平成15年            銚子ヶ口岳(1068m)

                                   3月9日(日) 晴れ

  コース=登山口(9:40)→須谷川道分岐(10:45)→東峰頂上(12:45〜13:30)
        →尾根(12:45)→須谷川道分岐(14:30)→登山口(15:15)

 スノータイヤをはずしてしまったのが若干の気がかりであったが、鈴鹿の山を目指す。八日市ICからは国道421号のみでよいので、目的地の杠葉尾(ゆずりお)までは迷わず行くことができた。
 歩き始めてしばらくすると立派な杉林が現れる。下刈りや枝打ちなどの手入れも行く届いている。こんな立派な杉林は雲取山や両神山にもあった。
 間もなく新雪が現れ、杉木立の片面にだけ雪がくっついている。雪まじりの強い風が吹いていたことをうかがわせる。たった一つあった足跡が忽然と消えている。どうも引き返したらしい。益々深くなる雪は、確かに一人だったら不安だろう。
 誰も歩いていない雪に自分の足跡を残すのは気持ちがいい。でも先客はいた。ウサギだ。登山道を横道にそれて道草をしたり友達と出会ったりしている。次の足跡はとても浅い。どうも動物ではなく鳥らしい。しんがりは鹿である。なるべく急坂を避けて登山道を歩いたり離れたリしている。
 やがて木立の間から左手に釈迦ヶ岳後方に日本コバが見えてくるが、雪は益々深くなっていく。まだ降ったばかりのパウダー状の軽い雪だ。3月のこの時期にもうこのような雪は無いと思っていたが、予想外だった。
 須谷川道分岐を過ぎると道は心もとなくなり、赤いヒモやビニールテープだけが頼りである。小さな川を何度か横切るが、川の上の雪や枝からは大きなツララができている。
 最後の雑木林に入る。雪は時々膝上に達し、さすがに疲れたのでO先生とラッセルを交代する。僕の足跡でエネルギーを蓄えておいたからか、元気いっぱいでどんどん先に進んで行く。やがて、頭上の枯れた枝に樹氷が現れる。それが青空によく映えている。こんなに綺麗な樹氷を見たのは祖母山以来だ。
 ようやく尾根に達すると、眼前に御在所岳や雨乞岳などのなじみの山々が飛び込んでくる。そして、眼下の木々の樹氷は桜の花のように華やいで見える。東峰はそこからひと登り。雪庇に注意しながら慎重に歩く。
 東峰からは、北の伊吹山、霊仙山、藤原岳、右手に釈迦ヶ岳、そして御在所岳、鎌ヶ岳、雨乞岳と続いている。ここは鈴鹿山脈の大展望台だ。O先生はさらに西峯に行きたそうだったが、疲労と時間を考えてそこから名残惜しい頂上を後にした。
   同行者 O先生