海外トレッキング日記  漢拏山   2011年20112011

821日(日)

曇り時々雨

 WさんとSさんを乗せて、一路中部国際空港に向かう。渋滞することなくいつもの駐車場に着く。12時ごろ空港に着き、Sさんの従兄で浜松在住のZさんと初顔合わせ。一緒に昼食を食べる。名古屋名物のきしめんと味噌カツのセットだ。
 僕にとって久しぶりの大韓航空だ。予定通り済州国際空港に着き、免税店に案内される。おそらくこのために送迎バスが無料なのだろうから文句は言えない。僕らの「済州グランドホテル」は免税店の向かい側である。
 「一日目は焼き肉だろう」ということで、ガイドさんに勧められた店に行く。焼き肉は日本でもよく食べるが、日本に比べて肉厚のカルビはおいしかったが、最後に食べた冷麺の方がもっとおいしかった。

822日(月)

曇り時々雨

観音寺コース登山口(6:25)→耽羅(タンラ)渓谷休憩場(7:50〜8:00)
 →竜鎮閣(ヨンジンカク)避難小屋(10:15)→漢拏山(ハルラサン)山頂
 (12:10〜35)→つつじ畑(チンダルレバッ)休憩所(13:45〜55)→
 沙羅(サラ)休憩所(15:10〜15)→城板岳コース登山口(16:40)

 予約してあったタクシーで観音寺コースの登山口に向かう。早くも雨が降り出しなんとなく意気が上がらない。観音寺コースの広々とした駐車場にすでに何台かの車が駐車していた。雨具をつけていると、韓国軍の兵士が3集団、山を登っていく。後で聞いた話では、この近くに特殊部隊の基地があるそうだ。 道は幅広くとても整備されている。日本の山より草木が密集しているように感じ、小雨の中で緑が生き生きとしている。耽羅渓谷の手前で一休み。渓谷にかかる橋が回りの景色とマッチしている。秋の紅葉の時期はきっと美しいだろう。橋を渡りきると見上げるばかりの急坂に階段が続いている。そして荷揚げ用のレールが延々と脇に続いている。
 立派な竜鎮閣避難小屋で一休み。日本からの登山客のグループが休んでいた。若い女性のガイドが付いていたが、彼女もこの山に登るのは初めてだと言っていた。騒がしい声で外に出てみると、ガスが晴れて三角形の見事な岩山が姿を現していた。
 避難小屋を出るといったん下り、吊橋を渡ることになる。この辺りも絵になるスポットだ。橋を渡りきると水がめを背負った少女の石像が立っている。済州島では水に苦労し、山を越えて水くみに行くのが少女たちの仕事だったらしい。二人組の韓国女性と抜きつ抜かれつしているうちに話をするようになったが、なかなか意思が通じない。それにしても景色がいいというのに、このコースから登ってくる人はほとんどいない。城板岳コースがメインルートになっているようだ。
 やがて頂上部が見えてきて、あっという間に着いてしまった。板で作られた階段状のベンチは人でいっぱい。頂上の標柱と一緒に写真を取るのも順番待ちだった。天気が良ければ見えるはずの火口湖は残念ながらガスの中。さっそくコンビニで買ったおにぎりを食べる。日本と同じ外見だが、ハングルが読めないので中身がわからない。でも山で食べるおにぎりはおいしかった。
 城板岳コースから下山にかかる。いきなり登山道にあったはずの木製の階段が裏返っていた。強風でひっくり返ったのだろうか。観音寺コースより木道が少なく、歩きにくい所が多かった。途中から本格的な雨になり回りの景色を見る余裕もなくなった。体が冷えて、沙羅休憩所で飲んだコーヒーがとてもありがたかった。最後の2キロがとてつもなく長く感じたが、ゴール近くで先行していたSさんが出迎えてくれていてほっとする。帰りはバスで戻るつもりだったが、タクシーを予約してくれていてありがたかった。
 そのタクシーはフロントガラスが曇るからか、窓を開けて走るので寒くて仕方がなかった。しかも飛ばす。霧が濃い時はハザードランプを点灯する習慣があるのか、多くの車が点灯しながら走っている。それはいいことだと思うのだが、霧の中からいきなりランプが現れてきてドキッとする。
 今日の夕食はホテルから10分ほど歩いた所にある「家品ユッケジャン」に行く。ワラビや豚肉、キノコや豆腐などがはいった済州島式ユッケジャンが食べられる。Zさんの発案で4種類を頼み、それぞれを味わった。辛いスープには卵を入れるとマイルドになる。その卵は無料だ。周りを見ると地元の人ばかりで、観光客らしき人は見当たらない。こんな店が安くておいしいのだ。帰ってホテルで飲んだコーヒーの方が高かったのにはびっくり。
823日(火)

