NO.40        阿寒岳(北海道 雌阿寒岳1499m) 

                        平成11年8月7日(土) 晴れ

    阿寒岳という山はなく、雌阿寒岳と雄阿寒岳を総称して阿寒岳という。高さでいくと雌阿寒岳だが山容の
    気品と立派さからいえば雄阿寒岳であろう。そういう訳で、片方をはずしがたく両方に登ることにした。

   雌阿寒岳 雌阿寒温泉(10:25)  → 4合目(11:20〜25) → 5合目(11:35)  → 6合目
    (11:50〜55) → 7合目(12:05)  → 8合目(12:15)  → 頂上(12:40)  → 6合目
    (13:20) → 5合目(昼食 13:35〜14:00)  → 雌阿寒温泉(14:50) 
       
メアカンフスマ  雄阿寒岳登山の途中で見たシマリス
    帯広を早朝発って阿寒に向かったが、途中の士幌で空一杯の気球を見た。気球ののんびりした所が、広々した牧場となぜかよくマッチしていた。
 雌阿寒温泉の登山口に着いた時には、かなり強い夏の陽射しになっていたが、アカエゾマツの森に入るとヒンヤリと涼しかった。トンネルのようなハイマツ帯をくぐっていくと景色は一変する。赤茶けた火山岩が累々と続いている。しかし眼下にはどこまでも続く緑の山々。そしてオンネトーの湖が白く輝いていた。
 9合目から火口壁への最後の急坂をジグザグに登っていく。すると砂礫の中にメアカンフスマの花が直径 1メートル位のかたまりになって咲いていた。月に生物を見たような、何とも不思議な気持ちだった。
 火口からはゴーゴーと地鳴りがして、シューっと噴煙が上がっていた。まさに火山活動が行われており、強烈なエネルギーが肌に伝わってきた。同時に、爆発の危険性が実感できて、足が地に着かない程恐怖心にかられた。しかも、まわりには人っこ一人いなかった。
 頂上は火口を左に巻いた一番高い所である。砂礫の道はあせればあせるほどズルズル滑り、頂上までは意外と時間がかかった。
 石を積み上げた方位盤があって頂上だと分かるが、濃霧の時などはきっと見失うかもしれない。誤って火口に落ちたらと想像すると背筋がゾクゾクして、すぐ下山にかかった。
           雄阿寒岳(1370m)     
                          平成11年8月8日(日) 晴れ
   滝口登山口(5:25) → (30分迷う) → 1合目(6:10 )→ 2合目(6:40〜45)   → 3合目
    (7:10) → 4合目(7:35〜40)  → 5合目(8:20〜25) → 6合目(8:40) → 7合目
    (8:50) → 8合目(9:00)→ 9合目(9:10) → 頂上(9:15〜40) → 5合目10:25) → 
    3合目(11:20) → 1合目(12:05) → 滝口登山口(12:40)
 昨日下見をしておいた登山口の駐車場は、10台位しか収容できないように見えたので、早朝5時に入ったのにすでに5、6六台止まっていた。そこは阿寒湖から阿寒川に流れる水門がある所である。周りが山で囲まれ朝もやがたつ幽玄たる様は、阿寒湖の一部でありながら独立した湖のように見える。そしてその背後には、これから登る雄阿寒岳がでんと控えていた。
 登山口の地図をよく確認しなかったせいであるが、二股の所から阿寒川に沿ってドンドン下っていく道に不安を感じて引き返してしまった。(結果的にはその道が正しかった。)左の湖に沿った道をいくと踏み跡がだんだん薄くなっていき、やっぱりおかしかった。もう一度戻って、朝食のパンをかじりながら誰か来るのを待っていたが、30分程時間をロスしたことになる。
 やがて背後に昨日登った雌阿寒岳が全貌を現してきた。赤茶けていかにも活火山らしい厳しさを漂わせている。頂上あたりからスーッと一本の噴煙が空に伸びている。今日は風が無いらしい。足元には阿寒湖が全景を見せている。突然目の前の岩の上にシマリスが現れた。何か丸い木の実のような物を両手に持って、くるくる回しながら一生懸命食べている。人の気配に気付いているのかいないのか、一向に周りを気にしないでひたすら自分の世界に入っているかのようであった。
 五合目を過ぎて、広い頂上部のなだらかな道に変わると、気象観測所跡が現れる。しっかりしたコンクリートの基礎から当時の建物がしのばれる。昭和19年から21年までは職員も常駐していたらしい。
 北の方角に小さく盛り上がった所が頂上である。阿寒湖は一部しか見えなくなったが、黒々とした森の中にペンケトーとパンケトーの湖が真下に見え神秘の光を放っていた。
 

雄阿寒岳から見た雌阿寒岳
 

雄阿寒岳