日本300名山 No.51     青海(おうみ)黒姫山1221m) 

               平成27年5月23日(土) 晴れ

   清水倉登山口(5:35)→一本杉(6:20)→金木平(7:25)→青海黒姫山
  (8:40〜9:00)→金木平(10:05)→一本杉(10:45)→清水倉登山口(11:20)

 昨晩登山口で寝ていたら、ポツポツと雨が車に当たるような音がした。外に出てみると満天の星で雨の気配はない。時々ドサッと大きな音もする。翌朝見てみるとサワグルミの緑の胞子が車の屋根いっぱいに落ちていた。植物もこんな風にして子孫を残そうとしているのだと、少し感心してしまった。
 先陣は嫌だったのでポタージュスープなどを飲んでのんびり構えていたら、早くも登って行く人がいたので、あわてて登山の用意をする。すぐ放棄された棚田が現れる。結構大規模な棚田だが放棄されて長いのか、すでにかなり大きな木が生えてしまっている。昔の農道だと思われる道を登って行くが、当時の百姓をしていた人たちの苦労が偲ばれた。さらに進んで行くと、ウドの仲間と思われる白い花がいっぱいの斜面が現れた。これだけの規模の花を見たのは初めてだ。
 一本杉を過ぎると椿の群落が現れた。もう名残の花が少し残っているだけだったが、満開の時は壮観だっただろう。五葉松の巨木が立つ金木平からは、石灰岩が多く露出し始めた。水の流れによって流線形に削られた岩には感激してしばし見入っていたほどだ。やがて雪渓が現れてきた。朝早いので雪はかなり締まっていて危険だ。こんな時軽アイゼンを持ってこなかったのが悔やまれる。雪渓があるとその先の夏道を探すのに苦労する時があるが、この山はペンキや布の目印が多くとても助かった。長靴姿ですいすい追い越して行く若者がいたが、きっとこの山に熟知した地元の人であろう。
 樹林帯を抜けると視界が一気に開け、前方にピークが見えてきた。頂上に通じる尾根は露出した石灰岩を踏んで行く。穂先のように尖ったものもあるので注意が必要だ。一等三角点がある山頂に着くと、黒姫権現をまつる立派な祠がある。ただ落雷でやられたらしく、修理はしてあるものの無残な姿に見えた。
 展望は素晴らしかった。妙高、飯縄などの北信の山々、手前の雨飾山、そして意外なほど近くに見える、雪の北アルプスの山々と眼下の日本海、ここまでの苦労が一気に吹き飛ぶ瞬間だ。西側下を覗くと、削られた山肌に重機が動いている。この山は日本海最大の埋蔵量を誇る石灰岩の山なのだ。また、祠のそばにはカナズチが二本置いてあった。このあたりで多数の化石が出土しているので「あなたも見つけてごらんなさい」ということなのだろうか。