日本300名山 No.81 平成28年4月23日(土)晴れ |
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300名山ではあるが道路の途中に標識が一つも無く、登山口を間違えてしまった。もちろん地図をしっかり頭に入れていなかった自分が一番悪い。登り始めてしばらくすると間違いに気付いたが、引き返して別の登山口を探す気にはなれなかった。このコースは 扇の要と呼ばれる所から、いよいよ3方を囲まれた崖の核心部に入る。大きながけ崩れが起きたらひとたまりもないと思うと不安で一杯だった。遠くでかなり規模の大きい崖が崩れの音がして、一瞬足が止まる。誰もいないすり鉢状の砂礫の中を、ただ黙 ![]() 稜線に出たところが新窪乗越で、標識があったのでほっとした。多少のアップダウンはあるが、尾根歩きは気持ちがいい。尾根筋には、鹿に表皮をかじられて無残な姿をさらしていたり、熊が爪を磨いたと思われるひっかき傷のある立木が並んでいる。途中で西日陰沢コースから登ってくる登山道と合流するものと思っていたので、注意ながら歩いたのだが、ひょいと飛び出した広場が頂上だった。 若者が一人休んでいた。上天気で風もなく穏やかな頂上だった。真っ白な南アルプスの山々が顔を出していたが、山名が同定できず、もどかしい思いだった。すぐ隣に、ヤナギラン保護の防鹿ネットが張られている。周りが木道に囲まれていて、思っていたより大規模な保護区だ。夏には見事な花を咲かせるのだろう。 若者に道を教えてもらい、西日陰沢コースから下山する。道はかなりの急こう配で、崩壊地もあり油断できない。沢に滑り落ちそうな所にはロープが張られているが、下を見ると足がすくむ。勢いよく水が流れる沢が現れ、橋を渡ったり渡渉したりして対岸に渡る。やがて、旧道と新道の分岐に出たが、新道を歩くことにした。いくつか現れたワサビ田はほとんどが使われていない。杉の幼木で埋まってしまっている所もある。 ようやく西日陰沢コースの登山口に出たが、このコースも決して楽ではない。僕の場合これで終わりではなく、大谷崩の駐車場まで戻らなければならない。舗装路に入ってからも急こう配の坂道が延々と続き、今日の行程で一番辛い思いをした。家内に電話をすると、「疲れた声だ」と言われ、さすがに疲労していたらしく、空元気を見破られてしまった。 |