No.92      朝日岳(1870m)
                       
             平成14年9月22(日) 晴れ後曇り一時雨
 
   朝日鉱泉(5:10) → 2つ目の吊り橋(5:40) → 3つ目の吊り橋(6:15) 
   →  出合(6:50) → 4つ目の吊り橋(6:55) → 長命水(7:55) → 
   大朝日岳(10:20〜11:00) → 小朝日岳(12:30〜35) → 三沢清水
   (13:25) → 小朝日岳(14:15) → 鳥原山(15:15) → 鳥原小屋
   (15:40) → 金山沢(16:30) → 鳥原山登り口(17:50) →朝日鉱泉
   (18:00)
 前日、北陸、磐越、東北、山形道と乗り継いで夜の8時頃朝日鉱泉に着く。実に9時間余りのドライブであった。特に鉱泉までの14qは、真っ暗な上にカーブの続く細い道でとても不安だった。
 まわりの騒がしい声で目を覚ます。5時だった。今回の山は何と3回も道を間違えるという大失態を演じてしまうことになるのだが、まず鳥原山のコースを取るつもりが、中ツル尾根コースへ行ってしまった。あんなにはっきりした標柱がどうして解らなかったのか不思議だが、今考えてみると、「特急が通ります。道をあけてください。」と言われて、急いで団体を追い越して、まわりを確認する余裕が無かったのかも知れない。
 しかし、結果的にはこの道を通って大正解であった。澄んだ川の上にかかる幾つもの吊り橋はニュージーランドのミルフォード・トラックを思い出させたし、道は手入れが行き届いておりとても歩きやすかった。「出合」という中間地点を過ぎたあたりから急登が始まり、このまま頂上まで続くのかと不安になったが、やがて穏やかな尾根道になってくれた。ただひたすら登って行くという、ロスのない道でもある。
 低木地帯から森林限界を越えるとさえぎられるものは何もなく、右手には当初歩こうと思っていた鳥原山、小朝日岳の山並み。左手には大沢峰や平岩山。正面には目指す大朝日岳、と三方の山々に囲まれながらの贅沢な登山であった。視界を遮るものは何一つなかった。紅葉には早かったが、山の上部ではちらほら始まっていた。くっきりした赤がまわりの緑と対照的なコントラストをなしていた。
 そこが頂上だと思っていた鋭い峰の後ろに穏やかな山容の大朝日岳が鎮座していた。頂上には7,8人の人がいて、一様に、念願の山を征服した人の満足げな表情を浮かべていた。どうやら中ツル尾根コースをたどったのは僕と地元と人との2人きりであった。ぽかぽかした陽気で風もなくのんびりした頂上であった。ただ、ガスが大量に発生し、なかなかまわりの様子を見せてくれなかった。下から見るときっと頂上部だけガスがかかっているのだろう。
 登って来た道を登ろうか、それとも当初登る予定であった小朝日岳を回って帰ろうか迷ったが、「なるべく違う道を歩く」という僕の主義に従って、遠回りになるが小朝日岳、鳥原山コースを歩くことにした。それでも4時には着くはずだ。
 所が二度目のミス。小朝日岳の頂上がT字路になっているのに気がつかず、右に行くべき所をまっすぐ行ってしまったのだ。「三沢清水」という水場まできて間違いに気づく。すでに小朝日岳から1時間近く歩いている。すぐに引き返す。不思議なもので痛み出した足はしゃんと元に戻った。しかし、雨が落ちだし「何で2回も小朝日岳に登らなければならないんだろう」と思うと情けなくなった。
 鳥原山で全てのガスが見事に晴れて朝日岳山系の全容をながめることができた。山も少しは悪いと思ったのか、僕をなぐさめてくれたらしい。
 それにしても、この道はアップダウンの激しい厳しい道だ。山小屋が点在するからかもしれないが、どのガイドブックもこの道を推奨しているのが不思議だった。登るときは間違えることは無いのかも知れないが、分岐が多く初めて下りに使うとかなり気をはらなければならない。
 三度目は左折すべきところをまっすぐ行って「鳥原小屋」にいってしまったことだ。これは大した距離ではなかったので最少の被害ですんだが「二度あることは三度ある」である。
鳥原山から朝日鉱泉までの2時間半は気が遠くなるほど長かった。やがて日が暮れてきて5時半にヘッドランプをつける。黒いものを見れば熊かと思い、自分がたてた小さな物音一つにおどおどしながら歩いていた。いつの間にか夜の虫が鳴き始めていていた。
 朝日鉱泉「ナチュラリストの家」で風呂に入り、長井でおいしいラーメンを食べたらやっと生きた心地がした。ちなみに、帰りは国道287,113,7号線を通って新発田から高速に乗ったら2時間ほどの短縮と5000円あまりの高速料金の節約になった。