日本300名山 No.     爺ヶ岳2670m) 

    平成23年
10月23日(金)〜24日(土)

   10月23日(金) 晴れのち曇り一時雪
   扇沢(8:30)→登山口(8:45〜50)→八ツ見ベンチ(9:35)→一枚岩
  (10:40)→アザミ沢(11:30)→鉄砲坂(12:00)→種池山荘
  (12:15〜45)→爺ヶ岳(13:35〜40)→
(つべた)(いけ)山荘(14:55)

 鹿島槍から五竜岳を縦走して、遠見尾根からテレキャビンで戻ってくる予定だったので、(かみ)(しろ)の駅に車を置いて、電車で大町まで行く。車内には模擬試験を受けに行く高校生がいて、横で話を聞いているだけで面白かった。英語は長文からやり、国語は漢文からやった方が点数が取れるらしい。扇沢まではバス。距離にしては値段が高すぎはしないだろうか。
 登山口でカードを書かされる。すごい寒気がきているらしい。石が並ぶ登り一辺倒の道であったが、それほど急坂ではないので快調に登っていく。眼下の扇沢の駐車場の車がだんだん小さくなっていく。ガレ場や水平道を通って、最後の急登を乗り切れば、種池山荘が見えてくる。前回来た時は鹿島槍ヶ岳がきれいに見えていたが、今日は雲の中だ。その代り爺ヶ岳が小屋横にきれいな三角錐を見せていた。
 胞子になったチングルマの横を通り砂利の山道をゆっくり登っていく。左手奥には今晩の宿冷池山荘やその上部に色とりどりのテントも見えている。爺ヶ岳の頂上では登山グループが仲間の還暦を祝っていた。写真だけとってゆっくりする間もなく頂上を離れる
 そこからは下りになるので楽だったが、天候は一気に崩れ、なんと雪が降ってきた。この時期、立山で大雪に見舞われたことがあったので3000メートル級の秋山は侮れない。いつ冬山に変貌するかもしれないのだ。横殴りの風と雪でほほが痛く、体も一気に冷えてきた。小屋まではそれほどの距離ではなかったで助かった。
 3連休だからか、小屋はすごく混んでいたが、布団2枚に3人だからまだいい方かもしれない。部屋に入ってからも、余りの寒さに指先や足先がしびれてくる。同室には鳥取や広島から来た人もいた。車で来たというから大変だと思ったが、考えてみれば僕だって今年の春は四国や中国の山に行っているのでおあいこだ。
 館内放送では五竜までの縦走は凍結のため気をつけるように言っている。ちょっと甘かった。明日は止めにした方がいいかなと思いながら眠りに着く。
   10月24日(土) 晴れ
 (つべた)(いけ)山荘(5:50)→爺ヶ岳(7:15)→種池山荘(8:00〜10)
  →鉄砲坂(8:20)→アザミ沢(8:45)→一枚岩(9:20)→八ツ見ベンチ
  (10:15)→登山口(10:50)→扇沢(11:10)

 長袖2枚にジャンパー、ズボンをもう一枚はいたが、大勢の人の体温のせいか、だんだん暑くなってくる。結局ジャンパーとシャツ、それにズボンと一枚ずつ脱いでいった。4時頃から準備をしだす人がいて目を覚ます。5時頃「小屋はマイナス1℃、鹿島槍はマイナス5℃、確実に凍結しています」という館内放送が入り、引き返す決心をした。鹿島槍まで登ることもできたが、11時のバスに乗りたかったのでそのまま下山することにした。
 小屋前の広場は御来迎を見る人でいっぱいだった。今日は雲がかかっていないので、久しぶりに見るすっきりしたきれいな御来迎が雲海の上に現れた。朝の太陽が、目の前に見える鹿島槍ヶ岳を赤く染めている。 雲ひとつない青空の中を下山する。剣岳や立山が裏から見るいつもと違う姿を見せていた。昨日あまり見えなかった針ノ木岳や蓮華岳が眼前にそびえ、その左手には槍穂高連峰、さらに富士山、八ヶ岳と、下りながらこれだけの山々を目にできるのは珍しい。念願の縦走はできなかったが、これだけ素晴らしい景色を見ることができたので、「これもよかったかな」と思えるようになってきた。
 バスの時間に合わせて、ゆっくり下山した。下界に戻ると強い日差した夏のようだった。行きと同じ交通機関で(かみ
)(しろ)の駅まで戻り、道の駅でそばの昼食。5時前には家に着くことができた。