日本300名山 No.95   荒海山 (1581m) 

              
平成28年11月5日(土)晴れ  

   戸坪沢チェーン脱着場(6:20)→尾根取付き(6:35)→正規登山道合流地点
  (7:50~55)→荒海山(9:55~10:15)→正規登山道合流地点(11:40~45)
  →尾根取付き(12:35)→戸坪沢チェーン脱着場(12:45)

 この山には春に登る計画をしていたが、八総鉱山跡からの登山道は豪雨のため崩壊していて登山禁止になっていた。半分あきらめていた所、戸坪沢から藪漕ぎをして登頂した人の記録がネットにぼつぼつでてきた。かなり不安ではあったが、赤テープが頻繁につけられているようなので挑戦してみることにした。
 車が凍るほど寒い朝だった。いつのまにか車が2台止められていたが、1台はエンジンがかかったままだった。先頭は避けたかったが、明るくなってきたので覚悟を決めて、道路の反対側の林道に入って行った。記録には「入山禁止」のロープが張られていると書かれていたが、それらしきものは無い。入山する人が多くなってきたので取り外されたのだろう。しかし、山に関する案内は一つも無いので、自己責任で勝手に登ってくださいということだろう。
 間もなく赤いビニールテープが出てきてほっとする。水のない沢を渡りさらに進んで行くと水が流れている二つ目の沢を渡渉する。沢の反対側には何本ものテープが風になびいており、まるで登山者を歓迎しているように見える。ここから本格的な登りとなる。いきなりの急登で、横歩きを強いられる。道は左に折れ、傾斜の緩くなった尾根をひたすら赤テープに導かれながら慎重に歩く。本格的な薮の中に入ったり、尾根をまいたり、テープを探して立ち止まったりしながら正規の登山道に合流する。
 急にテープが無くなったので確信はしていたが、少し先に「荒海山登山道」の標識が出てきてようやく安心する。しかし実はここからが苦難の連続だった。木の根が張った道は歩きにくく、枯れ葉おおわれた所や溶けた雪でぬかるんだ黒土は滑り安い。そしてロープなしでは登れない急登が数カ所ある。雪が出てきて先達の足跡があり、先頭でないのが分かって少し安心したが。
 最後の急登を乗り切り稜線に出たが頂上はまだ先だった。もとは雨量観測小屋であったという南稜小屋を左手に見るとようやく頂上だ。さえぎるものは無く、山頂からの眺望は素晴らしいものであった。日光連山が目の前にあり、反対側には七ヶ岳の峰々が見えた。那須連峰や吾妻連峰も見えるはずだが、残念ながらいくつもの山の連なりがどの山か同定することはできなかった。陽が射してぽかぽかして暖かいのでいつまでも佇んでいたい気分だったが、帰りのことを考えるとのんびりしている気分ではなかった。
 土曜日だったからか、帰路5,6人の人に会った。何だか心強い。慎重に降りたつもりが、一度足を滑らして1メートルほど落下した。もしここが崖だったらと思うと冷や汗が出た。正規の道を外れるとまた藪漕ぎだ。右に曲がる所を勢いでまっすぐ行ってしまったりするので、下りの方が道を間違え安い。ここにテープが欲しいなと思われる個所があったり、一瞬テープが消えてしまい立ち止まって目を凝らすことも何回かあった。しかし、無事林道に戻ると紅葉を愛でる余裕も出てきた。もう一つ登ることも考えていたが、荒海山を征服したことで納得し、家に帰ることにした。

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