林に変わり、背の低い灌木になる。右手に縦走路が見えてくるがガスが流れてすぐ見えなくなる。左手の湿原にはニッコウキスゲがかなり残っていた。この時期にみられるとは思っていなかったので感激だった。
 水場を過ぎれば高山の様相で、ハイマツが茂りマツムシソウなどの高山植物が風に揺れている。稜線は予想以上に風が強く寒い。雨具を防寒用に着こんでなんとか寒さに耐えた。これに雨が降っていたら体感温度はもっと下がるだろう。最近のトムラウシの事故を思い出してしまった。
 オツボ峰で先行の人に追いついた。荷物が軽いと登りは早い。オツボ峰を越すと小さな岩綾帯がいくつも続き、アップダウンも激しい。天気予報は午後から晴れに変わり、ガスの流れで1寸先も見えない時がある。そんなわけで心の準備もできないまま頂上に着いてしまった。着いてもいる場所がなく、セルフタイマーで写真を撮って早々に下山する。一瞬ガスが切れて目の前に以東小屋と周りの景色が現れた。幕が開いて映画が始まるように感激の一瞬だった。
 小屋からそのまままっすぐ進んで行ったが、頭の中にある大鳥湖はもっと右手にあり道を間違えているのではないかと心配になった。周りが見えないということは危険である。ところが天気も回復してきて、熊の敷き皮にたとえられる大鳥湖が目の前に現れ出した。目的地がはっきりしてひと安心である。湖を目指して草原の中を歩く道は爽快そのものである。
 湖に近づくと灌木の中の急坂になりここが結構きつい。太陽の日差しもきつくなり、湖畔の道はアップダウンが激しく体力が消耗する。湖越しに見える大鳥小屋はロマンチックな雰囲気を漂わせているが、相当の汗を流した者しかたどり着けない場所でもある。 小屋について管理人に以東岳の場所を聞く。想像していたよりなだらかで、右手に小屋もはっきり見えた。下からその姿を確認できただけでも良しとしなければならないだろう。
 8時間半山を歩き、8時間半かけて車を走らせ、11時に家に着く。歩いた時間と運転した時間の合計は今までの最高記録である。