この季節の駐車場泊はかなりきついものがあるが、寝袋の上にふとんを掛けていたので案外暖かかった。そして、朝のみそ汁が何とも言えずおいしかった。
福ちゃん荘から唐松尾根を行く。途中から道が二つになっていたが、草原の道は雨でえぐられていて環境を破壊するような気がしたので、林の中の道を行く。一時間ちょっとで雷岩に着いてしまう。真下にはダ ムが見え、その先の平野には塩山市、そしてその向こうには富士山がそびえていた。まだ雪で真っ白である。
大菩薩岳までの道は雨が残っていてかなりぬかるんでいた。話には聞いていたが、そこからの展望は全く無い。
いったん雷岩まで戻って、広い尾根を歩く。赤茶けた絨毯の中を歩くのはとても気持ちがよく、思わず口笛を吹いてしまう。のんびりと歩いていくと森との境に介山荘がへばりついているのが見える。
介山荘が建つ大菩薩峠は「どこからこんなに人が出てきたのだろう」と思わせるほどにぎわっていた。ここは四方の道が合流する所である。いろんなおみやげが売
介山荘 |
っているのもなんとなく場違いなように感じた。
さらに直進して石丸峠に向かう。熊沢山に登って樹林帯を過ぎるとまたもや広々とした草原である。中学1、2年位だと思われる男の子の一団が元気よく登ってきて「こんにちは、ご苦労さんです」と声をかけてきた。草原に渡る一陣の風のように、何とも言えず清々しかった。ふと、あの子たちはどういうグル−プだろうと考えてしまった。今までリーダーのいないあの年代の子供たちを見たことがなかったからだ。
石丸峠から右に折れて上日川峠を目指して一気に降りて行く。途中に廃墟となっている山小屋があった。昔はにぎわっていた時期もあったんだろうなと思うと、なんとなく寂しい気持ちになった。
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