日本300名山 No.32     2090m) 

         平成23年
9月10日(土)晴れのち曇り

   ゴンドラ山頂駅(7:25)→瀬戸蔵山(7:55)→大品山(8:30〜35)→
  鍬崎山(11:15〜25)→大品山(13:30〜35)→瀬戸蔵山(14:10)
  →ゴンドラ山頂駅(14:40)

 立山の室堂行きのバスの中の説明で、必ず出てくるのが鍬崎山だ。佐々成政が数万両の軍用金を埋めたというが、登ってみるとそんなロマンチックな伝説が信じられなくなるほどハードな山だった。朝4時半起床。5時前に高速に乗り、順調にらいちょうバレースキー場のゴンドラの所に着く。毎日運転で、休日は始発が6時というからありがたい。
 ゴンドラ駅から左手に進み、藪の中に入っていく。道は窪んだ所は先日来の雨で相当ぬかるんでいるが、しっかりした階段がつけられ手入れが行き届いている。途中の林の中にブランコが作られており、ハンモックまで掛けられていた。
 瀬戸蔵山からは立山の山並みがきれいに見えていた。また、登山道の両脇の木々の間から、きれいな円錐形の鍬崎山が姿を現していて、俄然登山意欲がわいてくる。大品山からは大日岳、奥大日岳が青空をバックにきれいなスカイラインを見せている。
 しかしそこまでであった。大品山を下り、登り返すころにはどんどんガスがわいてきて、回りは何も見えなくなってしまった。直射日光がさえぎられて涼しくはあったが、ひたすら足元を見ながら歩くのは厳しいものがある。両側がきれいに刈り込まれた広い登山道はやがて、笹に隠れてしまうところもある細い登山道に変わった。独標を目指していたが、それらしきものは何カ所かありなおさら疲れる。数回のアップダウンを繰り返して登りにかかるとどうやらその先が頂上らしい。談笑している登山客の声がだんだん大きくなり、自然と速足になる。
 かなりばてばてで頂上にたどり着く。狭い頂上部は岩でごろごろしており、女性のグループと山の会のグループなど15人ほどがひしめき合っていた。ちょうど女性たちは帰る所で、岩の上の特等席に座ることができた。しばらくすると山の会人たちが歌い始めた。頂上で山の歌を歌うのが習わしのようだった。山頂で聞く歌はそんなにうまくなくても(失礼!)心に響く。そういえば笠ヶ岳に登った時もすばらしい男女のハーモニーを聞くことができた。
 残念ながら回りの風景はガスで見えない。一向に晴れる様子もないので早めに下山にかかる。大品山までが長かった。途中にブナやダテカンバの林や、樹齢何百年と思われる杉の大木などが現れる。大品山からは時計を見ながら「あと何分がんばれ」と自分を励ましながら降りる。途中で森がざわざわ音を立てたので「熊か」と一瞬焦ったが、サルの群れだった。子供を背中に乗せた親子ざるもいたが、何せ多勢に無勢、ここはなるべく目をあわさずに何とか通り抜けた。それにしても、久しぶりに登り甲斐のある山だった。