300名山 No.77高隅山(たかくまやま)大箆柄(おおのがら)(だけ) 1236m) 
             
                                              平成28年4月1日(金)曇り  
 

   垂桜登山口(11:20)→七岳分岐(11:45)→5合目(12:20)→杖捨祠
  (13:00)→大箆柄岳(13:15~30)→杖捨祠(13:45)→5合目
  (14:10)→七岳分岐(14:40)→垂桜登山口(15:00)

 昨年の6月に訪れた時は雨で登山を断念したが、垂水市まで同じ道をたどったので、見慣れた風景に懐かしささえ感じた。垂桜の集落は山奥にある。登山口はさらに4キロ林道を走らなければならない。ある程度覚悟はしていたものの、不安を感じながらたどり着いた登山口には1台の車も無かった。
 
高隅山は大隅半島にある山塊で、七つの山を総称してそう呼んでいる。その中で大箆柄岳が最高峰である。登山口の階段を登ればうっそうとした森の中に入る。本州の山と植生が明らかに違う。しばらくは緩やかな尾根道を進むが、七岳分岐を越した辺りから急坂になる。朝晴れていた空は曇り、あたりはガスが立ち込め視界があまりない。
 
足元に、釣鐘のような形の白い花の群落が現れ、ほっとさせてくれる。時々、落ちた椿の花が登山道を赤く染めている。道は険しくなり、雨の後で滑りやすい。火山灰が流れて、岩が露出している所もある。ロープがつけられた岩場に着くと5合目である。
 
雨でえぐられた登山道をさらに進むと、右手に小さな祠が祀られている。「杖捨(つえすて)(ほこら)」と呼ばれ、参詣者はここに杖を捨てて登ったことから、そう名付けられたそうだ。信仰登山がさかんであった江戸時代の名残である。よく見ると今でも何本か捨てられている。ここから急に穏やかな登山道に変わり、なるほど杖はいらない。スズタケに囲まれた登山道をたどって行くと大箆柄岳の頂上に着く。
 
誰もいない頂上には強い風が吹いていて、白いガスは吹き飛ばされても次から次へとわいてきた。風を避けて岩陰で、昨日福井で買っておいたパンをかじる。まっ白のガスの中をひたすら登り、視界の全くない頂上は何と表現したらいいのだろう。セルフタイマーで撮った1枚の写真だけがこの山に登ったという証拠だ。
 
帰路2度滑って転んでしまい、リュックやズボンは泥だらけ。しかしすぐに次の山を目指す。東九州自動車道の無料区間で降り、都城で宮崎自動車道に乗って北上し、川南PAで寝る。
 
後日談になるが、数日後自衛隊機が墜落したのは、同じ高隈山系で2番目に高い御岳の近くであった。  

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