総員5名、Tさんの車で6時に福井を出発する。面谷橋を渡ってから左折すると悪路に変わる。心細い思いで進んで行くと右手に面谷鉱山跡が見えてくる。住居跡の見事な石垣は写真で見たペルーのマチュピチュを思い出させる。左手の墓地を過ぎてしばらく行くと「平家岳登山道」と書かれた標識のある広場に5台の車が駐車されていた。ほとんど県外ナンバーの車であったが、早朝から多くの人が山に入って いることにちょっと驚いた。
しばらく林道を歩き、2つの水のない沢を渡ると登山道が始まる。巡視路と合流する第一鉄塔までは我慢の急登である。ただ、右手に荒島岳や経ヶ岳、そして真っ白な雪を冠った白山を目にした時は大感激であった。
鉄塔からは勾配も緩くなり見晴らしもよくなる。この辺りでは背の高い笹も、登るにつれて低くなっていく。紅葉はまだ早いと思われたが、ちらほら赤や黄色の木々が現れる。三番目の鉄塔を過ぎるとほとんど平坦な快適な登山道に変わる。右手にはようやくどっしりした平家岳の全貌が見えてくる。送電線の都合で切られたと思われる白い木の根っこが奇妙な形をしており、芸術的なオブジェのように見える。このあたりまで来ると鮮やかな紅葉が現れる。
一旦下り、平家岳の左の小さな山に登り返すと井岸山である。そこから平家岳を見ると、頂上に伸びた一本の登山道が見える。まる で蛇行した鎖が山頂に伸びているようだ。最後の急登だが、広々とした草原につけられた登山道は気持ちがいい。登り切って少し進めば念願の頂上だ。滋賀県から来たというグループが鍋を囲んで談笑していた。風も無く穏やかな山頂からはまさに360度の大展望。ぽかぽかと、太陽の暖かさも心地よい。
どういうわけか、頂上到着が予想より1時間も早くなり、下山開始は12時となった。左手の対岸には登ってきた登山道が見渡せ、ロープで滑り降りる「ジップラインがあったらなぁ」と思わず口に出る。下りは目線が違うからか、登る時に気が付かなかった紅葉が目を楽しませてくれた。雲一つない天候にも恵まれ申し分のない登山となった。
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