済州島の旅  2013年

 

9月14日(土) 曇り

   「Yちゃんを海外に行かせる会」なるものを勝手に作って、まだ海外に行ったことがないYちゃんとHちゃんを海外に連れ出すことにした。二人にとっては記念すべき海外初デビューである。場所は済州島ということになったが、名古屋から土曜日の直行便はない。そこでプサン経由で行くことにした。全くの個人旅行である。
 9時半、Tさんの車で出発。いつになく余裕の出発だ。1時前にセントレア(中部国際空港)に到着。三連休とあって南国物産展や「おもてなし武将隊」の演武などをやっており、空港は活気に満ちている。
 15時25分、定刻に飛行機は離陸。予想していなかった機内食が出て、一同大喜び。プサンから国内線に乗るので、出国手続きをしてゴロゴロとスーツケースを転がして少し離れた所にある国内空港へ。チェックインして荷物を預け、一服すべく国際空港に戻る。結局「スタバ」でコーヒーを飲む。
 無事チェジュ国際空港に着き、タクシーでホテルへ。荷物を部屋に置いて、さっそく街に出る。9時を回っていたのでほとんどの店が閉まっており、レストランも見当たらなかったので、ホテルで紹介してもらった「ドンサチョン」という黒豚を食べさせる店に行く。
これが大正解。分厚い豚肉と外のテーブルで食べる雰囲気に一同大喜び。こうして一日目の夜は更けていきました。
9月15日(日)

晴れ



 
  アワビ粥をと思ったが、近くでやっている店は無いようなので、ホテルで食べる。客はほぼ全員が中国人。その迫力に圧倒される。朝食後、ホテルの前にある「観徳亭」に行ってみる。島に現存する最古の建築物だそうだが、まだ開いていなかったので、写真を数枚撮ってホテルに戻ると、まだ30分前なのに、ネットで予約しておいた観光タクシーのBちゃんが声をかけてきた。
 さっそく今日の観光の出発となった。Bちゃんはよくしゃべり声が大きく、朝からテンションが高い。ただ、「ナンタがすでに予約されていること(Bちゃんからではなく)、それが5時の公演であること(8時からもやっている)」に不満顔。それにわれわれが予定していた、チャングムが撮影された「済州民俗村博物館」ではなく「城邑民俗村」に誘導したのも後で考えれば納得できることであった。
 まず「トッケビ(お化け)道路」。道路は下っているように見えるがエンジンを切ると後ろにバックしていく。上っているように見えるがエンジンを切ると前進していく。目の錯覚とはいえ、不思議な現象だ。目を上げると韓国で一番高い山である漢拏山(ハルラサン)が青空をバックにそびえている。
 次に「サングムブリ」を訪れる。周囲が2キロを超える噴火口で、直径650メートル深さは100メートルある。平地にぽっかり空いた穴が珍しく、秋はススキが銀色に染めるという。近くには墓地があり、緑の中に黄色や紫の小さな花が群落を作っていた。

 次に「城邑民俗村」。昔ながらの村に、国家の支援を受けながら今でも生活している人がいる。日本語の達者な女性が面白おかしく説明してくれる。後で不思議に思ったのだが、なぜここには中国人が一人もいないのだろう。済州島の人がいかに長生きであるか、その説明はBちゃんも盛んにしていたが、結論は「冬虫夏草」や「馬の骨」で、最後の仕上げはそれらの商品を日本人に買ってもらうことである。でも、値段が4万、5万円では普通の日本人にはなかなか手が出ない。結局、我々のグループでは誰も買わなかった。それがBちゃんは当然面白くなく、とたんに無口で不機嫌になった。わかりやすい性格ではあるが、プロのドライバーならそれではだめだろう。
 元気のないBちゃんが向かったのは「城山日出峰」。海抜182メートルで、海底火山によってできた火山であるが、頂上部が平らになっており、とがった岩に囲まれて王冠のような形をしているのが特徴だ。グリュッククラブで山に登っている我らは頂上を目指さないわけにはいかない。だんだん急になる階段を、息を切らせて頂上に出ると、目の前に大きい皿のように緑が広がっていた。そして反対側の眼下には芝生とカラフルな屋根を持つ城山の街、青い海、はるか左奥に漢拏山と、大パノラマを展望することができた。
 昼はBちゃん推薦の店に。張り切っていろいろなメニューを勧める。結局、太刀魚鍋、アワビ鍋、海鮮チヂミを食べる。どれもおいしかったが、昼食にしては値段が高かったのは気のせいか。
 昼食をたくさん食べたせいか(?)やや機嫌を直したBちゃんは、きれいな海岸線を走り、「万丈窟」へ。世界最長の溶岩洞窟と言われている。火山が噴火する時、土の中に隠れていた溶岩が、火口から噴出し地表に流れてできたものである。中に入ると寒いくらいだ。所々照明が当てられていて、説明が付いている。約1キロ歩いた所に立派な溶岩柱が天井に伸びていてそこが終点である。
 最後に、ナンタの行われる会場まで送ってもらいそこでBちゃんとはお別れ。僕は2回目だが、以前より迫力が増し、笑わせる所が多く、面白くなったように思った。
 公演が終わって、Bちゃんが10分ぐらいというので東門市場まで歩くことにした。ところが30分以上かかってしまい、お腹のすいた皆からは不平たらたら。KALホテルの周りには一杯あった食堂も東門市場付近には見当たらず、僕が駆けずり回る羽目に。結局普通の韓国レストランで、ビビンバ、冷麺、サムゲタンなどを食べる。
 にぎやかな地下道を通り、ホテルに戻る。セブンイレブンで買ったアイスクリームで今日の打ち上げとした。
 9月16日(月)
  晴れ


  以前泊まった時に食べたホテルのアワビ粥が忘れられず、「済州グランドホテル」にタクシーで行く。フロントで聞くともう普通のバイキングしかやっていないそうで、20パーセントの割引券をくれた。バイキングと言っても、今泊まっているホテルとは格が違うので、種類も豊富でとても満足できるものであった。リッチな気分でゆっくり食べ、ホテル内の店でショッピングをしていると10時になったので、道をんだ所にある免税店に行く。客のほとんど全員が中国人であった。彼らの声は大きく、場所によっては店全体が騒音に包まれていた。女性陣は買い物に目がなく、僕とTさんは時間を潰すのに一苦労。
 11時、タクシーでホテルに戻りスーツケースを積んでそのまま空港に行ってもらう。日本は台風襲来で大騒ぎ、ましてや福井県には警報が出ているので無事に帰れるのか心配であったが、飛行機は2時間遅れで飛び立った。待っている間にパンや飲み物がサービスされ、これもある意味いい経験だった。無事名古屋に着き、予定していた空港でのお風呂には入れなかったが、10時ごろ福井に戻ってきた。短い期間ではあったが、想い出がぎっしり詰まった楽しい旅だった。