No.56    浅間山[黒斑山](2404m)

              12年6月24日(土) 曇り時々雨 
 

  車坂峠(11:55) → トーミの頭(13:15) → 黒斑山(13:45〜14:00) 
  → トーミの頭(14:15) → 車坂峠(15:10)               

 梅雨の晴れ間を期待していたが、高度を上げるにつれて曇りだし、車坂に着いたときは降りしきる雨であった。生徒は「まさかこの雨の中を登るまい」と高をくくっていたが僕の「登るぞ」の一声に、意外にあっさりとあきらめて雨具をつけ始めた。
 景色らしい景色は見えず、ただ白いガスの中を登っていく。時々視界が良くなる事があるが、それも100メートル先が見えるだけのことでたいした違いは無い。
 イワカガミのピンクの花が丁度盛りで、時々かたまって現われ、われわれの目を楽しませてくれる。葉っぱが雨に濡れてまさに鏡のようである。
 やがて、カマボコ型の鉄製のシェルターが二つある槍ケ鞘に着く。宿泊用としても使うのだろうかと考えていたが、外にあるサイレンの大きなラッパが、火山の爆発の際の緊急避難用であることを告げている。そこから尾根に沿って時々現われるスピーカーは、何時爆発するか分からない危険性をいやが上にも感じさせてくれる。
 断崖の先っぽに当たるトーミの頭からも恐らく浅間山の勇姿が見られるのであろうが、今日は白の世界である。
 頂上にはあっさりと着いてしまう。近くでは火山観測所が建設中であった。「さっきから1時間ほど待っているんですけど、だめだなあ」と一人の男性が声を掛けてきた。いくら待っても今日は浅間の姿を見ることはできそうになかった。
 キャーキャー言いながら登ってきた生徒たちはそれなりに楽しかったようにも見えたが、「一体彼女たちにどんな思い出が残るのであろうか」と考えると少し可愛そうな気がした。 帰りは中コースをとる。道路が水でえぐられており、火山灰の滑りやすい道だったので、こちらを登りに使わないで正解だった。最後の広い道に出て後ろを振り返ると、合羽を着たずぶ濡れの一団が白いガスの中からスーッと現われてきて、いかにもこの世に戻ってきたという感じだった。