平成14年           雨乞岳 (1238m)

                                      
5月19日(日) 雨のち曇り一時晴れ

  コース=稲ヶ谷コース登山口(9:15)→雨乞岳頂上(11:35〜12:15)→クラ谷分岐
       (13:25)→武平峠(14:30)→稲ヶ谷コース登山口(15:15)
 

 7時鯖江IC待ち合わせで、小雨の中鈴鹿スカイラインを目指す。武平峠の手前から登るつもりであったが、それより手前に「雨乞岳登山口」というのがあり、「頂上まで2時間」というサインに惹かれて、そこから登り始める。途中で武平峠からの道と合流するものと信じてもいた。後で分かったのだが、それは稲ヶ谷コースで武平峠からの道とは全く別の道であった。
 ところが、その道はめったに人も通らない難路であった。おりからの雨で増水した川を何度も渡渉し、がけっぷちやロープの急登をひやひやしながら通り、川をさかのぼっていくコースであった。途中で「2度とここは通らないぞ」と決心したほどであった。
 川を渡渉したり陸に上がったり、つかず離れず道は続いている。唯一の救いは、赤いテープやペンキで迷わないように印がつけてあることだ。雨乞岳を示すサインも所々にある。
 美しい新緑だが味わっている余裕はない。やがて、尾根直下の砂地の急登にかかる。ずるずると足をとられ、登りにくいことはなはだしい。雨が激しくなってきたので、雨具のズボンもはく。笹のトンネルを最後の力を振り絞って這うようにして進むと稜線に出た。雨乞岳と東雨乞岳の中間地点だ。そこからまたまた笹のトンネル。雨は上がったが、ぬれた笹でずぶぬれになってしまった。
 頂上には4人の男女がいた。昼食の準備をしていると、信じられないことに乳色のガスがみるみるうちに晴れてきた。O先生は少女のような声を上げて感激している。目の前には東雨乞岳の笹に覆われたなだらかなピーク、その奥には国見岳、御在所岳、鎌ヶ岳と見慣れた山並みが続いている。右手には太陽の光さえ射し込んでいる。苦しい思いをして到着した我々に対する天からの贈り物だったのだろうか。
 帰りは武平峠を目指す。東雨乞岳の頂上は平らな円形になっており、360度の展望が望めた。弁当を食べるのには最高の場所である。
 身をかがめながら笹のトンネルを抜けると、穏やかな雑木林の中に入った。こんなにゆったりとした道を歩いたのは今日初めてであった。秋にはもっときれいな林になることだろう。この道は稲ヶ谷コースに比べると確かに楽ではあるが、距離が長くアップダウンが激しく結構体力を要した。ようやく国道からの車の音が聞こえ、滋賀県側のトンネルの入り口に出た。
 そこから45分かけて国道を歩き、鹿鳴橋のたもとの登山口に戻ってきた。結果的には、行きと帰りに違う道を歩けて良かったのかも知れない。登山口には愛知大学ワンゲル部員の遭難碑が立っていたが、登る時にそれを見ていたら怖気づいて、そこから登るのをやめていたかもしれない。知らないことは恐ろしいことである。

 同行者 O先生