神威岳に登った後、日高自動車道、道央自動車道を通り、有珠SAで泊まる。そこから見る街の明かりと海と山影を映す夕日は、とてもロマンチックであった。
高速道路の途中が工事で通行止めであることが分かっていたので、6時半ごろ出発したが、ナビの到着予定時刻を見て大いにあわてる。ただ、日本海側に出るまでほとんど車が通らない道だったので、かなり時間を短縮することができた。登山口はやはり奥深いところにあったが、ずっと舗装されていたので安心だった。
山名はアイヌ語から来ているらしいが、この辺は熊の生息地であり「熊を狩る場所」と考えた方がぴったりくる。登り始めからダケカンバの急登が続く。幹が蛇のように地を這っている木があって、いかにこのあたりが豪雪地帯かがわかる。右手の樹林の切れ目から、狩場山の穏やかな山容を見ることができる。真駒内コースとの分岐地点を過ぎると森林限界を超え、ネマガリダケの林となる。
すぐ、一つ目の小さな雪渓に出る。八海山の雪渓で滑って、尾骶骨にひびが入ったことがあるので、念のために軽アイゼンをつける。これで安心感がかなり違う。次の雪渓は大きくて傾斜がきつく、軽アイゼンでは心もとなかった。そこで、前の人の後を追って雪渓の上部を歩くことにした。雪が解けた後の草が滑りやすく、雪渓の上に行くのも大変だった。
南狩場はヘソのように丸く突き出ている。その手前に狩場山の山頂部を眺めることができる場所が ある。のっぺりした山容である。大きな岩を登って行けば案外早く南狩場に着き、最後の雪渓を踏めば広々とした山頂部に出る。「親沼」や「鏡沼」などの小さな沼が点在し、ミヤマキンバイやシャクナゲなどの高山植物が現れる。最奥の小さな高見が山頂で、入り口に鳥居が立っている。視界は急速に悪くなり周りが真っ白になってきたので、写真を一枚撮ってもらい、早々に下山することにした。南狩場を過ぎるとガスは晴れ、奥深い山々と近くに見える日本海が目の前に広がっていた。
千走川温泉で汗を流し、10キロぐらい進んだ所で時計を忘れたことに気づき、また戻ると、後に入った人が帳場に届けてくれていた。感謝感激だ。この日は、函館山と函館の街、そしてイカ釣り船の明かりが見えるパーキングで寝る。
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