蝶ヶ岳2677m)   常念岳2857m) 
 

平成22年8月28日(土)曇り 8月29日(日)晴れ
 @三股駐車場(10:25)→まめうち平(12:10〜20)→蝶沢(13:15)
  →最終ベンチ(14:40〜45)→蝶ヶ岳ヒュッテ(15:15)

 A蝶ヶ岳ヒュッテ(4:30)→三角点(5:10〜30)→常念岳(9:10〜20)
  →前常念(10:20)→三股駐車場(13:55)
 @S先生と初めて山に登る。S先生は県立高校の登山部の顧問をされており、岩登りや沢登りの経験もあるベテランである。
 
三股の駐車場は以前来た時とは様変わりしていて、何十台もの車であふれていた。到着が遅かったため帰る車もあり、運よく1台のスペースを見つけることができた。
 
しばらくは沢に沿って、気持ちのいい音を聞きながら歩く。やがて樹林帯の中をひたすら歩くことになる。まめうち平は休憩に適した小さな広場で、ちょっと一息つける。途中で会った人には「蝶沢からが本番ですよ」と脅かされる。確かにジグザグの急登は半端ではなかったが、覚悟をしていたためか以外にもあっけなく大滝山への分岐点に着いてしまった。そしてそこは広々としたお花畑で、ハクサンフウロの可憐なピンクの花が、僕たちを迎えてくれた。
 
すぐテント場に出ると、そこはカラフルなテントで埋め尽くされていた。その奥が三角点のところから移動した蝶ヶ岳の頂上で、何人かの人影が見える。受付を済ませて外に出て、僕はコーラS先生はビールで乾杯する。目の前には少しガスってはいるが雄大な槍・穂高が広がっておりこれ以上の酒の肴はないであろう。ひとり本を読んでいる女性もいたが、この雰囲気の中での読書も格別な気分であろう。

 
A朝食は5時から先着順ということだった。待っているのももどかしいし、ご来光も見られなくなるので前日にキャンセルして弁当にしてもらっていた。4時半に外に出ると薄暗闇の中にはっきりと槍・穂高の稜線が見えた。今日は上天気だ。反対側には街の明かりがキラキラ光っている。
 
ご来光を見るべく歩き始める。5,6人のグループがいたのでしばらくそこで待っていたが、まだ日の出には早いので先に進み、なんとか太陽が昇る前に三角点に到達することができた。ご来光は太陽の形がはっきりとせず、少し期待外れではあったが、いろんなご来光があるのでこれも良しとしなければならないだろう。右手には富士山や中央アルプス、南アルプスが姿を現している。槍・穂高に目を転じれば、上部が太陽に赤く照らし出されている。さらに左には焼岳、乗鞍、御嶽と続いている。巨大な一大絵巻ものである。これらを見られただけで、この縦走路を歩く目的を果たしたと言ってもよかった。
 
目の前には巨大な常念岳がそびえている。意外なほど近くに見えるが、あそこに到達するためには大きなアップダウンを繰り返さなければならない。振り返れば蝶ヶ岳のなだらかな起伏が伸びている。
 
最後の常念岳の巨大な岩塊を前にして、期待と不安が入り混じる。岩に取り付いている人々がアリのように動いている。覚悟を決めて、一歩一歩足を進めていく以外なすすべはない。真夏のような日差しがガンガン照りつけ、容赦なく体力を奪っていく。遠くから見えていた以上に厳しい岩場が続く。何度か休憩をとりながら、ようやく祠と方向指示版がある頂上にたどり着いた。槍がぐんと近づいているここからの風景も雄大だ。鷲羽、薬師、赤牛、立山なども姿を現している。
 ここからの行程が長いので、ゆっくりする間もなく下山にかかる。遠くから見ると、緑の中のきれいな尾根道に見えるが、実際は岩がごろごろしていて歩きにくい。進むにつれて白い岩が大きくなり、足の置き場に苦労する。前常念からは傾斜がきつくなり、はるか下まで続いているので精神的にこたえる。
 ようやく樹林帯に入り、土の道に変わったので一安心。やがて急斜面につけられたジグザグ道が果てしなく続き、どんどん高度を下げて行く。沢の音が大きくなると、昨日登り始めた標識の所に戻ってきた。一周してきたと思うと何やら感慨深い。