  
曇り時々雨
 アワビ粥の朝食を美味しく頂き、9時から島内観光に出かける。最初レンタカーで回ることを考えていたが、天気も良くないしハングル文字も読めないので、タクシーに乗ることにした。運転手は漢拏山に連れて行ってもらったKさん。若いころ京都に働きに出て、とてもつらい思いをしたこと、日本の親戚にはあまり良くしてもらえなかったことなどをしんみりと話してくれた。
 最初は「萬丈窟」。溶岩が地下を流れ、その跡が空洞となってできた洞窟である。足元から壁、天井にまで、至る所に流れたり、したたり落ちた痕跡が残っており、その保存状態がいいので世界遺産となっている。全長は13.4qあるのだが、公開されているのは1qである。外に雨が降っているからか、洞窟の中も雨漏り状態だった。
 「城山日出峰」も世界遺産で、済州島のポスターやパンフレットに登場する観光名所である。約10万年前の海底噴火によってできた182mの小山であるが、特徴的なのは直径600mの広い火口である。周りを99個の寄生火山で縁どられているため王冠にたとえられている。この日は雨はやんだものの強い風が吹いていた。それでも大勢の観光客が階段を登っているが、なぜか日本人は見当たらなかった。海から突き出ているので、頂上からの景色はすばらしい。この島を結ぶ砂州がきれいな直線を描いており、牛島に向かうフェリーが湊を出るところだった。
 ビビンバとちぢみの昼食の後、向かったのは「城邑民俗村」500年前から残る素朴な村であるが、現在も実際暮らしているのがすごい。ガイドの女性が面白おかしく説明してくれる。トイレがそのまま豚小屋であるのには驚いたけれど、感心もした。彼女たちは最後に冬虫夏草や伝統茶を売る。それで生業をたてているのだろうが、日本人から見ても高すぎる。もっと安くて買いやすいものを売ったらいいのにと、熱心な説明にもかかわらず何も買わなかった我々は、ちょっとだけ後ろめたさを感じた。
  最後に済州島三大瀑布の一つである「正房瀑布」を訪れる。海に直接落ちる滝としては東洋一の規模だそうだ。階段を下りて岩場を歩いて行くとたくさんの観光客が水しぶきを浴びていた。下から見上げるとかなりの迫力だ。
  ホテルに入る前、Zさんの希望で旧済州の東門市場を訪れた。魚や果物、日用品、雑貨とここには何でもある。ただZさんおめあてのモロコシ茶だけはなかった。
  ホテルに戻り、すぐ近くの「郷味食堂」へ夕食を食べに行く。ここは日本人がよく来るらしく、壁と言わず天井と言わず日本語のメッセージが張ってあって、ちょっと興ざめだった。ここでは海鮮鍋を食べ、済州島で食べたかったものはだいたい食べた。
  ホテルに戻り、そこからマイクロバスで「ナンタ」を見に行く。ソウルで人気を博する打楽器のパフォーマンスであるが、ここ済州島でも見ることができるのだ。セリフがないので誰にでも理解できるのが人気の秘密かもしれない。観客の中の子どもたちが大声をあげて笑うので、こちらもつられて笑ってしまう。
824日(水)

曇り
 9時30分に混載のバスはホテルを出発して、食料品店に寄った。韓国旅行のお決まりのコースで、別に買わなくてもいいのにみんな大量にお土産を買っている。値段は高いが、品質は安心できるかもしれない。僕もチューブに入ったコチュジャンを買ってしまったが、これは小分けにできるので喜ばれた。  中部国際空港はむっとする暑さだった。高速も順調に進み、6時前には家に着いていた。