日本300名山 No.60   (だい)千軒(せんげん)(だけ)1072m) 

            平成27年
7月10日(金)晴れ

   奥二股登山口(6:00)→広い川原(6:55)→金山番所跡(7:50~55)→
  千軒銀座(8:10)→休み台(8:35~40)→千軒平(9:40)→大千軒岳
  (10:10~20)→千軒平(10:40)→休み台(11:15)→千軒銀座(11:35)
  →金山番所跡(12:10)→広い川原(12:45)→奥二股登山口(13:40)

函館山の左手から真っ赤な朝日が出てきた。山以外でご来光を拝んだのは久しぶりである。登山口に不安があったので早めに出発する。福島町千軒をしばらくいくと「大千軒岳登山口」と書いてある看板を見つけほっとする。すぐ後ろにも登山者らしい車が続いているので間違いない。しばらく行くとその車が消え、道もだんだん荒れてきて、枝道も2ヶ所あったので間違えたのかもしれないと思い、引き返すと件の車がやってきた。道が悪いのでゆっくり来たとのことである。駐車場はほんの少し行った所だった。金沢ナンバーだったので親しみを感じて話しかけるのだが愛想が悪い。しかし、ともかく後について行かせてもらうことにした。
 作業道跡を下り、「歓峡橋」という橋を渡ってしばらく河畔を進むと、高巻(山腹のう回路)の連続である。いくつかの小さな沢を渡る時、結構傾斜がきつく危険な個所もある。知内川がはるか下に見える高巻もある。やがて「広い川原」と呼ばれる気持ちの良い場所に出る。そこから倒木を手すりにして対岸(左岸)に渡り穏やかに登って行くと、石垣の上に十字架が立っている「金山番所跡」に出る。迫害されたキリシタン信徒は鉱夫として働いていたが、やがて弾圧が厳しくなり106名が斬首された。ここでは毎年夏に追悼ミサが行われている。 二つの沢の合流地点が「千軒銀座」と呼ばれているが、その先からいよいよ尾根に取付く。かなりの急登が続くが、神威岳のことを思えば何のことは無い。登るに従い見晴らしがよくなり、正面に中千軒の堂々とした連なりが目に飛び込んでくる。振り返れば海も近い。千軒平に近づくと高山植物が現れる。いまはニッコウキスゲとイブキトラノオの最盛期だ。大千軒もようやく全貌を現わす。
 「千軒平」にも十字架が立っている。ヨーロッパの山頂にもよく見られるので違和感はない。大千軒岳に続く山並みとむしろ調和している。稜線もニッコウキスゲの黄色で埋め尽くされている。大小二つのコブをたどってようやく頂上に着く。山頂からは津軽海峡を経て八甲田山や岩木山が随分近くに見える。ぐるりと北海道の山々に囲まれているが、山名が同定できないのがもどかしい。
 フェリーの時間もあるので、一人で先に下山することにした。千間銀座を過ぎたところで道に迷ってしまう。踏み跡をたどれば元に戻るか河原に出てしまうのだ。後ろからついていくだけだったので既視感がない。左岸を歩いて行くことは間違いないのでしばらく川の中を歩くことにした。左手の支流に赤いテープを見つけた時は生死に一生を得たような気分だった。
 今回の北海道遠征は天気に恵まれ、滞在7日間で6つの山に登ることができ大成功だった。


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