日本300名山 No.70   乳頭山1478) 
             
                                   平成27年10月17日(土)晴れ  
 

   黒湯温泉駐車場(6:05)→一本松温泉跡(6:45)→田代分岐(8:00)→
  乳頭山(8:10~25)→田代湿原(8:55)→孫六温泉(10:00)→
  黒湯温泉駐車場(10:05)

 黒湯温泉の後方で湯けむりが上がっている。それが田舎の家の煙突から出る煙のようで、のんびりした雰囲気を醸し出している。相当冷えている朝の空気の中、川に沿って歩き出す。温泉の臭気があたり一面に漂っている。対岸に白煙が上がっており、これが黒湯温泉と孫六温泉の源泉だ。駐車場から見えていた湯けむりはこれだったのだ。
 しばらく行くと、大きな石がごろごろした渡渉点に出る。石に書かれた矢印がはっきりしているので迷うことは無い。温泉の成分で川の底が黄色くなっている所がある。手を入れてみると生温かい。その上の台地が一本松温泉の跡地で、露天風呂が残っている。こちらは湯加減もよく、浸かってみたい誘惑を抑えるのに苦労するほどである。
 そこからブナの林の単調な道が続くが、手入れが行き届き歩きやすい。ただ赤い粘土質の部分は滑りやすいので要注意である。オオシラビソが途切れてくると視界が開け、右手に秋田駒ヶ岳が大きな姿を現す。木道に乗って進むと左手の丘の上に田代平山荘が小さく見えている。そして、正面の笹原の奥に乳頭山がなだらかにそびえている。ここから見ると右側が欠けていて、きれいな乳頭の形にはなっていない。
 頂上に近づくと、右側の絶壁は想像以上に険しい。ガレた頂上には誰もいず、静まり返っていた。眺望は抜群で、岩手山や秋田駒ヶ岳を始めとする山々を遠望できる。これから向かう田代湿原は草紅葉で金色に耀いている。
 大展望を満喫した後、木道を分岐まで戻り田代湿原に下って行く。道が平らになると田代平山荘の前に出る。山荘の横の小さな沼に逆さ乳頭山が写っていた。これはここコース一番の感動的な光景だった。草紅葉の中の木道歩きは快適で、足取りも軽くなる。
 あっけなく木道が終わると、道は極端に悪くなる。足元はぬかるんでおり、周りの木の枝が顔に迫ってくる。ブナ林に変わるとようやく歩きやすくなってきたが、傾斜は増してくる。紅葉は下に行くほどきれいになり、黄色が太陽の光で黄金色に耀いている。黄色の中で、たまにある赤が朱色に耀いている。何度も立ち止り、ビデオをまわす回数が多くなる。
 やがて左手の樹木越しに黒湯温泉の建物がちらちら見えだし、まもなく孫六温泉に着く。こちらの方が建物の規模が大きい。若い女性が紅葉をバックに写真を撮りあっている。孫六温泉の裏の橋を渡ればあっという間に黒湯温泉に戻ることができた。

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