No.91      磐梯山(1819m)
                       
                           平成14年8月26(月) 晴れ
 
   八方台登山口(6:00) → 中ノ湯跡(6:25) → お花畑との分岐(7:30) → 
   弘法清水(:35〜40) → 磐梯山頂上(8:15〜35) → 弘法清水
   (9:00) → お花畑との分岐(10:00) → 中ノ湯跡(10:00) → 
   八方台登山口(10:25) 
  西吾妻バレーラインから吾妻の山々に別れを告げて峠を下っていくと、桧原湖とその奥の磐梯山が目に飛び込んできた。裏磐梯は僕にとって涙が出るほど懐かしいところである。大学2年の時の合宿の場所で、湖でボートに乗ったり、五色沼をハイキングしたりして、青春の思い出がしみついているところである。「ラビスパ裏磐梯」という公共のお風呂で汗を流し、磐梯ゴールドラインにある八方台の駐車場に5時頃はいる。
 翌日、何人かが登ったことを確認して登山を開始する。登山口の「熊出没注意」の看板に少し恐れをなしたのだ。生憎鈴を忘れていたし、誰かが登った後なら安心というものだ。
 登山口から立派なブナ林の林道を行ったが、立ち止まるとやぶ蚊の大群が襲ってくるのには閉口した。やがて硫黄の鼻を突く臭いが漂ってくると、そこが中ノ湯である。そんなに古くはないと思われる旅館が立っているが、人の気配はない。閉められたトタンの雨戸や壁板の腐食が激しい。建物の前にはボコボコとお湯が涌き出ているねずみ色の池がある。手を入れてみると熱い。50℃位であろうか。桧原湖を見下ろす立地条件もとてもよいので、林道を通って大勢の人が訪れた時もあるのだろうが、さびれてしまったのは、この臭いのせいであろうか。
 そこから1時間ほどはダケカンバの薄暗い樹林帯を登っていく。時折視界が開けると足元から絶壁になった火口壁であり、こげ茶色の荒々しい姿が目に飛び込んでくる。お花畑との分岐に来ると、目指す磐梯山の頂上部が見えてくる。意外とふっくらとしている。少し行くと2軒の山小屋と清水がある弘法清水といわれる所に出た。休憩にはもってこいの所で、冷たい水が飲めて火口原や火口壁の雄大な姿が足元に広がっている。
 待ちに待った磐梯山の頂上には祠があって岩でゴロゴロしている。さえぎるものが全くないので360度の大展望である。残念ながらそんなに遠くまでは見えなかったけれど、裏からは昨日登った吾妻連峰とその前に桧原、小野川、秋元などの湖、そして始発点の八方台の駐車場や中ノ湯の建物まで見ることができた。表に周ると、田んぼに囲まれた猪苗代湖がかすんで見える。あまりの感激に、蔵王山に続いて頂上から家内に電話したら「今ちょうど忙しいところ」と、軽くいなされてしまった。世間ではもう仕事が始まっているのだ。反省、反省。ここの頂上を示す標識は頂上から一段下がった所にある。そこは土の上だったので立てやすかったのかもしれないが、本当の理由はわからない。その背後の山には幾つものスキー場があり、細いゲレンデがちょうどリボンのような模様を描いている。
 磐梯山は裏と表では全く違う顔を持っている。裏から見ると、風光明媚ながら爆裂火口を持つ厳しさを持っている。表から見る磐梯は均整のとれたおだやかな山で「会津富士」といわれるのももっともだと思った。