日本200名山 NO.99     暑寒別岳1491mm)    

             
      平成21年9月20日(日)晴れ
 南暑寒荘(5:05)→第二吊橋(5:35)→湿原入口(6:25)→展望台(7:15)
 →南暑寒岳(8:35〜40)→暑寒別岳(10:50〜11:05)→南暑寒岳
 (13:05〜15)→展望台(14:20)→湿原入口(15:05〜10)→南暑寒荘(16:15)
 駒ヶ岳に登って、その日のうちに八雲ICから滝川ICまで約400キロ。さらに下道を進み、ゲートパークに建つ南暑寒荘に着いたときはとっぷり日が暮れていた。
 翌日は快晴。天気がいいと明るくなるのも早く、5時には歩くのに十分な明るさになった。管理棟で登山届を出し、環境整備協力金の500円を払って出発する。第一吊橋までは広い車道を歩き、橋を渡ると本格的な登山道になる。前日雨が降ったのか相当ぬかるんでいる。露草で早くもズボンが濡れだし、スパッツを車の中に置いてきたのが悔やまれる。二股になった
(はく)(りゅう)ノ滝を見下ろしながら進んでいくと第二吊橋に着く。
 そこから道はますます険しくなるが、川を利用した靴洗い場に着くと
雨竜(うりゅう)沼湿原の入り口である。靴に着いた種子の侵入を防ぐためらしい。湿原は2キロほどの奥行があり、突き当りの丘が南暑寒別岳である。花の季節は過ぎているが、草紅葉の薄茶色が麦畑のように広がっていて、周辺の緑と絶妙のコントラストをなしている。所々に点在する池塘(ちとう)が青空を映している。一周3,5キロの木道は一方通行になっていて、帰りは違う道を通るようになっている。
 湿原が終わる所に作業者用の簡易宿泊施設があった。そこから少し登った所にある展望台を作っている人のためのようだった。少しできかけていたが、来シーズンには立派な展望台がお目見えすることだろう。
 大きな石がごろごろした道は、遠くで見ていたよりは厳しいものだった。しかしダケカンバからハイマツに変わっていくと道は平たんになり、ひょいと南暑寒岳の頂上に飛び出た。南暑寒岳の頂上には遮るものもなく、素晴らしい大展望だった。正面に増毛の山々とその裏に青海原が広がっている。目指す暑寒別岳まだかなり先にそびえている。いったん下って登っていく登山道がはっきり見えている。これからもう一つ山を登るくらいの苦労を覚悟しなければならない。
 いきなり噂に聞く180メートルの急降下である。ロープはついているものの足もとの岩はもろく、滑り安い。道はだんだん緩やかになるが、今度は刈られた笹が道の上を覆っており何回かしりもちをついてしまう。紅葉は盛りで、ナナカマドの赤がまぶしい。右下には
雨竜(うりゅう)沼湿原程の規模ではないが、手つかずの湿原が広がっている。暑寒別岳の頂上は近づくにつれていろんな姿を現す。大きなガレ場の端をひやひやしながら通り抜け、急登を喘ぎながら登っていくといったん平たんになり、最後のガレ場を登り切ると頂上である。
 頂上には5,6人が休んでいたが、あいにくのガスで周りは見えない。さすがに風は冷たく、ジャンパーを羽織ってもじっとしていると寒さが身にしみる。苦労して登ってきた割に頂上にいる時間はあっという間だった。長い下りのことを思えば、そんなにのんびりしているわけにはいかない。
 南暑寒岳の頂上に着くと登山者が騒いでいた。なんと海から突き出た利尻山が見えるではないか。手前の島影は天売島であろう。海岸にへばりついている留萌の街も見える。反対側には羊蹄山とニセコアンヌプリの特徴ある姿が見える。至福の時間であった。
 湿原を歩く頃はさすがに疲れが出たが、予定通り南暑寒岳に着き心からほっとし、11時間以上歩いたという限りない充実感を感じた。