上天気にじっとしておれず、Kさんが先日登った銀杏峰に登ることにした。いこいの森に入る道が通行止め になっていたので歩かなければならなかった。雪のないきれいな林道だったので車で入っている人がいるだろうなと思ったら、駐車場に一台止まっていた。平日なら解放してもいいのではないかとちょっと恨めしく思った。
名松新道を歩こうと思ったが、入り口を通り越しており、林道を進んで行くと夏コースであることが分かった。夏と違い、登山口までの林道歩きが余計だった。何回も登っているので軽く考えていたが2回道に迷ってしまった。林道から登山道に出る道が分からず、林道に出てもまた登山道が分からなかった。何日か前のかすかな踏み跡を見つけてようやく安心した。あれだけ車が止まってい たのにここから登る人はいないようだ。
夏の急登と冬の急登では全く恐怖心が違うことが分かった。一度滑ったら歯止めがきかず、何百メートルも下まで滑落してしまうのだ。場所によっては横歩きで半歩ずつ歩かなければならない。つかまるものも無いのでアイゼンとストックが頼りだ。そして何メートルかごとに息を整えなければならなかった。気が付くとあっという間に時間が過ぎており、戻る時間も気になってきた。
それでも1300mの標識を見つけると少しほっとした。そこからは大平原なので進む方向に一抹の不安があったが、右隣の山に行く人の今日の足跡を見つけてようやく心から安心できた。足跡は頂上まで一直線に続いておりようやく冬山の利点に恵まれた感じだ。
頂上に着いても帰る人の後ろ姿が見えるだけで、どうも僕が最後らしい。のんびり自炊もしていられないので、行動食だけ食べて下山することにした。大雪原の向こうに白山が輝いていた。みんながこのコースから登るのも無理が無いと思えた。ただし、林の中に入ってくると状況は一変。線路のように続く踏み跡が、雪がゆるんで滑ることこの上ない。何度も転んでお尻はぐべたべたに濡れる。上部登山口に着いてからいこいの森に出るまでも道が分からず苦労した。
登り5時間下り2時間と言う、何とも変則的な登山だった。とにかく、思い出すのも嫌になるくらい疲れてひやひやする登山だった。
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