日本300名山 No. 43     野伏ヶ岳1674) 

        平成25年4月27日(日) 曇り時々雪

   駐車場(7:25)→和田牧場跡(8:40〜45)→ダイレクト尾根の取り付き
  (9:40〜45)→野伏ヶ岳(11:50〜55)→ダイレクト尾根の取り付き
  (昼食・13:05〜20)→和田牧場跡(14:00)→車道終点(14:55)

 頂上までの道がない野伏ヶ岳はこの季節にしか登れない。今年は例年より雪が少なかったので、藪こぎしなければならないのではと心配であった。4時起床。大野のSさんの家に5時半に到着。白鳥周りで()()(しろ)の白山中居(ちゅうきょ)神社には予定通り7時に着いた。そこで浜松のZさんとその友人と待ち合わせ。彼らは前日に能郷白山に登っており、雷と吹雪のひどい天気だったらしい。
 橋を渡った林道わきの広場に車を止め、林道を歩き始める。30分も歩くと道路に雪が現れ始め、やがて完全に雪道に変わった。2度のショートカットのための急登をすれば和田牧場の跡に出た。「拓牧」と書かれた記念碑が建っていた。少し下ると牧場を想像するに十分な規模の雪原が広がっていた。そしてその奥に、これから登る野伏ヶ岳が灰色の空をバックにそびえていた。頂上に着く頃には上天気になっているだろう、と誰もが信じていた。
 かんじきを履いた先達は池を右回りに進むコースを取っていたが、われわれはSさんの提案で左側をまわってダイレクトコースの尾根に取り付くことにした。杉林と立派なブナの林を抜けると尾根に出た。傾斜は緩やかで、足取りも軽い。雪はたっぷりあり、藪こぎの心配は杞憂であった。
 雑木林を過ぎて稜線に出ると、風が強くなり吹雪になってきた。完全に雪山の世界だ。傾斜もだんだんきつくなってきた。脇の樹氷がついた風に震えている。やがて、かんじきを履いた先達が降りてきた。何も見えない頂上だったらしい。下山し始めて20分になると言うので、僕らは40〜50分ぐらいかかるだろう。風はだんだん強くなり、軍手の指先が痛くなってきた。頂上に登るか引き返すかみんなで相談するが、とにかく12時まで歩くことにする。あと25分だ。
 ラッセルをしていたSさんが少しばててきたので、先頭を交代した。なるほど新雪の中を歩くのと、人の足跡を踏んで歩くのとでは疲労度が全然違う。最後と思われる急坂を登って行けば広々としたところに着いた。頂上かどうか確信が持てなかったので、少し先へ進んでみると坂は下降していたので頂上だと信じることができた。吹雪は止まないので、記念写真を撮って早々に引き上げることにした。
 困ったことに、足跡が完全に消えてしまっている所があった。それほど風が強かったのだ。何度か立ち止まり、ルートハンティングをしなければならなかった。慎重に歩いて何とか雪原を脱することができた。林に入ると足跡ははっきりしていて、もう迷う心配は無かった。
 牧場跡に戻ると、野伏ヶ岳の全貌がはっきりと見えていた。何と皮肉なことだろう。やがて、僕の左ひざが痛み出した。雪の中を歩いて普段使わない筋肉使ったためだろうか。足を上げるたびにちくりと痛んだ。しかし、不思議なことに林道に雪がなくなると、ひざの痛みも和らいできた。
 車を走らせると日差しが出てきて、先ほどまでいた吹雪の世界が信じられなかった。頂上で視界がなかったのは残念だったが、雪山をやり遂げたという満足感でいっぱいであった。